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カテゴリ:★★★★☆な本
貧しく孤独な生い立ち、失意の青春時代、そして作家としてデビューするまでの苦闘の日々を、切々と告白した心うつ魂の記録。 <感想> ★★★★☆ かつて、長者番付(高額納税者公示制度)なるものが例年発表 されていました。 新聞などでは分野別に発表していて、松本清 張は作家の分野で常に名前が記されていました。 作品を読むようになり、そんな大ベストセラー作家がかなりの苦 労人だと知りましたが、私小説の体裁をとっている本書では、そ のすさまじい苦労ぶりが詳細に描かれています。 小学校しか出ていないとか、朝日新聞で版下工をやっていたな どのエピソードは有名ですが、戦後は北九州から西日本一帯 を旅しながら、箒を売り歩いていたというのは初めて知りました。 代表作である『砂の器』に物乞いをしながら旅を続ける親子が 出てきますが、それは清張が行商をしながら、どこかで見た光 景だったのではないだろうか?などと思ったりもしました。 清張作品は社会から抑圧されている弱い立場の人たちを描い たものが数多くあります。 彼はなぜそんな作品ばかりを書い ていたのか?そして、それらの作品がなぜ多くの人に受け容 れられたのか?そのヒントがこの私小説に隠されています。 清張ファンはもちろんですが、単純に貧乏話がお好きな方に もおススメします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.08.30 13:49:56
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