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☆本日記はフィクションであり、実在の人物、実際の事件とは関係ありません。もし似ている場合は全て偶然です。
『第二話 おハナさん暴れるの巻』 ある日おヨネさん一家の住む町に大きな地震が起こりました。 たくさんの家が倒れてその下敷きになって何人もの人が苦しんでいます。 不幸中の幸いでおヨネさん一家の家はほんの少ししか被害を受けませんでしたが、とにかく急いで下敷きになっている人達を助けなければと、おヨネさんは家の使用人たちを下敷きになった人達の救援に差し向けました。 現場に着いた使用人達はてきぱきと下敷きになった人達を助けていきます。 助け出された町の人達は口々に 「ありがたやありがたや、おヨネさんにお礼を言っておくれ」と言いました。 そうこうしているうちに家が無事だったおヨネさんから炊き出しのおにぎりや豚汁が届きます。家が崩れてご飯も作れない人達は大助かりです。 そのときおハナさんが救助をしているところに通りかかり、その様子を見ながらニヤニヤしつつ言いました。 「なんだい、地震を起こしたのもおヨネで救助も炊き出しも全部おヨネの差し金じゃないか。この分じゃ死んだ連中の葬式も、壊れた家の立替もぜーんぶおヨネの会社が契約するんだろう、丸儲けだね。あひゃひゃ!」 それを聞いた救助された町の人達は言いました。 「おいおい、地震を起こすってなんだそりゃ。証拠でもあるのか」 あきれ返った町の人達がおハナさんに詰め寄ります。 「へ、図星を突かれたからって泡を食って否定かい? アンタらおヨネの炊き出しの握り飯を恵んでもらって喜んで食ってる場合じゃないんだよ、あひゃひゃ!」 相も変らぬ下品な笑い声で更に言い放ちます。 「そこまで言うなら証拠はあるんだろうな。証拠もなしに人を犯罪者扱いするようなら許さんぞ!」 あまりの下品さにさすがに怒りを抑えきれなくなった町の人が言いました。 「へへ、証拠ならあるよ。間違いない証拠がね!」 大変な爆弾発言です。もしそれが本当ならおヨネさん一家は大悪党です。 「よし、それなら証拠を見せてくれ。」 これは事件になるかもしれないと思った町の人達がおハナさんに詰め寄ります。 「ほれ、このチラシをごらん! 町の公民館の畳の裏に引いてあった奴だよ!」 おハナさんは古びて黄ばんだぼろぼろのチラシを一枚差し出しました。 『ナマズ養殖・販売シマス オヨネ養魚場』 日付はと見ればかれこれ50年以上も昔のものです。 「・・・ナ、ナマズで地震?」町の人達はあっけに取られています。 「50年以上前から企んでやがったんだよ、おヨネは大悪人さ、あひゃひゃ!」 勝ち誇った下品な笑い声が響きます。 「オヨネ養魚場って40年位前に閉鎖したんじゃ・・・」 「ナマズと地震って科学的に否定されたんじゃ・・・」 「仮にナマズと地震が関係あったとしても、そのチラシのどこがおヨネさんがやったって証拠になるんだ?」 やっと我に返った町の人達が口々に問い返します。 「へへへ、科学的な証拠だよ。五十年前の考え方をするアンタらごときには理解できないね。せいぜい自分で探して勉強しな、あひゃひゃ!」 そういい捨てるや否や、おハナさんはくるりと背中を向けてお尻をぺんぺんと2,3回叩いて凄い勢いで逃げ去っていきました。 あとにはあきれ返る町の人達と五十年前のチラシだけが残っていました。 とっぴんぱらりのぷぅ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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