![](//image.space.rakuten.co.jp/lg01/03/0000166103/64/img96d30252zik7zj.jpeg)
自分の本業は、いろいろな商品を総合的に扱っている店の店長をまかされている。
大型ガレージみたいな建物でスタッフ10人くらいといっしょに働いている。
日が傾きかけた西陽の強い昨日の夕方。
どすん!!
・・・という、鈍くて大きな音が店の外から響いてきた。
何事が起きたのかと、慌てて外に出てみた。
店の前で、女性が運転する軽自動車と、
自転車に乗ったおじいさんが交通事故を起こしたようだ。
おじいさんは、こちらに背をむけたまま横たわり、ぴくりとも動かない。
おじいさんに駆け寄る軽自動車に乗ってた女性。
軽自動車の中にも人影が見えた。
この女性は、小さな女の子を同乗させてたようだ。
通りを挟んで向かい側にある大きな商業施設の警備員が2人、
事故現場を保存しながら交通整理をはじめた。
「おーい!救急車よんだか?(オレが)呼ぼうかーっ?」
現場をみて、興奮状態になった私は、年配の警備員に向かって叫んだ。
すでに救急車は手配済みのようだ。
衝突した軽自動車は、フロントガラスがグチャグチャに割れていてボンネットも変形、
下からラジエーターの水みたいなものがボタボタ漏れている。
自分の予想だが、おじいさんは自転車で横断歩道のないところを渡ろうとしたところ、
走ってきた軽自動車に側面からはねられたのだろう。
10分くらいして、救急車がやってきた。
微動だにしないおじいさんを救急車に乗せたが、搬送先の病院を捜していたのだろう
それからさらに走り出すまで10分くらいかかった。
警察が現場検証をしている。
膨れ上がる野次馬。
渋滞するクルマ。
おろおろしている軽自動車の女性。
道のかたわらにあるコンクリートの塊にちょこんと座っている女の子。
まだ幼いから、今の状況が把握できないのであろう
警察官に立ち会う母親を目で追いながら、行儀よく座っている。
あまり考えたくないが、たぶんおじいさんは、即死だったのではないかと思う。
そうなると、この事故の不注意の割合がどうであれ、
この子の母親は交通刑務所に行かなくてはならないだろう。
まだ幼稚園にあがる前だと思うが、この女の子は幼くして母親としばらく離れて暮らさなくてはいけない運命になるのだろう。
轢かれてしまったおじいさんの運命にも同情するが、
母親との暮らしが引き裂かれるであろうこの子にも同情する。
こんな小さな女の子に与えられた乗り越えなくてはいけない残酷な運命。
きみはまだ幼すぎて、今のこの状況が理解できないんだね・・・。
コンクリートの塊にちょこんと座って、カップのジュースをストローで一生懸命飲んでいる姿が印象的だった。
傾きかけたオレンジの夕陽が、この女の子の、これから起こりうるであろう運命を暗示しているようだった。