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カフェ・ヒラカワ店主軽薄

カフェ・ヒラカワ店主軽薄

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2007.06.24
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カテゴリ:ヒラカワの日常
雨ふる日曜日。
まるの歯を磨く。
まるは歯槽膿漏が悪化している。
歯茎から血が出て、吐息が臭い。
歯ぐらい自分で磨けよ。
そう、つぶやきながら、ごしごしと磨いてやる。
やはり、医者で根底的に歯石をとらないとだめなのかもしれない。
俺も歯槽膿漏で苦しんだ。
喫煙が歯茎に悪い影響を与えるという。
まるも、俺に隠れて喫煙しているのだろうか。
ヘビースモーカー犬。
酒も飲むのか。
酔いどれ犬。
暗い雨ふる日曜日に、
加齢臭のおやじが、加齢臭のポチと散歩している図は
長寿国の未来図である。
哀愁はあるが、悲惨とは言えない。

豚肉を牛肉と偽って売っていた業者がいた。
食べて見ると、牛肉の色をしていて、牛肉の味がするそうである。
「がんもどき」ならぬ「牛肉もどき」である。
鉄分調合と味覚の研究を重ねて、コストダウンを図ったのであろう。
♪どうせあたしを、だますなら だまし続けて欲しかった
ほかに、何が言える?
このおっさんを、極悪非道の罪人であると
マスコミも識者も指弾しているが、
競争優位、コストダウン、利潤追求をつきつめれば
これは「経営努力」のひとつの必然ではないのか。
俺は、この「島田洋七もどき」(似ている!)のおっさんを弁護するつもりはないけれど、
このおっさんが、商品に「牛肉」と表示せずに、
「牛肉風」と表示すれば何の問題もなかったということなのか。
だとすれば、かれの罪はただ、表示を偽ったこと「だけ」である。
魚肉ソーセージが、大好物であった俺はつい、そんなふうに思ってしまう。
残余は、己の味覚に騙されて食った奴の自己責任である。
騙された方が悪いというのは、自己決定、自己責任、自己実現を旨とする
グローバル市場主義の必然的な結果であって、
みんなで市場経済に加担してきたのである。

「利潤」は透明な記号で、
その中にはいかなる倫理も道徳も含まれてはいないと。
「利潤」が試算表の数字になった瞬間に、
それを生み出した製造プロセスの文脈が外されて、
経営手腕や立身出世の物語が始まるのである。
商工リサーチや、帝国データバンクの信用調査の文脈の中に
製造倫理や販売倫理といったものはカウントされることはない。
金融機関の与信設定も、同じである。
試算表に計上される数字だけが信用の担保だということにしてきたわけだ。
このような製造プロセスと、資本蓄積プロセスの乖離の総体を
俺は「病」と呼んだのだと思う。
しかし、だからと言って、企業およびその活動のすべてが腐っていると
いいたいわけではない。
腐っているものはすべて廃棄すべきだとも思わない。
同時に、この病が発症して引き起こされた企業不祥事の原因が
すべて倫理観の欠如した悪しき経営者にあるわけでもない。

先の爆発エステの社長や、
偽装建築士や、
今回の偽島田洋七に対する
ヒステリックな難詰の声の主たちは、
正義は我にありとでも思っているのだろうか。
しかし、世界は善と悪、平和と戦争、勝者と敗者によって成り立っているような
単純で分かりやすいものではないだろう。
単純で分かりやすい思考の中にだけ、単純で分かりやすい世界があるだけである。
本当は世界は単純でもなければ、必要以上に複雑にもならない。
アダム・スミスが言ったように、
人間は自分がそうしようと思うこととは違うことを実現してしまうということである。
だから善悪はあざなえる縄のごとく映ずる。
そのことの意味が分からなければ、
善は悪に、平和は戦争に、勝者は敗者に容易に入れ替わる。

人間は、自分に似せて病を内包したシステムを作り出し、
その上で生きているということに自覚的であるべきだといいたいだけである。
(じゃあ、どうすりゃいいと言うんだよ。)
だから、何度も言っている。
病は無くなりはしない。
必要なのは、病の自覚と、そこからしか導き出されない「節度」だと。

夜半に雨が上がる。
溝口健二の『赤線地帯』を見る。
このリアリズムは悲惨だが、絶望的とは言えない。





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最終更新日  2007.06.25 00:29:40
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