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カフェ・ヒラカワ店主軽薄

カフェ・ヒラカワ店主軽薄

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2005.09.15
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カテゴリ:ヒラカワの日常
以前から一度見てみたいと
思っていた岸和田のだんじり祭りだったが、
ひょんな大阪つながりで、
夏の終わりに照りつける最後の強い西日の中、
特設に組み上げたカンカン場の観覧席で
心行くまで堪能させていただいた。

岸和田十五町内から
繰り出されるだんじりの
遣り回しの見せ場がこのカンカン場の交差点である。
「あの男」から何度も話に聞いていた
光景が目の前にある。

ミーツ青山さん、
その古くからの友人であるオバQ姐さん、
神戸のヨットマンソムリエ橘さん、
コベルコスティーラーズの好漢、平尾剛史さん&みゆきちゃん。
何かに引き寄せられて集まってきた善男善女に混じって
俺が見ていたのは、
この古い城下の町に生きる人たちの
ひたむきな隊列である。

「密集せよ。」
その隊列はうねり、熱い息づかいを街の角々に残しながら
去っては還り、還っては去る。
そして「あの男」が隊列に寄り添うようにしてこれを見守る。
そういうことか。

先日、大阪市立大学の大学院のご一行が、
秋葉原の今を取材しに、俺のところに来てくれた。
結局、街は誰がつくり、誰がそれを育てていくのか。
この問いに対するいくつかの答えを、俺は用意していた。
いわく、街づくりのプロデューサーの不在。
街のユーザとのコミュニケーション。
しかし、お話をする中で、
そんなことはどうでもいい。
俺の口から出てきた言葉に俺自身が驚く。
「結局、街づくりのすべては、愛でしょ。
その街を愛する人間が、街をつくり、それを生かすわけだ。」

「あの男」つまり江さんが夕日に輝くのは
岸和田という街を愛して止まないからだろう。
その夜、俺たちのご一行に、上海帰りのハイシさんが加わって、
「ヘミングウェイ」で、邯鄲相照らすがごとき
会話が弾む。ほとんどが、初対面だってのに「場」が勝手に動いてくれる。
祭りのほとぼりを冷ますつもりが、冷めないままの熱度で
夜更けまで話込む。

翌日、秋の匂いの風の中で、
仕事をひとつ済ませて、
東京へ向かう新幹線に飛び乗る。
街への愛か。
飯嶋和一の「汝ふたたび故郷へ帰れず」を読んでいると、
その「愛」が何であるのかが、身体に染みこんでくる。
「一度そうなったら、なかなか元には戻れん。
上水道が出来たり、いいこともあったろうが、
なくしたもののほうがずっと大きい。」
なくしたもの、か。
それが何であるかが身体が覚えているうちは、
まだ終わっちゃいない。








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最終更新日  2005.09.15 21:45:17
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