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カテゴリ:伝統文化
毎年2月11日に行われる砂かけ祭りは、大和の奇祭として知られています。その遠慮のない砂の舞いっぷりに、新人アナウンサーのレポートには格好のイベントとして、テレビ取材がよく来るのだそうです。いったいどのようなすさまじさなのか、実際に行ってみることにしました。
砂かけ祭りが行われる廣瀬神社は、JR法隆寺駅からおよそ5kmの場所にあります。近くを走る路線バスもなく、砂かけが始まる午後2時まで時間がなかったため、タクシーを利用しました(計970円。帰りは歩いてかなり時間がかかりましたので、もし来年以降、行かれる方は駅前のレンタサイクルがオススメです)。地元では人気のお祭りらしく、神社の近くの道路が少し混み合っていました。 この砂かけ祭り、その歴史はかなり古く、日本書紀の記述によれば、675年に天武天皇が五穀豊穣を祈願する「大忌祭」(おおいみのまつり)を行ったのが始まりだそうです。砂を雨に見立てて、多く舞うほどによい、というわけです。 神社に着くと、すでに多くの参拝客が祭りの開始を待ち構えていました。雲一つない空の下、雨合羽をかぶり完全武装の参拝客ばかり。子供たちは水中メガネまでかけるという、かなりシュールな景色が広がります。カメラマンは、カメラにビニール袋をかぶせていました。嵐の予感...普通の神社とは異なり、境内は一面の砂。砂遊びをする子供たちの姿が目立ちます。 拝殿前に4本の竹が立てられ、注連縄が張られます。砂プロレスのリングのようにも見えますが、これで田んぼを表しているのだそうです。 太鼓の合図で、全身キルト地の白装束の男(=田人)が一人やってきました。田んぼのふちを一周し、所定の儀式が終わると、男は持っていた細長い鋤(すき)にたんまりと砂を乗せ、高々と空高く振り上げ砂が一気に舞います。子供たちを中心に、男めがけて砂をぶつけます。砂で雪合戦をしているような感じです。もうもうと砂ぼこりが舞います。 男は田んぼを離れ、アクティブに周囲に活動範囲を広げ、砂をまき散らします。砂がかかった大人たちは「うわっ」という声をあげ、子供たちは「キャー!」と歓声をあげながら、男に向かって砂をもって立ち向かいます。境内は一気に混沌とします。しばらくすると、再び太鼓が鳴り、男が引き揚げます。これが3回繰り返されます。 4度目は、白装束の男の前に、牛のかぶりものをした黒装束の男が現れました。砂かけの前に、田んぼで土を耕したり、田植えの所作をします。やがて、今までと同じように激しい砂かけが始まります。今度は2カ所で大きな砂ぼこりが舞います。これまた3回あります。 7回目からは、登場人物が3人に。もうこうなると、わやくちゃです。暴れ方が華やかであるほど、雨が降り、豊作になるということで、羽目の外し方もハンパない感じです。自分もすっかり砂をかぶってしまいました。これも、3回繰り返されます。最後の二回は、参拝客の方が疲れていたような印象でした。 続いては、早乙女が登場、田んぼに稲を植える所作を行います。 最後は、広場中央に台が移動して、参拝客に松苗と田餅がばらまかれます。松苗は、松の葉を藁で巻いたもので、中に籾が入っています。これを玄関口に刺しておくと、厄よけのお守りになるのだそうです。松苗は2束ゲットできました。田餅は、持ち帰って家でいただくと、一年間無病息災でいられるとか。周りには、大きな袋をもってきて、そこに次々と獲得した松苗や田餅を放り込んでいく人もいました。がめついというか、欲深いというか... 帰路につくと、鞄には砂がたくさん入り、頭や顔、体には砂ぼこりをたっぷりかぶりました。でもどこか童心に返ることのできる、無邪気で楽しいお祭りでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年04月19日 04時58分17秒
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