MISTERIOSO/THELONIOUS MONK モンクの音楽は、テキトーにやっているようでいてじつは非常に思慮深い。ある一定の音世界を固持している。簡単に言えば「ワシ的世界」をしっかりと持っているということなのだ。曲想にそれが顕著に表れている。モンクの曲は曲というよりは、あるイメージ世界を喚起するための洒落たお膳立てであり、連想ゲームの取っ掛かりであり、なぞなぞの投げかけなのである。無骨そうでいて実は彼はすごくおとぎ話が好きそうだ、と思うのは私だけであろうか?でもこれは合ってるんじゃないか、と密かに私も「ワシ的世界」を展開してしまっている。ところで、グリフィンはものすごい。これだけ「きちんと吹きまくれる」人はあまりいないだろう。IN WALKED BUDという曲は、気持ちよすぎて何回も聴きたくなる曲の一つだが、このいい曲にいい演奏とくるものだからもうたまらない。ほかの人がこの曲を演奏しているのを探したが、これ以上のは結局見つかっていない。中学生のときに行ったお祭りみたいではないか。その後ほかのどんなすごいお祭りに行っても、あの一回きりの「中学生のときの」お祭り以上のものと出会うことはもう二度とないのである。この曲この時この演奏、しかないのである。