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「ゼミ長が遅刻するそうです」という報告があって、ゼミは通常通り始まった。
まもなくドアが開いて、ゼミ長がうやうやしくろうそくの灯がともったショートケ ーキを持って、研究室に入ってきた。それで、あ、今日はぼくの誕生パーテ ィをやるんだな、と気づいた。例年以上にうれしかった。 ゼミでは、ぼくらはひさしぶりに『あゝ野麦峠』を読んでいる。年少の女性の 苛酷な労働と峠越えの話だ。ぼくは、思わず、自分の少年時代の話をした。 この話を話すと、結局、島岡先生のサクセスストーリーでしょう?という顔を される。とても残念だ。決してぼくは「成功者」ではない。そのことは今話すこ とはできないけど、人生の失敗者なのだ。でも、分ってもらえそうもない。ぼく の少年時代の地獄のような生活と労働を話すのは現在のありもしない「成 功」を歌い上げる修飾ではなくて、なぜぼくは「野麦峠」にこだわって教員生 活を送ったか、個人的にはなぜ戦争に反対するのかということをいいたかっ たからに他ならない。 いつの日かなぜ今「失敗者」であるかを話す機会があると思う。くりかえす が、今はその話はできない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004.04.29 18:20:09
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