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カテゴリ:出張の達人
出張続きだったので文庫本4冊を鞄に入れた。 列車旅には本がつきものである。 新幹線の場合は新刊の難しい本も読むが、 ローカルな景色の場合はそれなりの本がいい。
今回も大阪を過ぎると、嵐山光三郎氏の「温泉旅行記」に変えた。
彼の文書は面白い。 切れもあるが、人情味溢れるペーソスがある。
型破りな放浪癖の生き方に共感する。 旅とちょっぴり文学と、温泉三昧の生き方・・・・・・
私の行ったことがあるところが出るといっそう引き込まれる。 「なぜブンジンは温泉にはまったか」の章を読むとこないだ行った加満田がでていた。
「僕はかねがね、旅館という商売は割に合えわいと思っている。 略 春風に誘われて、箱根と奥湯河原に行くことにした。 昼酒を飲んで、花見をしながら、温泉につかる。 つま先が浮き足立ってレロレロになる。下駄をつっかけて、カランコランと散歩する」
奥湯河原の加満田旅館をこう紹介している。 作家と同じ家具調度を使い、同じ部屋で眠る幸福・・・・
「二十年前は、加満田旅館の庭は桜が満開であった。 黒々と繁る杉山を背景に倦んだように咲いていた。 桜の花びらが目玉にウロコのように貼りついた。
そのとき、水上さんは、小林秀雄の話をした。
水上さんは加満田で『越前丈人形』『飢餓海峡』『銀の庭』ほか多くの小説を書いた。
加満田で執筆した作家の話を(先代の女将に)うかがった。
舟橋聖一、尾崎士郎の武勇伝に始まり、・・獅子文六、幸田文、壇一男、 松本清張、・・画家では鏑木清方、・・財界では本田宋一郎がぶらりと投宿していった」
そうかあの宿はやはり凄い宿だったのだなと思った。 いやぁ、あの値段ならめちゃ安かったのだといまさらながらに赤面した。 お恥ずかしいコメントをご主人と女将にしたことを後輩のよしみでお許しいただきたい。
その時のブログは ↓ ↓ ↓ ↓ http://plaza.rakuten.co.jp/hiroshi777/diary/200810280003/
http://plaza.rakuten.co.jp/hiroshi777/diary/200810300002/
正確を記すため、嵐山さんの加満田の描写を引用しよう。
「加満田旅館は総檜作りで、森の中の書斎といった趣がある。大寒山の山麓に 五千坪の自然庭園があり、15部屋のみの宿である。料理は、しっとりと 舌に切り込んでくる。日本に現存する旅館で、時間の質と厚み、文士とのかかわり で、加満田旅館の右に出る旅館はないだろう」
窓に過ぎ行く風景を見ながら、読書三昧は進む。
九州の温泉旅行の話になる。 嵐山さんは、壇先生から、君が一番あの放浪壁のある息子の太郎と 気があうだろう言われた。以来太郎さんと無二の親友となった。 二人の放浪旅は無茶苦茶、ハチャメチャである。
そんななかでこの間探し当てて行ったばかりの福岡の万十屋の話が出ていた。 http://plaza.rakuten.co.jp/hiroshi777/diary/200901250005/
嬉しくなったのでそのさわりも引用しよう。
「能古島からフェリーで姪浜に戻ると、なにはともあれ万十屋のモツ鍋を食べに 出かける。万十屋のもつ鍋のしぶとさはダントツで、他店を圧倒している。 びっくりするほど安い。太郎さんが強力に肩入れしている店で、ぼくも福岡に いけば、なにはともあれ万十屋参りとなる」
ああ、どこか温泉にぶらり旅にでたくなった。
奥湯河原加満田旅館の露天風呂と内風呂
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