ハカリを選ぶときの大事な注意事項。検定証印付きあるいは基準適合証印付きで定期検査の受検を要する使用事例。
2012-11-06ハカリと検定制度(タイトル)ハカリと検定制度(国家検定証印が付いたハカリを使用しなければならない場面)(本文)質問(問い。クエッション Q) はかり(質量計)を使う場合に、国家検定に合格した製品を使わなくてはならないということを聞きました。その内容を教えてください。お答え(アンサー A)はかりと検定と計量法の関係について はかりは商店などでモノを計って売るという場面で使用する場合には検定付き(または基準適合証印付き)でなけらばなりません。これは計量法が定めていることで、商取引の安全を確保するための制度です。一般の方はあまりご存じないようですが、お問い合わせいただいた場合にお答えしていることです。私たちの通販サイトは計量器の購入と使用に当たって、法に適合するよう関連の知識の提供にも努める所存でおります。 以下にはかりと計量法の検定制度のことを簡単にご説明申し上げます。はかりと検定制度(はかり使用のための一般的知識) 日本の計量制度は、計量法を骨格として構成されています。計量法は法定計量単位を定めているほか、取引・証明に係る計量の安全を確保するために刑事罰を内容に含めた規範を国民に求めております。通常、善意に計量を実施する分には刑事罰を科せられるようなことにはなりませんが、取引と証明に係る適正な計量の実施を確保するために守るべき事項が定められております。 ですから、取引と証明に用いられるはかりに関して計量法は、比較的厳重な法令の体系を構築しておりますので、この分野ではかりを使用する場合には以下に述べる事項をふまえておいて下さい。 基本的事項に係わるキー・ワードは「取引または証明にはかりを使用する場合」です。一般ユーザーが心得ておくべきことそれは「取引」または「証明」にはかリを使用する場合には検定証印もしくは基準適合証印付き製品であることと、購入後には定められた一定期間ごとの定期検査に合格していることです。それと正しくはかりを使用し、正確に計量することです。守るべき基本的事項はこれだけのことですから、十分に注意して優良なはかり使用者になって下さい。 「取引および証明」に係る分野で計量がいい加減に実施されますと、信用を前提とする日本の社会が混乱し、経済や文化活動の基礎がくずれてしまいますから、社会的にみて最低限度守らなくてはならない「決まり」を国は計量法で定めているのです。 一般ユーザーが守るべき「決まり」は次の3つです。(1)検定証印もしくは基準適合証印が付されたはかりを使用すること、(2)使用中のものは期間が定められている定期検査に合格し、定期検査済証印の有効期間内にあること、(3)正しく使用すること、傾いたりしないなど設置場所等が適正であること、使用に当たっては0点をしっかり調整し、風袋引き等の操作を適正に実施すること。 これら3つの難しいことは何もない「決まり」に従って計量することです。 難しいことではないのですが、はかりが傾いていたり、指針が0にならないまま計量していることがありますし、定期検査を受検していない事例が散見されます。 またもっとも初歩的な事項ですが、取引および証明の用途にはかりを使用するにも関わらず、それに適合したはかりとしての第一条件である、「検定証印もしくは基準適合証印が付されたはかりを使用すること」という条件を満たしていない事例も少なからずあります。ですから、「ものをはかて売る場合には検定付きもしくは基準適合証印付き」ということだけは心得ておいて下さい。 検定証印付きおよび基準適合証印付きのはかりは、取引および証明に使用するのに必要な条件を満たしたはかりであるということです。このため計量法は型式承認制度を設けて、はかりの器差が適正であるかどうかという以前の段階での耐久性等を含めた構造面の検査を実施しております。 取引および証明の分野で使用されるはかりは、社会的に妥当な丈夫さと精密さを備えているように計量法は諸規定を設けております。検定証印付きあるいは基準適合証印付きのはかりであってもどれもが同じということではありません。精密さも様々ですし、用途も水に強い、衝撃に強い等々様々ですから、使用目的に適合したひょう量と目量等を総合的に判断して検定付きのはかりを購入することになります。 計量法は、消費者・生活者の立場からは購入する消費・生活関連の物資がどんな場合にも適正に計量されている、ということを実現する経済・社会的システムでありますから、はかり使用者は通常の気遣いがあれば遵守できる計量法の諸規定に従って適正な計量を実施して下さい。 はかりは質量をはかる計量器であり、はかりは計量法とともにあると思い込んでいる方は多いと思います。産業と経済が発達しますと、取引および証明分野の用途の絶対量は減りませんがはかりの生産数量に対する割合は小さなものになります。