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2011.11.20
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カテゴリ:国内政治経済
 

 今、世界中がギリシャ問題で大騒ぎだが、あれは対岸の火事ではない。ギリシャより日本の方が絶対的にGNP比でも、積み上げた借金額でも、予算に対する国債依存度も悪いのだ。

      GDP比   国債発行額  予算に対する国債依存度

 日本   200%  1000兆円  112%(倍以上借金なのだ)

 ギリシャ 150%   37兆円   0%(12年度計画だが、実施は不可能?)                          

 なのに、そんな物騒なことが起こる筈が無いと大半の日本人が思っているが、実はこの借金踏み倒しは、世界の歴史を見ると結構多い。

 過去200年だと、250回位もの国家によるデフォルトを遣っている。第二次世界大戦後だけでも、126回もデフォルトをしている。

 そして日本もこのデーターの中に立派に入っているのだ。それは戦後の預金封鎖と新円切り替えであり、その後のハイパーインフレで、全ての借金は帳消しになった。

 私が小学生の頃、昭和25年か26年頃だったと思うが、戦前に父が買った国債の期限が来て償還され現金になった。多分2万円ぐらいだったような記憶があるが、親父が「馬鹿なようなお金だ」と嘆いていた。

 だけど日本国民殆どが被害に逢っているし、自分だけが損をしたと言う気持ちは無かったそうだ。逆に命があったのだからと心では感謝していたのでなかろうか。

 日露戦争の後にも同じような事が起きた。だから、日本だけはデフォルトは無いと思うのは早とちりなのだ。

 ただ日本のデフォルトは、大きな戦争の後ばかりだったし、やむを得なかったから、戦争でも起こらないと日本のデフォルトは無いと信じている人が多いようだ。

 ところで最近のハイパーインフレで有名なのは、直近ではジンバブエだろう。驚くなかれ、そのインフレ率は2億3千%にもなったのだ。その前はアルゼンチンが有名で、アルゼンチンでは灼熱のフライパンの上で、国民はアルゼンチンダンゴを躍らされたのだ。そしてその前はロシアだ。

 ではギリシャは日本より軽い借金なのに、どうしてこうなったのか。そして借金の多い日本は逆に円が高くなっているのはどうしてだろうか?

 それには色々な理由がある。私の独断と偏見だが、大きい理由と思われるものが4つあるようだ。

 1 日本の国債は94%を日本人が買っている。つまり国民が預けた預金の殆どが国債になっているのだ。銀行や郵便局は全国で預金を集め、国債を買っているのだ。だけどギリシャ国債は外国人が買っている。つまり、外人が日本の国債を見ると、内々の借金に見えるのだ。

 例えば、或る家庭で、お爺さんが1400万円の預金をしており、息子夫婦がお爺さんの預金を担保に銀行から1000万円を借りているように見えるのだ。

 そして息子の所得は月40万円なのに、お爺さんの預金があるから、毎月90万円の豪華な生活をしていると言うのと同じなのです。

 この家庭を外部から見ると、今は借金の踏み倒しはないと誰も思う。だけどお爺さんの預金額である1400万円を超える借金を申し込んでも、銀行は貸さなくなる。今はそういう段階に日本が居る。つまり日本は毎年40数兆円もの借金を増やしているのだ。

 だけど人間は必ず死ぬから、お爺さんの預金は息子が相続するが、お年寄りの1400兆円の預金が日本政府のモノとなる筈が無いのだ。お年寄りの預金を政府のモノにするには、ハイパーインフレにする以外に道は無い。

 また個人貯蓄の大半が年寄りの貯金で、これは老後の生活費として年々減つている(年間30兆減とも)が、一方で財政赤字は未だ年々積み上がっていくので、国債の国内消化力は近い将来破綻するだろう。

 2 日本の税負担率が少ない。つまり、日本はまだまだ増税する余地が残っていると言うのも大きな理由だ。ヨーロッパ諸国は20~25%もの消費税になっており、これ以上の増税は不可能となっているが、日本はまだ5%でしかない。

