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わが家の前の行き止まりの道路に一部冠水があった。ナンナさんが、この冠水を報告方々、どこか車の避難場所を探しに出かけたが、結局わが家のガレージが一番ということでもどってきた。
ニックは明日から特別な学校という名の塾に毎日通い始める。約1週間の通学らしい。ニックに塾に行かせるということを決めたのは、どうやらおばのノイさんらしい。ニックはもとより、ニックの祖父、父母の承諾があったかどうか、あいまいである。ノイさんが一方的に、「ニック ニック 10日(明日)から学校が始まるまで 塾の行くのよ」宣告したという。ニックは、想像できるのであるが、顔をしかめて泣き顔をしたけど、ニックは決してかたくなに拒否しなかった。 ニックはぼくが帰泰する前から、学校が長期休暇に入っていた。ぼくが帰泰して以来、毎日、一日も欠かさず朝からやってきて8時ごろまで居て、母親の車で帰っていった。およそ10日間である。この間、ニックのメンタルな面での著しい成長振りに目を見張ったものである。顕著なのは、がまんを知ったことである。そして、ものを人にも分配することである。がまんして人に施すことの快感に浸っているようであった。 もう一つ、英語である。今まで、学校で習ったことをぼくの前で実践しなかった。しかし、この10日間、彼は一所懸命ぼくに英語で話そうと努めた。どうして、そうなったか、はっきりしたわけがある。 彼には独特の世界がある。ディズニーのお姫様(シンデレラ、スノーホワイト、マーメイド・プリンセス、ジャスミンなどなど)に自分を同化させて遊ぶ・・・犬のぬいぐるみやペットボトルにティッシュ=トイレットペーパーなどで衣服を作って、お姫様を作り、段ボール箱でお城を作る、こういう遊びを朝から晩まで、一人でやっているという独特の世界である。ぼくは母親の了承を十分得て、バービーちゃんのマーメイド・プリンセスを買ってやり、彼と一緒にディズニーの漫画を観たり、しまいにはプリンセスたちを救い出すゲームまで買ってやった。ことごとく従来ぼくは断乎として拒否していたことである。 ニックはぼくとおちんちんに関する秘密を共有した(ぼくがニックと最初に近づきになったのは「おちんちん」猥談がきっかけである)以上に、お姫様にかんする知識の共有ができた。ぼくは、彼の世界に知識と理解を示した。彼は、お姫様に関する話をぼくとしたいらしく、何かと「ルン・コイチ」(こいちおじさん)と呼びかける。その数一日200回以上に上るだろう。うるさくてしょうがない。ぼくがTVを見ててもそばから「ルンコイチ」と言う。ぼくは「ルンコイチ」一回当たり利子をとろうかと思うくらいであった。彼はぼくの隣で耳にイヤホーンをくっつけてゲームをやる。そのゲームの展開ごとに「ルンコイチ」とぼくを呼ぶ。イヤホーンをつけているから、物凄い大きな声になる。まったくもってうるさい坊やであった。 しかし、うるさいけど、それ以上にお釣りが来るくらい楽しく愛くるしい少年に変貌してしまった。「ルンコイチ」を200回以上呼びかけるのであるから、どうしても英語で話さなければならない。英単語だけのばあいが多い。彼の英語のボキャブラリーや学校で習った英語などがじっさいに役に立つし、どんどん能力が高まっていく。これに彼自身興奮を覚えたようである。彼は、タイ語でジョークを言う少年である。それを英語で伝えたいらしい。そんなもがきや葛藤を乗り越えて、笑いがぼくに伝わる。ぼくの腕に腕を絡ませたり、鼻を押し付けてきたり、足の一部に触れたりしてべたべたした中で、英語が出てくる。 明日から、ニックは学校という今夜、お祝いにスキヤキパーティをやった。ナンナさんが基本的に作ってくれたのであるが、ニックもぼくもできる限りお手伝いをした。ぼくが英語で、ニックに質問をすると即座に「イエス」とキッパリ大きな声で答える。これは大きな成長なのでナンナさんを狂喜させる。そして今夜の食事の時にニックに尋ねた。 can you speak english very well? yes! と笑顔を作って答えるニックであった。帰り際にニックは従来「サワディ・クラプ」というのだが、今夜はi love you lun KOICHIと言った。 ぼくは、決して英語を教えたりはしない。ただ、彼と文化を共有しただけである。 ![]() ![]() ![]() 【写真:道路の冠水の中ナンナさんのシェボレーが帰ってくる;洪水避難のため2台ともガレージへ;ニックの学校行きを祝ってスキヤキパーティ】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.10.09 23:24:52
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