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テーマ:お勧めの本(7220)
カテゴリ:★★★★★な本
小学校4年生の結仁は魔法使いになりたいと真剣に願うちょっと変わった女の子。放課後は毎日、幼なじみの史人、葵と魔法使いになるための特訓をしていた。合い言葉は、「3人の願いが叶うまで魔法使いクラブをやめてはいけない」。しかしある日、七夕の短冊にその願いを書いたことがきっかけで一瞬のうちに、クラスの笑い物になってしまう。一人だけ違う世界にはじきとばされたような、さみしくて怖い気持ちに襲われる。8年後、高校3年生になった結仁はまだ、「世界は突然自分を裏切り、はじきだす」という呪いのような記憶にしばられて生きていた─。
<感想> ★★★★★ 青山七恵さんといえば、お若いながらも短編の名手というイメージがあり ます。 しかし、この分厚さ、ファンタジーを思わせるタイトル。 版元は新 手のベストセラー商法でおなじみの○冬舎。 う~ん。 ちょっと違うかな ぁ~と思いつつ避けていましたが、なかなかの読みごたえでした。 さて、本書は主人公の小学校低学年から高校卒業までを三部に分けて 描く、青春小説風の作品です。 タイトルの魔法使いクラブは主人公を中 心とした三人のグループを指します。 それぞれが成長していく過程で、 変容する三人の関係性と、崩壊してしまう主人公の家庭。 ファンタジー を思わせるタイトルを踏まえるなら、かなり重い展開になっています。 読 者の好みによると思いますが、私はデビュー作の『窓の灯』を読んだとき のザラザラ感を思い出しました。 私がもっとも秀逸だと感じたのはラストです。 残りページが少ないにも関 わらず、なかなか終わりが見えてきません。 どういう風に落とすんだろう ??と不安になりつつ最終ページに辿りつきます。 最後の一行・・・・・・。 あっ!と思って冒頭の一行に戻ると、主人公の今後を暗示するキーワー ド(←読みにくいと思いますがあえて黄色で)のようなものが隠されています。 長編でありながら青山七恵さんのエッセンスを損なわれていないし、個人 的にはとても好きな作品です。 ただ、あちこちの読者書評には、タイトル のイメージから「ハズした」という書き込みも多く見かけました。 そのあた りは踏まえて読む必要があると思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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