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昼ドラHolic ~美しい罠~

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November 15, 2006
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カテゴリ:昼ドラ
不破が発作で倒れ、山荘が急激に慌しくなる。
看護師である類子は不破にかかりきりで、他の使用人たちへの指示も彼女が出していた。

このような発作で不破が倒れたのは初めてだ。
腰を多少弱めて杖をついている以外は年齢の割に体に大きな故障はなく、
放っておけば120の歳まで生きるんじゃないかと思えたほど、
堅固な肉体と精神とを不破は誇っていた。

まさか、このまま死ぬなんて事は・・・?
俺の仕掛けたゲームは何の意味も持たずに、このまま終止符を打たねばならないのか?
ベッドに寝かされた不破の苦しそうな顔を見て、
俺の脳裏に過去の様々な出来事が走馬灯のように蘇った。

結果、その死に隣した苦しみの中での奴の顔を見てさえ、俺の胸には憎しみしか湧いてこない。
幼少の頃から続いた俺への、そして母への虐待。
その長い苦しみに比べたら、今の不破の苦しみなんて実に安らかなものではないか?

そんな思いを抱えながら洗面所に行くと、類子が大きな氷にアイスピックを突き立てていた。
類子「死なせるもんですか。今死なれたら元も子もないもの。絶対死なせない!」
槐「・・・私が代わりましょう」
俺はシャツの袖を捲くり、類子からアイスピックを受け取って氷を砕き始めた。
作業をしながら類子に尋ねる。
「実際の所、どんな容態なんですか」
類子「今は痛みは治まったようだけど、狭心症の発作だと思う。
だけど、熱の高いのが気になるの」
槐「このまま死んだりするような事は?」
類子「そんな事はない・・・ないと、思うけど」
心配そうに眉を寄せる類子。その額に汗が滲む。

小谷教授が到着し、聴診器を不破の胸に当てた。
小谷「熱は?」
類子「39度5分です。1時間ごとに高くなってます」
小谷「これは単なる狭心症の発作だけではなさそうだな」
槐「危ないんでしょうか」
小谷「それはまだ、なんとも」
類子が心配そうな顔で俺を見る。
その目は、看護師として心の底から不破の身を案じているように俺には感じた。
小谷「熱の事を考えると、入院して検査をした方がいいでしょう。
ご家族に病状の説明と今後の相談がありますので、
沢木さん、皆さんにサロンにお集まりいただくよう伝えていただけますか」
槐「分かりました」

部屋を出て階段に向かうと、少し疲れた様子のレイさんと出くわした。
レイ「どう?恒大さんの様子は」
槐「今はまだ何とも。飛田さんも小谷教授も尽力してますから、レイさんはお休みになって下さい」
レイ「休むどころじゃないのよ。もう、大変。澪さんが自分のせいだって泣き喚いてて。
敬吾が慰めてあげればいいのに、川嶋さんと密談しているし。
きっと恒大さんが亡くなったときの財産の心配でもしてのね」
槐「・・・澪さんが泣いているというのは?」
レイ「この間の、敬吾が加奈子に手を出そうとした件が澪さんに知れちゃったのよ。
澪さんの性格を考えると、結婚は破談かしら。そうなると槐、貴方チャンスよ」
槐「何のことでしょう。それより、サロンにおいでいただけますか。
小谷教授から病状の説明があるそうです」

サロンに一同が集まると、小谷教授が説明を始めた。
「胸の痛みは狭心症の軽い発作だと思います。問題なのは熱の方でして・・・
血液検査をしないとなんともいえませんが、このところよく湖にも行ってるようですし
何か良くない菌にでも感染したのかもしれません。念のため、入院して様子をみられた方が」
すると、敬吾が強い口調で答えた。
「いえ、入院はさせません。このままここで様子を見ます」
ここからは距離もあるし、ましてや夜の山道だ。途中で何かあっては大変だ」
全員が驚いて敬吾を見る。
その表情に心配の様子はなく、寧ろ異様な活気に満ちているように見えた。

当然だ。不破が死ねば、敬吾にとって邪魔者はいなくなる上に莫大な遺産が手に入ることになる。
・・・そうはさせるか。ゲームに勝つのは俺だ。俺が不破から全てを奪い取り、苦しめる。
そうでなくては、俺が今まで自分を押し殺してきた意味が無くなってしまう。
そして、類子と俺で築きあげてきた数々の出来事が、全て水の泡となってしまう。

槐「では、ヘリを頼みましょう」
敬吾「ヘリだって安全とは限らない。このまま親父は動かさない」
槐「しかし・・・」
敬吾「俺は親父の息子だ。他人は黙ってろ」
小谷教授に敬吾が言う。「いいですね?先生」
小谷「まあ、ご家族の方がそうおっしゃるなら、私も無理にとは。
ここで出来るだけのことをやりましょう」
「お願いします」頭を下げる敬吾。
心の中で舌打ちをして川嶋さんの方を見ると、彼もまた敬吾を睨んでいた。

この川嶋さんという人は、不破の長年の右腕だけあってなかなかの切れ者だ。
不破が死んで敬吾が不破ファイナンスのオーナーになるとしたら、
不破に仕えたと同じように川嶋さんが敬吾に仕えるとは到底思えない。
むしろ自分が会社の実権を握ろうとするに違いない。
女と遊ぶ以外に能の無い敬吾を川嶋さんが操ることは、赤子の手を捻るように簡単な事だ。

