3313350 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

カフェ・ヒラカワ店主軽薄

カフェ・ヒラカワ店主軽薄

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2007.02.10
XML
カテゴリ:ヒラカワの日常
目黒に出て、ルノアールにこもる。、
壁際の電源にプラグインして数時間、
原稿を書いていたら背中がバリバリになってしまった。
目黒駅にある回転寿司で
イカ、タコ、中トロ、はまち、イカ、イカ、イカと食って
バスに乗ろうとしたら、すれ違いで出発していた。

今日は本牧亭で、神田茜さんの講談があったのだが、
背中の按配が悪く、吐き気もするので
都立大駅前のマッサージを予約したのである。
次のバスを待っていたら時間に間に合わない。
仕方なくタクシーをとばす。

この、都立大学駅前の「手」という整体は、
即効性があって、ときどきお世話になっている。
一時間ほどもみほぐしてもらったら、
小腹がすいてきた。

そういえば、たこ焼き屋があったなとおもって、
以前このブログにもご紹介した、立地条件の悪いオヤジの店に歩く。
あの時も客は俺だけで、
オヤジは、大沢在昌を読んでいた。
『深夜曲馬団』か、『心では重すぎる』か。
俺は見て見ぬふりをしていた。
カウンターで待っている間、「ビールどうだい。俺がおごるからさ」と
オヤジにあやうく、おごられるとこであった。
案の定というか、当然というか、
このたこ焼き屋はつぶれていた。
あの、ハードボイルドおやじは、くにへ帰っちゃったんだろうか。

仕方なく、駅前の屋台のたこ焼きを買って
駅裏のベンチに座って食す。
あのとき、
「味じゃ負けちゃいねぇんだけどな」と言っていたことを思い出す。
確かに、
あっちの店の方が、うまかった。
表面がカリカリ、中がとろりとしていて、おおだこが湯気を立てていた。
こっちの店のやつは、表面も中もぐしゃっとした感じなのだが、
それでもたこ焼き好きには、十分に食えるしろものではあった。
やっぱり、立地の差が出たのだろう。

たこ焼きを食い終わって駅周辺を少し歩く。
都立大学駅前は、程よい大きさの、庶民的ないい街の顔をしている。
うまそうな中華「万豚記」は、家族連れやアベックで繁盛していた。
ガード下には、のれんが並ぶが、寂れた風情が漂う。
駅に近い、焼き鳥、お好み焼き、「三崎漁港」は、まだ元気である。
街に必須の、マスターがサイフォンで入れるコーヒー屋「杉の木」。
パチンコ屋が数軒。チンジャラジャラと音を響かせている。
本屋、肉のはなまさ、八百屋、飲み屋が
駅を囲むように店を構え、たこ焼き屋の屋台も
駅口に店を出している。

俺はこの街が大変好きである。
都会の人間はこんな街で生まれて育つのがよいとさえ思う。
かつては至近に、東京都立大学があった。
いまは、首都大学東京になって、どこかへ引っ越してしまった。
跡地には、パーシモン・ホールという洒落た今風建築がある。
市民のいこいの場所だそうだが、あまりそこではいこえそうもない。
駅前のガード下の方が性に合っている。

およそ、大学街とは程遠い街であり、
東横線沿線には珍しい、汚れた活気がある。
下町風情とも違う。
急行が止まらない駅の意地のような活気である。
それでも徐々にではあるが、ガード下は寂れて
駅前には小洒落たピンク色のケーキ屋や、緑のマークの
並んで注文するカフェが出来て、
町の顔つきが変わってきている。
お上品になりたいわけか。

歩きながら、思う。
「おやじ、確かに味では負けてはいなかった。
それは、俺が証明する。」
そう言ってやりたかったが、
すこしばかり遅かったようだ。

目黒駅でバスの背を見送った時、
都立大学の跡地の建物を見上げた時も、
シャッターの閉まった店の前に立った時も、
同じような気持ちになった。
大事な場面にはいつも間に合わないぼんくら。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2007.02.10 21:28:31
コメント(1) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.