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カテゴリ:★★★★☆な本
俺は今昔亭三つ葉。当年二十六。三度のメシより落語が好きで、噺家になったはいいが、未だ前座よりちょい上の二ツ目。自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短い。女の気持ちにゃとんと疎い。そんな俺に、落語指南を頼む物好きが現われた。だけどこれが困りもんばっかりで…胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる。読み終えたらあなたもいい人になってる率100%。 <感想> ★★★★☆ 佐藤多佳子さんは、07年脚光を浴びた作家の一人です。 前から読みたいと思っていましたが、とりあえずこの作品を手にとってみました。 さて、本書の主人公は若いながらも、古典落語にこだわる一本筋の通った落語 家の今昔亭三つ葉。 そんな三つ葉のところにテニスコーチの友人、元劇団員 の女、いじめにあっている(と思われる)小学生、選手を引退して解説の仕事を 始めたばかりの元プロ野球選手の4人が、落語を習いくるという筋立てです。 設定もありがちだし、あまり期待をしないで読み進めましたが、ところどころ に垣間見える描写の巧さと、優れたキャラクターの造形力に引き込まれてイッ キ読みしてしまいました。 あえて、まとめすぎないラストにも好感がもてました。 普段あまり本を読まない方から、そこそこ本を読むという方までを満足させる力 を持った作品です。 さっそく、積読になっている『一瞬の風になれ』に着手しよう と思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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