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カフェ・ヒラカワ店主軽薄

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2007.06.21
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カテゴリ:ヒラカワの日常
以前、「偶然の街角、偶然の車窓」というエントリをしたことがあった。
3月4日の話である。
横浜駅から京浜東北に乗り込んで、つり革にぶら下がると、
目の前に、前日酒席をともにしていただいた三遊亭円丈師匠が座っていた。

その少し前、
目黒駅近くのルノアールでいつものように
『株式会社という病』の原稿を書いていたら、
そこに偶然にも、木村政雄さんが入ってきた。
木村さんとは、一年ぐらい前にも都ホテルのラウンジで
偶然にお会いしていたので、そのときの偶然が何か
見えない必然の糸の終端を俺が踏んでいるような気がしたのである。
木村さんと前回お会いしたときは、
俺が『反戦略的ビジネスのすすめ』を書き始めた頃だった。

日曜日の夜に、お江戸日本橋亭で、
円丈師匠の落語を聞いた。
明けて月曜日、
秋葉原の伊万里という骨董カフェで打ち合わせをして
オフィスに戻る途中でばったりと
再び三遊亭円丈師匠にお会いした。
「あ、どうも」
「あ、いや、どうも」
打ち合わせの席で、円丈師匠の話をしたばかりであったので、
俺はあまりの偶然にどぎまきしたのである。

世界で最大の人口がひしめく東京の街角で
同じひとに、二度会う偶然は、確率的にはどのくらいのものなのだろうか。
俺は円丈師匠に二度会い、
木村さんに二度あった。

話はそれで終わらない。
偶然がいくつか重なると、信じられないようなことが起こる。
以下は、一滴の虚構も、脚色も混じっていない実話である。

2005年5月にも俺は「偶然の旅行者」というエントリを書いている。
そこにはこんなことが書かれている。

― この一週間、会うはずのない人々とお会いする機会が頻発している。
シリコンバレーでお隣で会社を経営していた茂田さんから
突然、電話がある。
「偶然、ブログを拝見しまして」
「おお、お久し振り、それじゃ月曜日にでもお会いしましょう。」
この二日前、やはりシリコンバレーのビジネスカフェで
オフィスマネージャーだった奥山くんからメールが入る。
「帰ってきました。」
「おお、元気?それじゃ今晩飯でも食いましょう。」
今日は、アーバン時代からの社員だった待場くんが
ニューヨーク役者修行から戻ってきたという。
「お久し振りです。」
「おお、じゃいまから寿司でもくいにいくべ。」
こんな風にして、おそらくはそのまま生き別れになってもおかしくはない
人々が偶然にも集まってきたのである。

さて、この日の俺のブログをインターネットで偶然に発見し、
以後ずっと読み続けてきた人間がいた。
だいぶ前にカリフォルニアで会って以来、
再び会うことがあるだろうかと思っていた人間である。

『東京ファイティングキッズ』にも登場する
東京から家出して、カリフォルニアにたどり着き、
そこで、ヒスパニックの家庭にホームステイした吉田光博くんである。
通称ミッツ。
彼の流浪の旅がそこから始まり、最後に俺の会社に流れ着く。
十年の歳月を経て、ミッツと俺は仕事で、彼の流浪の出発点であった
カリフォルニアに出張し、その地で、
ヒスパニックの家族に面会してみようということになった。
その顛末は、『ファイティングキッズ』に記したが、
あたかもハートウォーミングなテレビドラマを見ているような感興があった。

さて、本日、
新宿のラジオカフェで仕事を済ませて
俺は、先日の『高橋源一郎・内田樹・平川克美の三酔人経綸問答』を
イヤホンで聞きながら、山手線に座っていた。
ふと顔を上げると、
俺のまん前のつり革の男と目が合った。
男の顔がゆがんだ。

「社長。」
「え。」
「連絡しなくて申し訳ありませんでした。」

俺は一瞬目を疑った。
「おお。よせやい。ホントかよ。」

その男は、本を読んでいて、ふと目の前のベンチの俺を見て
俺が以前彼が勤めていた会社の社長であることを悟ったのである。
これも、偶然という言葉で説明できるものなのだろうか。
まるで、ハートウォーミングな韓流ドラマのようじゃないか。

「僕、帰ってきたんです。
連絡できなくて、胸が痛かったのです。
社長が丁度、「偶然の旅行者」というブログを書いたときに「偶然」
サイトを発見して、それからずっと社長のブログ読んでいたんです。」

その男、吉田光博くん、すなわちミッツと、
俺はこうして出会うことになったのである。
出会うことのありえない、カリフォルニアと東京の空間を圧縮した
混雑した山手線の中で。

彼は、読んでいた本のカバーを外して、俺に見せてくれた。
表紙には『株式会社という病』と書いてあった。








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最終更新日  2007.06.23 06:22:14
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