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【エルグショーヴォ村のドリイ】
ドリイは、別荘のエルグショーヴォ村に6人の子供達としばらく滞在することになりました。 夫ブロンスキーにとっては、妻がしばらくの間留守になることは、何かと好都合であったし、ドリイにとっては、病気上がりの子供にとっての健康や、そして何よりも、日常の雑事からくる心労を紛らわすためにも田舎でしばらく休息をとりたかったのですね。 ドリイにとって、6人の子供の面倒を見るということは心身ともに大変苦労を伴うものでしたが、逆に子供達のめんどうを見ることが「ただひとつの望みうる幸福」でもあったのです。 しかしながらその喜びは「砂の中の金」のように小さな目立たないものでした。 そして、「悪いときには悲しみばかりを、ただ砂ばかりを」見ていたが、良いときには「ただ喜びばかりを、金ばかりを」見るのでした。 彼女にとって子供とは、「母親にとって耐え難いものである」と同時に「彼女の悲しみを償ってくれる」存在でもあったのですね。 そして、ドリイはその点を自ら自覚しており「子供達によって自分を幸福だと考え、子供たちを誇りに思う」のでした。 う~む。よき母親ですね。僕は、母親になった経験がないので良くわかりません(--)。 でも、とにかく、彼女にとっての心の支えは6人の子供だったのです。 そのエルグショーヴォ村の別荘にリョービンがやってくることは、ドリイにとってもこの上ない喜びなのでした。 リョービンは、ドリイのよき理解者であり、そしてなによりも、リョービンの「細やかな思いやりや感情のデリケートなところ」を気に入っていたのです。 リョービンはドリイからキチイがまもなくこの村にやってくることを知らされます。 しかしながら、リョービンにとってキチイがくるという知らせは依然として喜べるものではなかったのでした。 彼には、まだ振られたときのショックが残っており、キチイとの「より」を戻すことは、考えられない段階だったのですね。 リョービンの味方であるドリイは、今一度キチイとの「より」を戻すべく、リョービンの気持ちに働きかけようとしますが、これも失敗に終わってしまいます。 【リョービンの心固まる】 ポクローフスコエに戻ったリョービンは、自分の農地の傍らの小道で星を眺めながら一人で一晩中物思いにふけっています。 彼は、まさに今「何か」を決断しなければならない、といった気持ちになっていたのです。 それは、あるいは結婚かもしれないし、引越しかもしれないし、土地を買うことなのかもしれなかったのですが、それが何なのかは分からなかったのですね。 《さて、おれはいったい、どうすればいいのだろう?どんなふうにやったらいいのだろう?》 ちょうどそのとき、一台の箱馬車が小道を横切っていきます。 その箱馬車の中の白いリボンがついた帽子をかぶっている若い娘と目が合ったその瞬間、彼の悩める心は決まったのでした。 それはキチイだったのですね。二人は、その一瞬の間にお互いを認め合い、そして、その瞬間に分かり合ったのです。 やはり彼はキチイを求めていたことを知るのです。 《おれはあの人を愛しているのだから》 この第3篇12章は、一番ステキな部分です。 BGMにカレリア組曲のバラードを流して読むと気分に浸れます(--)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 29, 2004 11:50:37 PM
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