【小水力発電】:豊富な用水路活用=愛知県、日本一を目指す…電力不足で、自治体が導入に向けて動き出す
東京電力福島第1原発事故で再生可能エネルギーへの注目が集まる中、愛知県が農業用水を使った小水力発電の発電量日本一を目指して取り組みを進めている。 愛知県によると、同県は農業用水の延長が2467キロあり、北海道、新潟県に次いで全国3位。農地面積に対する水路の密度は全国トップという。愛知県の担当者は「環境に負荷を掛けずに多くの電力を生み出したい」と意気込んでいる。 県は11年度、農業用水路などで小水力発電施設が設置可能な場所を調査。水路の高低差が1メートル以上で一定以上の水量がある候補地として、木曽川水系で87カ所、豊川水系で40カ所、矢作川水系で20カ所の計147カ所をリストアップした。 全てで発電すれば一般家庭2万2000世帯分の電力となる。中部電力が11年に建設した大規模太陽光発電所「メガソーラーたけとよ」(武豊町)の発電量は一般家庭2000世帯分で建設費は約40億円。 小水力発電の設置費用は約100億円で、11倍の電力が賄える計算になる。 農業用水での導入には水利権の問題がネックになる。県は迅速に事業を進めるため、2月に国の構造改革特区を申請し、許可権限の移譲を求めている。 小水力発電の普及に向け、県は手始めに今年度、新城市で千枚田の湧き水を使った小規模な発電施設を設ける方針。 千枚田を見渡せる「ふれあい広場」の公衆トイレや、イノシシなどによる被害を防ぐための電柵などに電力を供給することを検討している。 県農地計画課は「電力不安解消の特効薬にはならないが、わずかな水流でも有効に活用できることを示したい」と話している。 ◇【小水力発電】 ダムによる大規模な水力発電とは違い、中小河川や用水路などで行う小規模な水力発電。 設備の設置が比較的簡単で、太陽光発電や風力発電と比べて天候による発電量の変動が少ないなどのメリットがある。長野、富山県などで盛んに取り組まれている。《毎日新聞》----------電力不足で期待高まる「小水力発電」 自治体が導入に向けて動き出す 再生可能エネルギーの1つでもある「小水力発電」は、河川や農業用水、上下水道などを利用して発電する小規模な発電方式のこと。 全国小水力利用推進協議会によると、河川や農業用水などを利用して発電する、出力1,000キロワット以下の水力発電を、小水力発電と呼んでいる。 小水力発電は大規模なダムなどの開発をともなわないため、環境にやさしく、初期投資が少なくて済むのが特徴。 私たちの周りにある農業用水路のほか、ビルの循環水や工業用水、上下水道施設、一般河川など、水の落差と流量があればどこでも発電できることから、自治体が中心となって開発する動きがみられる。 岐阜県では、小水力発電可能地について調査を行い、その結果を4月26日に公表した。 それによると、通年通水に対応できる農業水利施設のうち、流量や落差から算出した発電出力が1キロワット以上見込める発電可能地が33カ所あり、その合計が2,300キロワットになると試算した。 これは、一般家庭1,600世帯分に相当する。今年度は中津川市加子母小郷地区で、平成26年4月の供用開始を目指して工事に着手するという。これにより、220キロワットの発電出力を見込む。 また、郡上市石徹白地区と中津川市西山地区で、事業化に向けた基本設計を実施すると発表している。 また神奈川県開成町は、町内を流れる水路を活用した発電設備の導入に着手するため、2012年度当初予算案に調査費として約510万円を計上した。 町内全域が酒匂川の扇状地に位置する開成町は古くから稲作が盛んで、生活や農作業に利用するための水路網が張り巡らされている。こうした特徴を生かし、自然エネルギーの利用と開発を狙う。 このほかにもさまざまな自治体や団体が、小水力発電の導入に向けた動きを見せ始めている。原子力発電所のあり方が問われており、今後の電力源の1つとして期待が集まりそうだ。《MONEYzine》