アルキメデスについて・・・・・・・
紀元前のことである。金細工師に往還を作らせたヘロン王は困っていた。件の金細工師が金に混ぜものをし、与えられた金の一部を誤魔化した、という噂が立ったのだ。それが事実だったとしたら決して捨ておけない。王を偽り、私腹を肥やしつつも咎められることなく、のうのうと生きる者がいる。そんな前例を許せばやがて誰も王を敬わなくなり、王権の失墜にも繋がりかねない。だが、確証が無いのだ。その金細工師が混ぜものをした、という確かな証拠が。王の脳裏に希代の天才アルキメデスの名が過ぎったのはそんなときである。当時、シラクサに庵を結んでいたアルキメデスは早速、王命によって召され、二つの背反する命を下された。すなわち、王冠に金以外のモノが含まれているかどうか調べなければならない。しかし、王冠を少しでも損ねてはならない。これにはさすがの知者アルキメデスも困惑した。彼の頭脳をもってしても全く適当な方法が思い浮かばなかったのだ。壊してはいけない。だが、中を調べなくてはならない。そんな無理難題をアルキメデスは必死で考え抜いた。幾夜、幾夜も眠らぬ日々が続いた。食べ者も取らず、思索に没頭する日々が続き、憔悴するアルキメデス。しかし、そんな暗中模索の日々にある日、終わりが訪れた。彼の健康を心配する家人の薦めに従い、渋々、公衆浴場に赴いたアルキメデスはそこで、溢れ出るお湯の流れに人類史に特筆すべき霊感を得るのである。『金細工師に渡したのと同じ重量の金塊を用意し、金塊と王冠のそれぞれを、ぎりぎりまで水を張った容器に入れれば良い。もし、少しでも王冠に混ぜモノがしてあったら水は必ず溢れ出るはずだから!』これだ!と、アルキメデスが叫んだ。ユリーカ!興奮した彼はそのまま浴場を裸で飛び出し、家に帰ったという。この逸話から我々が学ぶべきことが一つある。すなわち、アルキメデスもまた立派なヘンタイである。