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カフェ・ヒラカワ店主軽薄

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2006.02.26
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カテゴリ:ヒラカワの日常
雨がしとしと降る2.2.6
風情のある休日になった。
帝国ホテルにて
酒蔵の娘、ももちゃんと、
サーファー経理マン、
イケ面しみちゃんの華燭の典。

ももちゃんは、アーバントランスレーションという
俺がやっていた会社に来る前は、
テレビ朝日の「朝まで生テレビ」のデスクをやっていた。
その関係で、
テレ朝関係者が多数臨席。
司会は、おなじみスーパーモーニングの
渡辺宜嗣さん。

俺は、空手の師範と連れ立って、
会場へ。
いきなり、主賓のご挨拶を仰せつかる。
主賓挨拶のネタは、兎に角新鮮なものに限るので、
使いまわしはできない。
ほとんどの式の場合、元の会社の社員たちの誰かが
一緒なので、同じネタをやるとばれてしまう。
そこで、今回はふたつほどの新ネタを用意していた。

ももちゃん、イケ面しみちゃんのふたりは、
当今では、稀有の
経営者泣かせの人材であるという
仕事ネタ。

もうひとつは、
誰にでも人生は一度。
望むらくは波乱万丈、疾風怒濤、
世界に比類ない華麗なる遍歴、人もうらやむ僥倖。
いろいろあるが、
誰でもが生を受け、成長し、人とめぐり合い、
やがて老い、土に戻る。この軌跡だけは
平等に人間に与えられた自然である。
だから、ほんとうは、どこにもないような数奇な人生も
ありふれた人生も同じことだ、
いや、ありふれた人生がいい。
という吉本風味の人生ネタ。

結婚式とお葬式以外のところでは、こんな大仰な「人生」なんていう
ネタはご披露できない。
こっぱずかしい大風呂敷であり、大言壮語は
たいていの場合、中味は空っぽってえのが相場だ。
しかし、結婚式においては、やはり
「人生」という言葉が似つかわしいのである。

仲人さんが不在であったので、
結局、彼らのお人柄のご紹介も兼ねて、
人生ネタは止めて、
仕事ネタを採用することにした。

で、彼らは、どこが経営者泣かせなのか。
それは、彼らは金にも、地位や名声にも
転ばない人であるというところである。
当今の、経営論、モチベーション論を見ると、
いかにして、お金儲けができるか、
どうやったら、優位なポジションを得られるかといった、
功利的な言葉ばかりが幅を利かせている。
競争原理だ、市場の透明性だ、機会の平等だなんていったって、
結局のところ、人間は自分の欲望に転ぶものだといったことを
前提にした議論でしかないのである。
経営者は、金で人を集め、地位というインセンティブで人を
動かすことはできる。
誰だった、お金は大好きだし、人には尊敬されたいと願っている。
お金で動く人間は、お金で去ってゆく。
名声を求める人間は、一旦事あれば一目散に安全へと逃げ出す。
それでも、どんな大金を積まれようが、どんな地位を約束されようが、
それだけでは動かない人間というものはいる。
経営者にとって、こいつらは一番始末に悪い。
彼らを動かすには、彼らの欲望を刺激するだけでは
足りないからである。
まあ、自ら、欲望の化身であるような経営者のもとには、
最初からこのような人間は集まってはこないともいえる。

結局、彼らに一歩を踏み出させるのは
「人生意気に感じる」かどうかということである。
お金と、地位と、意気。
この三つは並列に並んだ二律背反的な価値観のように見えるが
実は前二者と「意気」は、全く別次元のものである。
前二者は、自分にとっての利とは何かということであり、
「意気」とはまさに、自分を消すこと、価値観の中心を他者という
ところにおいているということである。
他者の中に、いや他者との関係性のなかに
生き方の規範を築いている。

人間は、人間に対して心を動かす。
存在しているだけで、人を感動させることのできる人というものが
ある。
彼ら、つまり意気で動く人間達を
動かすということは、
こちら側の問題であるということがわかる。
経営者の側に人を動かすものがなければ、
彼らはてこでも動かないのである。
経営者は、彼らを動かすのではなく、彼らに出会って
自分が動かされるのである。
そういった人間に出会えることは幸福なことである。

まあ、こんな込み入ったお話をしたわけではないが、
こんなことを、お話させていただいた。

宴はくつろいだ雰囲気のなかで進んだ。
ゲージツ家執行役員坂根のボサノバがBGMである。
酒蔵の娘には、イパネマの娘をという趣向かい。
宜嗣さんの名人芸が光る。
アーバン時代の部長の加藤が式のラストで、
気合の入った美声を響かせると、
多くの列席者が目頭を濡らしていた。
(はずかしながら、俺もだ。)

定番といえば、定番。
平凡といえば、平凡。
スモークも、ポエムもない。
だからこそ、
極上の吟醸酒のように深い味のある
よい結婚式であった。









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最終更新日  2006.02.27 00:49:37
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