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テーマ:お勧めの本(7220)
カテゴリ:★★★★★な本
子どもへの性犯罪が起きるたびに、かつて同様の罪を犯した前歴者が殺される。卑劣な犯行を、殺人で抑止しようとする処刑人・サンソン。犯人を追う埼玉県警の刑事・長瀬。そして、過去のある事件が二人を結びつけ、前代未聞の劇場型犯罪は新たなる局面を迎える。『天使のナイフ』著者が描く、欲望の闇の果て。 <感想> ★★★★★ 薬丸岳さんの作品は三冊目になります。 そろそろハズレを掴まされる のではないかと覚悟して読み始めましたが、この作品も大当たりでした。 読みやすいけど軽薄なミステリーが多い中にあって薬丸さんは稀有な 存在なのではないか?などと感じ始めています。 さて、『天使のナイフ』では少年犯罪を、『虚夢』では刑法39条がテーマ としてチョイスされていましたが、本書のテーマは子供への性犯罪。 そ の事件の被害者遺族と加害者の関係性です。 性犯罪の事件が起きるたびにサンソンと名乗る人物が、過去に同様の 罪を犯した者達が殺していきます。 その事件に関わることになる刑事 は性犯罪事件の犠牲になった遺族のひとりです。 ミステリーとしても 十分楽しめますが、性犯罪を憎むあまりにサンソンに肩入れしてしまう そうになる刑事の内省を余すことなく描いています。 着地点に関しては賛否両論があると思いますが、即ちそれはこのテー マに対する著者の投げかけだと思います。 初期の宮部みゆきさんが 好んで書いていた社会派ミステリーがお好きな方におススメします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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