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カテゴリ:趣旨
長らくご無沙汰いたしました。 ボチボチ再始動したします。
この2年で住宅に関する考え方が180度変わってしまいました。 悩みに悩んだ2年間でした。
私は、6年前より医療住宅に取り組んで参りました。 その一つの具現化がこのブログにて発信し続けた『ゆりかごの家』です。 『ゆりかごの家』は太古の伝統工法を咀嚼して現代建築にアレンジし、間取りを自由に変えられる地震に強い家を目指したものでした。 基本は太古の建築工法なので、もちろん天然素材しか使っていません。よって「完全無公害」を謳っていました。
そして、この「完全無公害」という単語に対し、シックハウス症候群の方々が共感し、問合せが増えてきました。当時、『シックハウス』に対して人並みの知識しかなかった私は、建材の勉強を漠然と進めていました。
そんな中、たまたま2006年3月に、NPOボイスらぼ代表の小山ゆみさんのことを書いた新聞記事を見て 化学物質過敏症(以下CS)と電磁波過敏症(以下ES)のことを知りました。
そして小山さんと会って話をした訳ですが、実際の患者さんとしての小山さんの衝撃的な話の内容に驚愕しました。そして、天然素材にこだわってもそれだけでは健康には程遠いことが分かり、愕然とすることとなりました。
つまり、「天然素材=安心・安全・健康」とは言えない場合があることを知ったからです。
そんな中、最近ひとつの疑問が沸き起こりました。「自分が現在行っている仕事は間違っているのではないか?」
特に住宅の工事に関してですが、予算が無い工事を行う場合には安い新建材を使ってしまいます。そして「換気をこまめに行ってくださいね」と言う程度で済ましていました。
しかし、CSというのは微量の化学物質が長時間反復暴露されても発症することを知ったので、「自分が行った工事が原因で住む人が将来CSになったら・・・」と考えると 一般の新建材を使った建築が出来なくなりました。
企業倫理として考えてみても エンドユーザーに対して将来的に害が及ぶであろうリスクを押し付けることは 私にはとても出来ないと考えました。
小山さんと知り合って以降、「工事をやらねば食えない」という現実と、「工事をやりたくない」という良心との葛藤が絶えませんでした。知り合いの建築家の先生数名に上記の事情を話して、「CSとESの対策に特化した施工を一緒に悩んで欲しい」と依頼しました。 しかし返事は全て「No!」でした。理由として「問題が多い分野なので、あまりにもリスクが大きすぎる」ということでした。 「何で無理してそんな世界に首を突っ込むのか?」と言う人もいました。
こういう状況の中、私は逆にファイトが沸きました。「誰もが関わりたがらないこの分野であえてやっていこう」「世の中に一人くらい私のような人間がいないとCSやESの患者は救われない」「住宅の専門家としてCSとES問題から逃げることはプロとして失格である」「誰かがやらないと患者の人たちは救われない・・・。」
以上のように考え、住空間に関してCSとESに真面目に取り組もうと決心しました。もちろん住宅をいじったからといって病気が全て治るとは考えていません。CSとESはあくまで複合的に起きるものであり、住宅のプロとして最低限できることとして社会に貢献したいだけです。
私自身は患者で無いので未知の世界のことではありますが、様々なリスクを全面に受けて真剣勝負で仕事を行っていこうと考えています。小山さんも私のアドバイザーとしてサポートしてくれることとなりました。
以上がこの2年間の経緯です。
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最終更新日
2007年11月29日 14時17分16秒
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