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要介護状態の患者さんが入院してきた。
心臓の機能が著しく低下している上に、不整脈も持っていて、今回の入院は結構危険な状態と言われていた。 いつもニコニコしていて、とても可愛いおじいちゃんだった。 前回入院したときに、一緒に撮った写真と私たちスタッフの寄せ書きをすごく喜んでいて、デイサービスに行くときには必ず持っていき、みんなに自慢してくれていたと言う。 そんな彼には子供がいず、夫婦二人だけだった。 夫が心臓病と脳梗塞でほぼ寝たきりになり、要介護状態となったときに妻が下した決断は、離婚だった。 でもそれは、自分が楽になるための離婚ではなかった。 自分がいたら、夫を看られるマンパワーがあると判断され、要介護認定が高くても十分な介護が受けられない。 自分がいなくなれば、生活保護も受けられ、今よりも良い環境が整えられる。 そう考えての離婚だった。 夫婦二人。 要介護状態の夫を抱えての年金生活は、つらい。 まだパートで働いていた妻だったが、このままパートを続けると夫の面倒が見られない。 パートを辞めると生活が成り立たず、夫の介護費用が足りなくなる。 そう考えた二人は、離婚をし、妻は隣に住んでずっと夫の面倒を見てきたのだという。 残念ながら、今回の入院で夫は帰らぬ人となった。 生活保護の身なので、葬儀は区が出すのだろうか。 社会的な立場は他人になってしまっても、最後まで夫に尽くしてきた妻に、喪主として葬儀を上げさせてあげたいと思う。 私は最後には立ち会えなかったけれど、「今回は今まで以上に状態が悪いの。もうダメかしら…」とこぼしていた。 パートもしつつ、空き時間に面会に来ており、面会中に疲れてうたた寝していることもあった。 妻の心労はいかばかりだろう。 人間、いろんな愛の形があるのだなぁ。 最後まで、夫婦として生きていく愛。 戸籍上夫婦ではなくなってしまっても、相手のクオリティーを尊重する愛。 どのような形をとろうとも、お互いの愛情は変わっていなかった。 お二人が最後まで「幸せだった」と思えたなら、私たちも安心である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 11, 2007 05:44:41 PM
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