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カテゴリ:ボクシング
WBC世界スーパーフェザー級チャンピオン・西岡利晃が同ラン キング1位の指名挑戦者でもあるジャマイカ出身のイギリスのレン ドール・ムンローと5度目の防衛戦、指名挑戦者というのは長くそ の団体のランキング1位に留まっている選手、当然のことながら強 豪選手、チャンピオンはその選手とのタイトルマッチを避けようと する、チャンピオンの実力を持ちながらタイトルマッチ戦をするこ とが出来ない、そこで団体がチャンピオンに対して、期限付きでそ の選手と対戦するように義務つける、その挑戦者が指名挑戦者であ る、このムンローはそれによってタイトルに挑戦することができた 選手、こうかくと西岡はこの強豪との対戦を避けていたような感じ を与えるが、確かに強豪選手が世界ランキング1位にいると対戦を 避けるケースも侭あるが、むしろそれは選手の意思ではなく、マネ ージャーやプロモーターの思惑のセイの方が大きい、西岡の場合は 2度目の防衛戦でメキシコまで出掛けていって、人気実力とも兼ね 備えたジョニー・ゴンザレスの挑戦も受けていることから、避けて いたわけでもなく、強い挑戦者を迎えて、むしろ強いモチベーショ ンと自分のボクシングの完成のための課題を持ってトレーニングを した、それと防衛戦の連続KOの記録をかけて。 西岡はサウスポーで武器はフットワークとスピードと左ストレー ト、世界タイトルに挑戦するが必殺の左ストレートを狙いすぎて、 肝心のところで手数が少なくなり、惜しい僅差の判定負けが続き、 その間に引退の聞きも囁かれるアキレス腱断裂といった大怪我も克 服、5度目の世界タイトル挑戦でチャンピオンになる、当然の事な がら30歳を過ぎてのチャンピオン奪取、防衛を重ねるにつれて左 ストレートは相手に警戒され、研究されている、右のジャブの強化 が大きな課題、右のジャブによって左ストレートを当て易くする、 この試合は相手も不慣れなサウスポーであり、右のジャブをどれだ け打てるかが勝敗の鍵を握る。 ムンローを初めて目にしたのは、構えたところの写真である、力 んだところに少しも力みが無く、顎は自然に引けていて、丸みさえ 感じる構え、攻防兼備の、「強そう」、という印象で、次にKO勝 ちした試合のビデオ、戦績のKO勝ちの数の少なさが意外なほどの、 力強い、変化に富んだ連打、スタミナ、パンチ力とも文句なし、西 岡の苦戦が予想される、彼のニックネームは、「ビンマン」、で普 段は清掃作業員で、空き瓶の回収の仕事をしていて、奥さんと子供 が2人、ハングリーでありながら、チャンピオン奪取はお金のため ではなく、ボクシングのチャンピオンになることが人生の夢だ、強 いタフネスさ、無類のスタミナ、精神面でも強そう、西岡の左スト レートを充分に警戒をして、距離をつめて、ロープに押し込んで連 打をして、左の強打を打ち込み、西岡はフットワークを使って、離 れてのきれいな戦いが得意で、押し合い、もみ合いのファイトは苦 手、それでスタミナを奪って、フットワークをとめて、ロープに釘 付け、中盤から、後半にかけてのKO狙いの作戦、強がりではなく、 それでいてタイトル獲得の自信、計量の時の身体、鍛え抜かれたい かにもタフそうな体つき、とりわけ力瘤を幾つも縦に並べたような 腹筋のきれいな割れ具合、この腹筋にボデイブロウは効くのかな、 と思わせる腹筋、試合の前には西岡が倒されることも予想された。 1ラウンドの開始のゴング、ムンローはがっしりとガードを固め て、柔らかくすり足、西岡は大きい目の左右へのフットワーク、ム ンローの固い両拳のガードの真ん中を狙える位置から、早い右のジ ャブ、慣れないサウスポー同士の対戦だが何の苦もなく、ポンポン と右のジャブを繰り出す、何試合か前から課題は右のジャブと言い ながら実戦では、その成果が出ていなかったが、この試合ではその 成果が現れている、西岡がこの試合ほど右のジャブを多用するのは 始めてみた、左ストレートはきっちりとガードされているが、ボデ イのしかも脇腹へえぐるようなボデイブロウ、ムンローの鍛えられ た腹筋の唯一の弱点は、鍛える事の出来ない脇腹、タフが売り物の ボクサーでも脇腹のボデイブロウ、一発でリングに鎮められている シーンは良く見ている、西岡のムンロー対策は早いフットワークと 早い右ジャブと、強いボデイブロウ、ムンローは距離を詰めようと 接近するが、右のジャブを当てられてすぐにまたもとの距離、西岡 は踏み込んで右のジャブ、続いて左右の強いボデイブロウ、ムンロ ーは空振りを繰返すばかり。 2回から4回までは同じような展開で西岡有利のラウンドが続く、 ムンローは西岡の左は充分警戒するが、右は無警戒で、これほど西 岡が右のジャブを出すとは驚きと戸惑いとあせり、5ラウンド強引 に接近を試みたところで、この試合で始めて右ストレートが的中、 一瞬ぐらつくムンロー、一気に西岡は倒しにかかる連打、ガードを 固めて踏ん張るムンロー、西岡の攻撃が一時的に止むと、ムンロー はすぐさま接近して連打、やはりタフである、西岡は瞬間的にロー プに詰められるが、すぐにサイドステップで交わす、西岡の執拗な ボデイ攻撃でムンローは無意識にボデを遠ざけようとする構え、中 盤は西岡がチャンスと見ると波状攻撃を仕掛けるが、ムンローも踏 ん張り、すぐに反撃の接近戦を試みる、さすがにタフなムンローも ダメージが蓄積、10ラウンドのは西岡の脇腹へのパンチで腹を押 さえて、膝を折りかけるが、ムンローの気持ちはまだ折れていない、 逆転KOを狙って反撃をする、モロには当たらないが、西岡の左目 をはれさすには充分なパンチを当てる、11ラウンドぐらいには一 方的に試合を有利に進める西岡のスタミナも限界に近づく、ムンロ ーは尚もパンチを振り回してロープにつめようとする。 並みの挑戦者ならスタミナがつき、ダメージが蓄積、精神的に折 れてしまいそうになっるものだが、そこは精神的にも一流、逆転K Oをひたすら狙い続ける、12ラウンドは西岡も判定勝ちは不同の もの、にも拘らず連続KO防衛の記録とフアンサービスのために最 後の力を振り絞ってラッシュをかける、12ラウンド終了のゴング がなるとスタンデイングオベーションも起こるほど素晴らしい西岡 の出来と驚異的なムンローの粘りと健闘、判定は大差の西岡の勝ち、 リングを降りるときにムンローは思わず悔し泣き、コーナーのポス トにパンチ、負けたとか、タイトルを取れなかった悔しさではなく、 西岡対策も充分にした、しかもベストコンデイションでリングに上 った、それでも尚自分のボクシングが西岡のボクシングを越えられ 無かった、そのことの悔しさだったように思う。 ■「今日の言葉」■ 「 金に対する執着が強くなるほど 金の苦労が多くなっていく 」 (自然社・平成22年・新生活標語より) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 25, 2010 02:12:40 PM
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