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カフェ・ヒラカワ店主軽薄

カフェ・ヒラカワ店主軽薄

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2007.01.29
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カテゴリ:ヒラカワの日常
ラジオカフェで会議の後、
新宿の夜の雑踏を歩く。
急ぎのメールをしなければならず、どこか腰を落ち着けられる
喫茶店を探していたのである。
学生時代は、高田馬場からよくこの街へ繰り出したものである。
仕事を始めたのが渋谷道玄坂ということもあって、
以後、飲み歩くといえばいつも渋谷で
行き着けは、細長く伸びたニッカ(だったよな、確か)のバー、ブリック。
カフェは、ライオン。
飯は鉄板のたるやと決まっていた。
たるやの婆あは元気でやっているんだろうか。
ムルギーのカレーは今も健在か?
決まった場所には、いつも決まった顔があった。

新宿は際限の無い街といった趣で
俺には居場所が無いと感じられた。
それで、何となく敬遠していたのである。
でも、ここには末広亭がある。
どうしたって、末広亭には未練が残る。
だから、この街から完全に遠ざかるわけにはいかなかったのだ。
それでも、何十年ぶりかで歩く新宿の街は、
やはり俺には大きすぎる街であり、
とげとげしい雰囲気があっていつもどこかで拒まれている感じがする。
末広亭を過ぎて四谷方面にあるけば
街の雰囲気はがらりと変わる。
その変わり目にラジオカフェの入居したビルがある。
地下鉄新宿御苑前から至近の好位置である。
早春には御苑の桃の花が香るらしい。

『マネー革命』(NHKライブラリー)を読んでいると、
一瞬にして五十億円失ったビクター・ニーダーホッファーの話や
一日で千二百億円儲けたというジョージ・ソロスのインタビューに
出くわす。一九七一年のニクソンショック以来、
世界の通過は、それまでの金との互換というよりどころをなくして
果てしの無い相対化に晒されることになる。変動相場制である。
それに目をつけて金融情報のネットワークに参入したのが
ロイターである。
この会社は、もともとはフランスとドイツの間の通信網の不足を背景に
伝書鳩で情報の配信をすることを業務として立ち上がった会社である。

俺には大きすぎる新宿の街を歩いていて、
今、世界を席巻している投機経済のことが頭に浮かんできたのである。
新宿の街は、いま人間が住めるところではなくなっている。
人間が住めるサイズというものを、遥かに凌駕して成長し続けているように
見える。ヒューマン・サイズというものから逸脱しているのである。
それは、マネーに関しても同じである。
人間が一生かかっても浪費し尽せないような巨額の金を
個人のディーラーがコンピュータ端末によって動かしている。
人間は利便性を追及してテクノロジーを発展させてきた。
テクノロジーというものに俺は楽観的になることはできないが、
この発展が止むことはないことだけは確からしく思える。
テクノロジーはヒューマン・サイズを拡大しようと目論んで、
いつの間にかそれを追い越してしまったのである。
畢竟するところ、テクノロジーとは人間が取り扱える空間を何処までも巨大化し、
あるいは、人間が数えられる個数をどこまでも細分化してゆくことをしている。
記号化した金ならどんな巨額なものでも扱うことができる。
記号化した人間なら、どれほど多くのものとも交信することができる。
しかし、そのことによって
たとえば世界中の人間が汗をかきながら集めた金を
アメリカに一挙に還流させるというような国家的な戦略といったような
がさつなロジック以外に、どんな意味があるのだろうかと思う。

何の意味も無いさ、と抜け殻のようなニーダーホッファーの
顔が告げているように見える。
でも、他に意味のあることなんかあるのかいとも言っているようにも見える。
このおっさん、あれからどうしただろうか。





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最終更新日  2007.01.30 07:46:05
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