現在、日本で生産されたり販売されているはかりの中の一割程度が取引および証明の用途に回されると考えてよいでしょう。 ですから、はかりの全てが計量法で厳しくしばられて、強固な規制を受けているわけではありません。検定証印付きもしくは基準適合証印付きとして出荷されるはかりは、供給されるはかりの一割程度、過大に見積もりましても二割以内にとどまります。取引・証明分野以外でしたら検定証印付きである必要はないのです。従って、社会に供給されるはかりの大多数は検定証印の付かないものであります。 一昔、二昔も前のことでしたら検定証印の付いたはかりは検定証印の付かないはかりよりも性能が良いという傾向はありましたが、いまは違います。同じ生産ラインの製品の中から必要があれば一定の数だけ検定あるいは基準適合検査を実施するということであります。 検定証印ならびに基準適合証印付きは検定検査規則の要件を満たしたはかりでありますが、検定証印ならびに基準適合証印付きの基本的要件は取引および証明に使用するに足る必要十分な条件を満たしているということであり、その内容は社会と時代の要求に適合したものとなっています。 検定証印もしくは基準適合証印付きでない高性能・高耐久・高品質のはかりは数多く存在しますし、質量を計測するというはかり本来の目的からすると取引・証明分野こそが特殊領域ということになります。 質量計測のテクノロジーは、はかりメーカーが他を抜きんでていることは確かでありますが、質量計測を必要とするのは一般産業であります。質量を計測して工場・事業場本来の機能を実現することが一般産業がはかりならびに関連システムを設備する目的です。 設備される質量計測システムはときには一億円、一〇億円あるいは一〇〇億円単位のものになることもあります。はかりをそのように広く見るべきですし、質量計測を複眼的に見ることは、はかることの可能性を広げることになります。 新素材開発等を含めた微小な質量の測定分野では、質量を正確により細かに求めるために、検定の合格条件をはるかに超える諸性能をそなえたはかりが、単体あるいはシステムとして備えられて、稼働しています。 商店などで客に品物を計って売る場合、つまり商取引(あるいは証明)を目的としてはかりを使用するときに気を付けておくべき事項は以下の三項目です。(1)検定証印もしくは基準適合証印が付されていますか。(2)定期検査済証印の有効期間を満了していませんか。(3)使い方は適切ですか。はかりが傾いていませんか、0点はしっかり調整されていますか。 なお、計量法の特例措置によって、一部のはかりは届出済証をもって検定証印とみなされておりますから届出済証のシールの貼られたはかりの有効期間等については、はかり販売店または各都道府県の計量検定所、計量検査所等に問い合わせをして、以後の対応をあらかじめ心得ておいて下さい。 どのような場合にはかりが計量法上の規制を受けるかといいますと、何度も繰り返しておりますが「取引」および「証明」に関する行為に係わってであります。 「取引」とは物または役務の給付を目的とする行為のことです。商業取引と考えて不都合がありません。「証明」とは一定の事実が事実であるむねを表明することです。一般の商店などにおけるはかりの使用は「取引」に関する行為となります。 「取引・証明」にはかりを使用する場合には検定証印付きあるいは基準適合証印付きが条件となります。「取引・証明」以外の用途にはかりを用いるのであれば、検定証印付あるいは基準適合証印付きである必要はありません。 商品の内容量についての計量結果の表明に関しては、取引当事者間における計量およびその計量結果の表明は取引上の計量であり、取引当事者以外の第三者による計量およびその計量結果の(両者又はいずれかの一方の)当事者への表明は証明であります。〔検定証印付きあるいは基準適合証印付きで定期検査の受検を要する使用事例〕(1)商店等が顧客に品物を計って売る場合。(2)計量証明事業者が証明書を発行することを目的として計る場合。(3)医師の健康証明書に記載するために体重を計る場合。(4)体重別等のスポーツ競技において選手の体重を証明するために計る場合。(5)学校等における体重計=学校、幼稚園、保育所又は福祉施設等の体重測定に使用される非自動はかりであって、その計量値が健康診断票等に示され通知、報告されるものについては、証明における計量に該当する。(6)小包郵便物および一般郵送事業者の宅配便の取次業者の取次店における料金特定のための計量は、取引における計量に該当する。〔検定証印付きあるいは基準適合証印付きである必要のない使用例〕(1)工場等の製造設備ライン等で製品の品質を高めたり、合理化等を目的としてはかりを用いる場合。(2)各種の試験・研究、薬品の開発等で超精密な計量を行うのにはかりを使用する場合。 (3)私的に各種の品物の質量の差異を調べる場合。(4)有料体重計=目安程度のものであれば証明における計量に該当しない。