 だから、最近野田内閣が10%にすると言ったのです。これは正しい選択だが、10%にしても税収は絶対に不足で、公務員を大幅に減らし、消費税を20%位に上げて、諸外国より高い諸税を低くし、日本の企業が諸外国企業と平等な競争ができるようにしなければならず、10%の消費税ではプライマリーバランスは合せられないのです。 

 所で少々話は変わるが、公務員の給料を20%減らすと、7兆円も浮くのである。つまり2年で14兆円となり、東日本大地震の復興予算は増税をしなくても出る。

 どうしてそれ位のことが、実施できず、増税に走るのだろうか。重要度の認識が間違っていると思う。だけどこの責任は国民にあります。

 つまり労働組合を基盤にしている民主党が、公務員の給料を大幅に下げるような政策を進められる筈がなく、その民主党を選挙で選んだのは国民だからです。

 先ずは公務員を減らし、給料を少なくとも、国民の平均、つまり400万円位に落とすべきだと私は思う。

 ところで、カレントと言う雑誌11号に、国家公務員の給料水準が、自衛隊の若い人が含まれるから650万に報道されるが、自衛隊を除くと、国家公務員の平均給料は1004万円(国会調査)だそうだ。この数字は余りにも高いので、何となく信用できないが、そうかも知れない。

 もしそうなら、余りのも官民格差が大きいと言わねばならない。

 3 日本の貿易収支が黒字だからです。だが、何時までも貿易収支が黒字の筈はない。歴史を見ると黒字になったのは、昭和40年からだ。それまでは赤字になると金融を引き締め、黒字になると緩めたものだ。それが日本の宿命であった。

 だから、私が我が社(スワニー株)に入社した当座(昭和41年)は輸出貢献企業として、毎年政府から表彰され、資産の償却も売り上げに占める輸出割合で短縮が認められていたのです。それだけ外貨が欲しかったのです。つまり貿易収支が赤字で困って居たから海外旅行も大幅な規制があったのです。

 そして、これからの貿易収支予測だが、これだけ休日が多くなり、国民も昔のように働かないようになり、若者が少なくなり、お年寄りが多くなるし、企業の輸出競争力が中国等の新興国等に追い抜かれ、また企業の海外移転による輸出減になっており、貿易収支は悪化し、赤字化は避けられない。

 つまり結構早い時期に貿易収支が赤字になるだろうと予測できる。恐らく後5年ぐらいで、貿易収支が赤字になるように思う。

 その兆候が早くも今年の9月に出た。つまり今年の上半期(4月~9月)が1兆6666億円の赤字となった。これは大震災の影響も大きいのだが、一時的な傾向では無いように思う。

 貿易収支が赤字になると資源の無い日本にとっては大問題なのだ。どうやって必要な資源を輸入するのでしょうか?

 4 そんな国の円が高いのは、円とスイスフランが逃避貨幣になっているからなのだ。米ドルもデフォルト寸前で良くないし、ユーロもギリシャやイタリーやスペインの債務問題で、フラフラしているから、円とスイスフランに来たのだ。

 だから、ドルとユーロが安定すれば、円安に振れると思われるが、果たしてドルやユーロの安定は何時になるのだろうか?

 まあ、円が高くなった理由は上記以外にも沢山あるだろうが、上記の4つの条件がどのように崩れて行くかで、円がどうなるか分からない。そして怖い怖い日本国債のデフォルトも現実ものとなる。

 その確率は誰にも分からないが、可能性は高い。その対策を、つまりプライマリーバランスを最優先する議員を選ぶのが国民の責任だと思う。

 国民が一丸となって尚一層奮起し、勤勉に働き、納税し、国家の支出を減らし、租税収入を増やす以外に道は無い。この世に「打ち出の小槌」は無いのだ。






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Last updated  2011.11.20 10:46:38
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