レイさんが敬吾にそっと言う。
「分かるわ。下手に入院されるより、ここなら万一ってこともあるものね」
敬吾は澄まして答える。「何のことやら」

不破の部屋に戻ると、在るはずの類子の姿が見えなかった。
バスルームを覗くと、新しいタオルを持った類子が棚にタオルを仕舞おうとしている。
槐「打ち合わせが終わりました。入院はさせないそうですよ」
類子は驚いて振り返る。
「どうして?!検査しないと、この先どうなるか分からないわ!」
槐「敬吾さんの一存です。ここから動かして何かあっては大変だと」
類子「それじゃ見殺しにするようなものだわ!万が一悪い病気だったら・・・」
槐「それが敬吾さんの狙いでしょう」
類子の顔が青ざめる。
「まさか・・・敬吾は自分の親が死ぬのを待ってるってわけ?!」
槐「誰に遠慮することなく、正々堂々と財産を手に出来ますからね。
親を取るか金を取るか。彼じゃなくても心が動くでしょう」
類子は少し寂しそうな顔をして言う。
「・・・それにしても、哀れなものね。実の息子にまで見放されるなんて」
類子は不破の部屋を見た。ベッドには苦しそうに寝ている不破。
類子はその瞳に決心を浮かべ、強い口調で言った。
類子「こうなったら、尚のこと。何が何でも助けるわ。このまま死なせたりするもんですか」

不破の部屋に向かう類子の後姿を見て、俺は一抹の不安に襲われた。
思わず言葉が口をついて出る。
「同情ですか?未来の花婿に対する」
類子は振り返って言う。
「・・・それもあるけど。もちろん、私達のためよ。
計画通りゲームに勝つには、今あの駒を失うわけにはいかないもの」
俺の心に安堵が蘇る。
槐「その通りです。実にたのもしい」
類子「見直した?」
槐「ええ。あなたをパートナーに選んだ、自分を褒めてやりたい気分です」
微笑む類子だが、急に慌てたように言った。「患者が待ってるわ」

看病を続ける類子を見つめながら、俺は考えた。
お前が今不破を助けようと必死なのは、本当にゲームと同情だけなのか?
看護師と言う職業は、人を助ける為に在る。
しかし逆に、その知識を利用して人を支配し地獄へと落とすことも出来る。
いずれ俺は、お前のその腕を、不破の首を絞めさせる為に使うだろう。
その時に職業倫理が邪魔をする日が来てしまわないだろうか?

・・・いや。そんな事が出来ないよう、俺がお前を支配してみせる。
今でもお前は俺の手のひらで遊ぶゲームの駒だ。

献身的に不破を看る類子に背を向け、俺は部屋から出た。

扉を後ろ手に閉めると、そこに心配そうな顔をした澪が立っていた。
「槐!おじさまの様子は?」
槐「まだ熱が高いですが、先生の話では徐々に薬が効いてくると」 
澪「でも、細菌の感染が全身に及ぶようなら、命も危ないって聞いたわ」
槐「万一の場合は敬吾さんの反対を押し切ってでも病院に運びます」
澪が俺の手を取り、潤んだ瞳で俺を見つめて言う。
「槐、あなたが頼りよ。おじさまをお願いね」
澪は俺の胸に寄り添うと、静かにすすり泣きをし始めた。
その小さな肩が震えるのを見て、俺は思わず肩に手を添えた。
「泣かないで下さい。だんな様が倒れたのは、なにも貴女のせいじゃない」

その時、廊下の向こうから歩いてくる敬吾の姿が見えた。
咄嗟に澪から手を放したが、敬吾は怒ったように言う。
「・・・澪。何してる、ここで」
槐「澪さんはだんな様のご心配を・・・」
敬吾「お前は黙ってろ!」
敬吾は俺を睨みつける。
「澪は俺の婚約者だ。そしてお前はここの使用人。いつまでも子供の頃の気分を引きずるな」
吐き捨てるように言うと、敬吾はその場から立ち去った。
澪「・・・ごめんなさい」
澪は小さく頭を下げ、敬吾を追って行った。

ふと振り返ると、不破の部屋の扉を開けて、類子が俺をじっと睨んでいた。
「氷をお願い」
そう言うと類子は、扉を乱暴に閉めた。
俺はため息をついて、厨房へと向かった。

厨房から氷を持ってきて洗面所で砕いていると、類子が疲れた表情で来て言った。
「私がするわ。貴方、休んで」
槐「貴女こそ、少し仮眠を取った方がいい。だんな様は私が見てますから」
類子「大丈夫よ。徹夜なんて、現役の頃は当たり前だったから。
容態の変化を見なきゃいけないし、貴方には明日私が寝るときに働いてもらうわ」

俺は類子に全てを任せ、自分の部屋へと戻った。
しかし、ベッドに横になっても全く寝付けない。
時計を見ると、針は午前4時を指していた。

静まり返った山荘の廊下を静かに歩く。
灯りのついたサロンでは、疲れきった住人達がソファに掛けて眠っていた。
階段を昇り、不破の部屋の扉を開けると、嬉しそうな顔をした類子が俺を見た。
槐「だんな様・・・?」
類子が唇に人差し指を立てる。
「しーっ。今また、眠ったところ。熱が下がったの!
目を開けて、『いつものスープを飲みたい』って。
岩田さんに言って作ってもらってきてくれないかしら。あ、塩はいつもより控えめにね」

(2/2に続く)





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Last updated  November 15, 2006 07:08:25 PM
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王様@ 潮 吹 きジェットw サチにバ イ ブ突っ込んだ状態でジェット…
ボーボー侍@ 脇コキって言うねんな(爆笑) 前に言うてた奥さんな、オレのズボン脱が…
リナ@ 今日は苺ぱんちゅ http://kuri.backblack.net/-6jv9of/ 今…
しおん@ ヤホヤホぉ★ こっちゎ今2人なんだけどぉ アッチの話…
アゲチン@ ありがとうな!!!! http://bite.bnpnstore.com/ogwmxps/ ア…

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