パラレルワールド・ラブストーリー
なぜか最近一回コッキリの出会いというのがあり、おととい大阪で会ったんだけど、もう二度とあうことがないだろうな、という、でも人間的に魅力的だった出会いが忘れられず・・・その人が読んでたというこの本を購入して読破した。ってそこまでセンチでもないけど、一応趣味が読書なんだし本読みたかったから。あ、作者は東野圭吾。昨年「容疑者Xの献身」で直木賞を受賞した直木賞作家。もともと工学部を卒業しただけあって、科学的な記述がしっかりしているんだけど、僕が読んでる範囲(「秘密」「時生」くらいですが)では、人間の内面の二面性なんかをうまく描き出してる作家だなと感心させられる。舞台は、人間の記憶改編に取り組む会社。研究者がそれにほぼ成功しつつあるのだが、その過程で存在が消された状態になっている社員がいること、そしてその会社に勤める主人公自身も、自分の記憶が過去の事実と一致していないことに気づきだし、自分も記憶改編されているのではないかという疑念を持ち始める。タイトルとおり、自分の記憶に基づくシーンと、実際の記憶にも基づいた世界がパラレルで進行していく。ラストがなんともいえず感動的。主人公の親友であり恋敵である超エリート社員が取った選択は、恋をあきらめて自分の記憶を消す道を選んだ。主人公の親友は、自分への友情をずっと考えていた・・・これを知った際の主人公のこころの動きや葛藤が行間から溢れ出されるような文章。(あんまりあらすじがうまくかけてないけど、ラストは結構なドンデン返しがあります)。なかなかいい作品だったのではないかな。僕自身はもっとコテコテの方が好きだけど。あんまり関係ないけど、たまーに他人の記憶を改編させたいなって思うときはあるような気が。自分というちっぽけな存在をもっと認識させたいのでしょう。きっと。自己顕示欲が強い人なので。ええ。また時間をおいて再読してみよっと。