【サプリメントで『自閉症』の一部症状が改善の可能性】:特定の『アミノ酸』の不均衡を指摘…米・サイエンス誌研究論文
【AFP=時事】自閉症の症状のうちアミノ酸不足との関係が判明しているまれな症状が、ごく一般的なサプリメント(栄養補助食品)によって改善される可能性が、6日の米サイエンス(Science)誌に掲載された研究論文で明らかになった。 研究チームは、一部の自閉症患者にみられる、特定のアミノ酸の代謝を促進する遺伝子変異を突き止めた。こうした必須アミノ酸(分岐鎖アミノ酸、BCAA)はヒトの体内で作り出すことができないため、食品から摂取する必要がある。 今回特定された遺伝子変異のある患者では、代謝が促進されるために通常よりも早く体内のアミノ酸が消費されてしまい、このことが自閉症の神経行動学的症状と関係した(アミノ酸の)不均衡を生んでいるのではないかと研究者らは指摘している。 研究を行った米カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego)、ジョセフ・グリーソン(Joseph Gleeson)氏らのチームは、てんかん性発作がみられる自閉症の子どもたち数人の遺伝子情報を調べた後にこの遺伝子変異を特定した。 次に、てんかん性発作など自閉症的な症状を示すように遺伝子を操作したマウスに、健康食品店で入手できるサプリメントを与えたところ、マウスの症状に改善がみられたという。 グリーソン氏の研究所のメンバーで、論文の第1著者であるガイア・ノバリーノ(Gaia Novarino)氏は「マウスで症状改善が確認されたので、次は我々の患者の治療に効果があるかどうかが問題だ」と語った。 同チームによれば、人間の患者でもこのサプリメントを使用してアミノ酸の不均衡を修正することはできたが、こうした処置が自閉症の症状を改善する治療法につながるかどうかを決定付ける十分なデータは得られていない。 自閉症でてんかん性発作がみられるのは患者全体の約4分の1だが、グリーソン氏はそうした患者は「極めてまれ」だとの認識を示した。 このサプリメントが効く仕組みは不明だが、今回の遺伝子変異の特定は、自閉症やてんかんの検査基準の設定に役立つとの期待も呼んでいる。【AFPBB News】-------------米国で自閉症の子どもが急増、 米疾病対策センター (4月2日配信) 【AFP】米疾病対策センター(US Centers for Disease Control and Prevention、CDC)は3月29日、自閉症の子どもの数が2年間で23%増加し、その割合は88人に1人となったと、「週間疾病率死亡率報告(Morbidity and Mortality Weekly Report)」のなかで発表した。 調査は2008年に米国14州の8歳児を対象に実施したもので、自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ子どもの割合は1000人のうち11.3人だった。 2002年の調査ではASDの症状を持つ子どもの割合は150人に1人だったが、今回は02年と比較して78%の増加となった。 過去の調査では最も割合が高いときでも110人に1人だったことから、自閉症研究の主導者らは今回の発表をうけて「国家的な緊急事態だ」と訴え、自閉症の「流行」に早急に注目すべきだと警鐘を鳴らしている。 さらに、報告書の統計によると、ASDの発症数は男児が女児の5倍で、なんらかのASDの症状を発症している割合は男児で54人に1人、女児では252人に1人だった。 CDCは子どもの自閉症の増加、中でも3歳未満の幼児での増加について、自閉症診断技術の向上が一因である可能性を認めながらも、それが統計の全容に、どれほどの影響を及ぼしているかは不明だとしている。 CDCのトーマス・フリーデン(Thomas Frieden)所長は、実際のところは分かっていないとしたうえで、「自閉症患者の増加は、全てが診断技術の向上によるものだという可能性はある」と語った【AFPBB News】