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カテゴリ:★★★★★な本
なぜ私は母に疎まれるのだろうか。どうすれば愛されるのだろう―。親からの虐待を受けて、傷つく少女。その痛みと孤独を共有できたのは同じ境遇にある少年だけだった…。ひとりで生きるには幼すぎたあの頃。大人の理不尽な暴力に悲しみをつのらせ、未来は果てしなく遠かった。〈家庭〉という最も危険な場所で生きる少女たちの世界を静謐な文体で描き、心を深く衝く作品集。 <感想> ★★★★★ 安達千夏さんの作品で単行本化されているものは数冊です。 『モルヒ ネ』は40万部売れたようですが、いわゆるベストセラー作家とは一線を 隔しています。 ただ、女性作家のアンソロジーで出会う確率はかなり 高くて、売れ筋作家とは一味違う、キレのいい短編を読むことが出来ま す。 文章は小川洋子さんに近くて、静謐という喩えがしっくりきます。 小川さんがあれだけメジャーになったんだからベストセラー作家の素地 はあると思いますが、重い作品が多いせいか、イマイチ一般ウケしない ようです。 まぁ~そこが魅力だったりもするわけですが・・ さて、前置きが長くなっちまいました(汗) 本書は児童虐待をテーマにした三作が収められています。 児童虐待なんてメチャクチャ重いじゃん・・と思われがちですが、 そんな想像を払拭してしまうほどの重さで、元気がないときに読むと ヒジョーにキケンです。 しばしばニュースになる児童虐待ですが、その実態は闇に包まれて います。 加害者について語られることはありますが、当然ながら被 害者について語られることはありません。 本書は、圧倒的な絶望を 抱えて生きなくてはならない子供たちの孤独を描いています。 外側から、決して見ることのできない暗くて深い井戸の内側には、小 さな崩落や傷がいくつもあるはずです。 しかし、私たちは見ること が出来ないのではなく、それ以前に見ようとしていないのではないか? そんなメッセージも伝わってきました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.01.03 18:22:51
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