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テーマ:お勧めの本(7220)
カテゴリ:★★★★★な本
平成の「文士」である車谷長吉が選ぶ偏愛小説集。 <感想> ★★★★★ 子供の頃、学校の先生や親から本を読みなさい!!などと言われます。 知識と教養を身に着けるためだと思われますが、小説に限定した場合 それはいかがなものか?などと思ったりもします。 読解力は若干つき ますが、そんなものが役に立つのは入試ぐらいで社会に出れば何の役 にも立ちません。 基本的には単なる暇つぶしで、私にとってはネットをしたりパチンコに行 ったりするのと何ら変わることはありません。 ただ、時たまですが小説 を読む意味を明確に感じさせてくれる作品と出会うことがあります。 さて、やたらと前置きが長くなりましたが、本書に収められているのはい ずれも小説を読む意味を明確に感じさせてくれる作品です。 篇者であ る車谷長吉さんにこだわるなら、こんな小説を読んでいるとあんな小説 が書けるということだと思います。 収められている作品は以下の通りです。 青梅雨(永井龍男)/台所のおと(幸田文)/水(佐多稲子) 盆切り(藤枝静男)/沼津(大岡昇平)/力婦伝(花田清輝) 文字禍(中島敦)/蝶(石川桂郎)/追跡の魔(埴谷雄高) 断碑(松本清張)/お公家さん(白洲正子)/辰三の場合(吉 田健一)/いのちの初夜(北条民雄)/お紀枝(島尾敏雄) 太市(水上勉)/伯父の墓地(安岡章太郎)/札の辻(遠藤 周作)/怪物(三島由紀夫)/物と心速い馬の流れ(小川国 夫)/犬狼都市(渋沢龍彦)/骨餓身峠死人葛(野坂昭如) ボール箱(半村良)/人生の一日(阿部昭)/東京発千夜一 夜(第百三十五話)(森遙子)/望潮(村田喜代子)/淀川に ちかい町から(岩阪恵子)/穢土(中上健次)/ソナチネ山の コインロッカー(高橋順子)/木枯し(車谷長吉) 『いのちの初夜』と『木枯し』のみが再読。 印象の強い作品を赤字 で表記しました。 『断碑』は芥川賞受賞作の『或る「小倉日記」伝』 を彷彿とさせる作品で松本清張のもうひとつの側面が垣間見えま す。 『ボール箱』は、めちゃくちゃ笑えますが格段に巧い掌編小説 です。 なんといってもタマゲたのは『骨餓身峠死人葛』 もう『火垂 るの墓』を観て泣いてる場合じゃありません。 私の中で野坂昭如 さん赤丸急上昇中です。
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最終更新日
2011.01.30 15:15:30
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