『辞書引き学習法に学んだマーケティング』
今日届いた日経MJのメルマガで興味深い話があったので紹介しよう。以下、編集長コラムからの引用である。 今週10日、東京で開催した日経MJ主催の勉強会「着眼着想倶楽部」では、京都市にある立命館小学校の教頭、深谷圭助先生を講師にお迎えしました。 「マーケティングの専門紙がなぜ教育現場の人を」と思われるかもしれませんが、どんな分野でも卓越した実績を残されている方のお話には、得るものが多く、その異分野でのお話を、どう自分の仕事にひきつけるか、それが「マーケティングの力」だと思うからです。実際、深谷先生のお話は示唆に富んだものでした。 深谷先生は愛知県刈谷市の公立学校で教えられている時代に、小学校1年生から積極的に辞書を引かせる学習法を確立。子供たちのやる気がみるみる向上した実績をお持ちです。 子供たちは、一度引いた単語のあるページに付箋をつけていく。これが1年で平均2000、多い子供で5000になり、次第にわからないことはそのままにせず、調べずにはいられなくなる、というわけです。 辞書はおびただしい付箋がはさまって、水ぶくれのように膨れ上がります。これがミソ。自分がどれだけ勉強したかが形になって現れ、それが次のやる気を引き出す「動機付け」になります。今はやりの言葉でいえば「見える化」が自然となされるわけです。 通常ならクラスで統一する辞書も、深谷先生に言わせれば「それは教師の都合」。子供たちに自由に辞書を選ばせれば、友だちの持っている辞書にはなんて書いてあるか、興味がわきます。 「それによって、同じモノ、コトでも、ひとによって表現の仕方が異なるということを学びます。小さいうちからそう学んでおけば、大人になってもひとつのメディアを鵜呑みにしない、メディア・リテラシーの高い人間になる」というわけです。 「膨大な付箋は、教師のためにもなります」と深谷先生。付箋をつけた単語を見ていけば、子供たちが今どんなことに関心があるかがわかり、それを授業内容に生かせる。「つまりクレジットカードやポイントカードで買い物履歴を調べるようなものです」。 こんなお話から、皆さんならどんなヒントをつかむでしょうか?それもまた一人一人の個性が現れていくでしょう。「MJを個人で購読いただいているマーケティング担当者の方」を対象としたこの勉強会、今後もいろんな講師の方を招いていきたいと思います。以上、本文そのまま引用しております。「動機付け」「見える化」そして「メディア・リテラシー」インターネット中心の情報社会の今、あふれる情報の中から、メディアの特性や利用方法を理解し、適切な手段で自分の考えを他者に伝達し、あるいは、メディアを流れる情報を取捨選択して活用する能力。これを有効に育む手法が、超アナログであることに大きな興味を覚えた。