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【夫婦の破綻】
アンナとブロンスキーとの噂が街中に広がっていくのに呼応するように、アンナと夫の内面的な交流も徐々に失われていくようになります。 冷静で理論家で実務的能力が高いカレーニンも、家庭問題に関しては逃げの一手でしか対応することができないのでした。 その降りかかった問題を忘れるべく、カレーニンは仕事に打ち込みすぎて、体を壊してしまいます。 二人の決定的な転機は、ブロンスキーの競馬レースを見学した帰り道に訪れることになります。 ブロンスキーの落馬を目にしたアンナは、大変に取り乱してしまうのですが、そのふるまいについて「あなたの振る舞いはまったくはしたないことだ」と言って妻を責めます。 この台詞によって、火がついたアンナは夫よりもブロンスキーを愛していることを夫に向かって言う。 「あたしはあなたを憎んでいるのです。さあ、あなたのお気にすむように、あたしをどうなりとなさってください」 それに対して、夫は「そうか、だが、ある時期までは、外面的だけにしろなんとしても対面を保ってもらいたい」と最終通告し、二人の関係は破綻してしまいます。 カレーニンにとって大切なことは、夫婦間の問題が外に露呈することによって、今までの世間体が保てなくなってしまうという点であり、彼はそのことを何よりも恐れていたのですね。 僕が以前働いていた会社にもこういう人だろうなという人は、おりました^^。 アンナは、《夫になにもかもいってしまって、本当に良かった》と思い、ブロンスキーとの甘い思い出に浸って彼の訪来を待つのでした。 う~ん。これは、いろいろな感想があるところだと思います。 ロマンのない感想ですが僕には、アンナは、イメージに動かされすぎてしまっているという風に見えてしまいます。 白馬に乗った王子様というイメージは、内的には存在しても外的には存在しないということをアンナは理解していなかったという風に。 内面的なイメージと外面的な事実を混同してしまっていると思うのです。 事実、このアンナの選択は彼女にとって不幸への決定的な一歩を踏み出した瞬間になってしまいます。 カレーニンの思考は非常に外向的で、アンナの思考は非常に内向的といえるのではないでしょうか。 河合隼雄さんによると、外向的な男(女)と内向的な女(男)とは、漫才の突っ込みとボケのように呼応しあって非常にうまく行くらしいのですが、それも、中年になると、「相手のことをまったく理解していなかった」という風に思い始める時期が訪れるそうです。 もしそれを、自分の不足している部分を認識するいいキッカケという風にとらえることができれば乗り越えられるそうですが、「なんでこいつはこうなんだ」 という風に思ってしまうと、うまくいかないそうです。 アンナもブロンスキーも、後者にはまってしまい、ふたりの関係は破綻してしまいました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 26, 2004 11:58:01 PM
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