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日本から届いたメールや郵便が合計5通届いている。これが1ヶ月の実績である。GRIPケララ社からなど、事務的・業務的なものが2通で、残る3通が個人的なものである。 ぼくは、家族にも友人にも言っていたことだが、新宿駅より先はみな同じ 渋谷であろうと 富山であろうと セブであろうと シンガポールであろうと ケララであろうと BKKであろうと・・・。日本人はあたかもぼくが日本にいるかのように、ぼくを扱ってくれている。つまり適度に無視してくれる。ありがたいことである。 こちらの人は歴史的に、数百年間外国に占領されたり、植民地になったりしたことがない。だから、独自の文字を持ち、言語に誇りをもっている。そのため、英語をしゃべることが苦手なのは日本人に劣らない。でも、外国語(英語、日本語)に憧れを持っていることも日本人に劣らない。Nさんが、こちらの若い女性から憧れに似た眼差しを受けるのはそのためである。彼女は、よく若い女性から質問を受けている。「どうしたら 英語が話せるの?わたしは始めるのだけど三日坊主なの」と。「わたしは実際に英語を使っているからよ」と答えているNさんである。 いつか、ニック(8)の実質的な母親はNさんの姉のノイさんであると書いたことがあるが、これが一部で誤解を生んでいる。名実共にNさんがニックの母親である。二人の相思相愛は傍で見ていて、気味が悪い。ぼくがノイさんのことをそう書いたのは、こちらの親戚関係一般のあり方なのかもしれないが、Nさんが姪のナム(19)を実の娘のように扱い、ノイさんがニックを実の息子のように扱って、実生活ではどちらの息子・娘なのか分からないように行き来しているという意味であった。ニックにとってぼくはどういう存在なのか実のところよく分からない。TH語がまったく分からないかわいそうな外国人と思っているのかもしれない。ぼくは、ニックをよく叱るし、遊ぼうと言って来ても、拒否することが多い。たまに遊んでやっていても、彼は勝手にルールを途中から変えちゃうので、ぼくは「アンフェア!(不公正)」と言って、「アイ ディスミス(ヤーめたっと)」と放り投げる。これがもっとも効果的な打撃になる。 昨日、日曜だったから朝から来ていた。勝手にさせていた。ニックは、造形的な才があって、驚くべきものをそこいらの材料で作って見せに来る。ぼくは心から賛嘆する。こうやって一定の距離をいつも置いているのだが、彼の帰り際に、妙にしつこくある遊びをせがんだ。ぼくはその遊びを知らなかったので、にべもなく拒否した。ところが、母親に英語で書いてもらい、ぼくにその英語の断片を線でつないで、これをやろうとしつこい。そして、なにやら家の間取りを描いて、母親に「庭(台所 食堂 居間 ロビー 寝室・・・)を英語でなんと書くか?」尋ねている。母親は「G A R D E N・・・」と答えている。それを彼のマップに書きとめている。ぼくは覚悟を決めた。よほどやりたい遊びがあるのだろうと。マップが完成すると、ぼくにそれを提示しながら、「ねえ やろう」とでも言うかのように足踏みをして、一所懸命仕草をする。ジャンケンの仕草、目隠しの仕草、あっちうろうろこっちうろうろの仕草・・・ありとあらゆるボディランゲージで迫ってくる。 帰宅時間も遅いが、1週間も会えなくなることも考え、ぼくも熱心さにほだされて、彼を真剣に理解しようとした。ぼくの悪い頭をなんとか回転させて、ある遊びのイメージが浮かんだので、英語で手振り身振りで確認を求めた。「それは ジャンケンで鬼を決め 鬼が目をつぶっている間に 宝物(彼のおもちゃ)を家のどこかに隠し 地図を描いてあげて 鬼に探させるという遊び?」 ドンぴしゃりだったと見えて、ニックは大きな声で「イエーーース ザッツライト」と飛び上がって喜んだ。 ぼくは遊びの才がある。始めは、単純に描かれた地図どおりにさっと宝物のところに行って取ってきたのだが、だんだん複雑にして、宝物のところまでたどり着くのにあちこちの部屋をすべて回らせたり、ロビーをぐるぐる回らせたり、複雑な経路を描いた。また鬼になった場合、分かっていてもとんでもない方向に行って、腕を組んで考えるポーズをした。それが面白くてならないらしく、ぼくが反対方向に歩き始めると、ニックは腕を無理やりに取って自分で隠した宝物の在り処に連れて行く。子どもである。それでも、その宝物が目に入らないバカな外国人のコイチアンクルである。ニックは宝物を取ってきてぼくの目の前で振って見せる。ぼくは実に驚いて見せる。それがニックの爆笑を誘うのである。ニックもぼくが複雑な経路を描いても、宝物までの最短距離が分かっているのに、わざわざ地図どおりにぐるぐる回ってたどり着くというように、本当に「遊ぶ」ことを知っている。 いい加減、時間も遅くなったので、「レッツ ディスミス」というと、ニックは右手の小指を出して、「後一回だけ」と仕草で言う。オーケーと指切りをすると、最後はぼくが鬼で、ぼくは飛行機のまねをして、ビュンビュン飛び跳ねながら、地図の経路をたどりって宝物のところに行く。ニックも飛行機になって、ぼくの後ろにくっついて、ぶーーーーんと飛んで宝物をたどり着く。たまたま宝物はおもちゃの飛行機だった。 指切りどおり、ニックは母親の車に乗って行った。後で気づいたらその宝物がわが家に置きっぱなしであった。来週、またやるつもりらしい。 【写真:この髪型でないと明日からの担任の先生が実にへたくそな床屋にはやがわりをして、みんなから笑われるような散髪をされてしまうのである。床屋の出口で髪の毛がかゆいのでぼりぼり?いている。日本でこんな床屋がいたら明日から誰も来なくなる。ぼくはこのTH式の散発が大嫌いである。】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.08.02 11:01:44
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