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テーマ:お勧めの本(7220)
カテゴリ:★★★★★な本
そうか、あなたがいたんだ。迷っても、つまずいても、泣きそうでも。人生って、そう悪くない。「女どうし」を描く六つの物語。 <感想> ★★★★★ マーケティングという言葉があります。 どんな人たちに訴えかければ 商品が最も売れるのか? 本。とりわけ文芸書に関して言うなら、20 ~40代の女性と団塊世代になるのではないかと思います。 もちろん 読者は幅広い層に分布していますが、それが消費行動(出版社の儲け) に結びつく人たちは限られています。 それを踏まえるなら西加奈子と いう作家は、その最前線にいる一人です。 さて、デビュー作の『あおい』こそ、ちょっとトンガっていましたが、西加奈 子さんは恋愛モノより、人情モノを得意としているように思います。 人 情モノと言っても、従来の演歌系ではなく、市場を意識したポップス系。 友人同士や家族間で生じるであろう機微をユーモアを交えながらリアル に描いていきます。 主人公の女性たちは、寒さを堪えながらセーター を編んでいませんが、泣きどころはしっかり抑えている。 それは、この 作品集のコンセプトとも重なります。 好むと好まざるに関わらず、片意地を張って生きている女性が素直にな る瞬間を描くさまが秀逸で、それが押し付けがましくない泣きどころにな っています。 そこまで歌って、やめた。 私の目に、母の字が、飛び込んできた、 「ナベ」「しょっき」「ヤカンナド」 大きな大きな、ダンボールからはみ出してしまいそうな字だった。 その字を見ていたら、泣けてきた。 なんて大きな字、子供みたいな。 そう思って、笑いながら、泣いた。 その涙はとても熱く、じわじわと体の奥から湧き出してきて、決して、 決して止まらなかった。(『シャワーキャップ』) ↑もう、このあたりは、オッサンも泣きましたが、全米が泣いた!!状態 です。 今年読んだ、短編集の中ではピカイチでした。 猫がお好きな方には、表題作がおススメです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.11.29 06:08:57
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