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テーマ:もう一つのお遍路日記(91)
カテゴリ:もう一つのお遍路日記
2008年9月2日。お遍路14日目。
マップ。 31番竹林寺を打ち終え土佐勤王党の武市半平太生家を左に見ながら土佐湾へ向かって南下。ゆるい丘を越える。 遍路地図を見ると32番禅師峰寺(ぜんじぶじ)が間近だった。ほんの少しだけ上った坂を再び下ると視界が開けた。 石土池という直径1kmもある調整池に出た。 この辺りは閑静な住宅地であり池の周辺は整備された広い遊歩道になっている。遍路道はその遊歩道と合流する。 お腹が空いた。時刻はまだ11時前。池の南端まで来ると遍路道は左に折れそこから1km弱で禅師峰寺に着いてしまう。 その前に早めの昼食でも・・・・と思い遍路地図を見てみると数百mのところに食堂味蔵というのがあった。 期待して歩いて行くとちょっとした和食の店で刺身を出すような店だった。しかし・・・・・営業時間が11時からとなっている。くそっ 営業開始まで10分ほどを待つか待たぬか、を悩まなかった。私にあるのは前進のみ。遍路で昼食の開店待ちなんてことをしたことはついぞ一度もなかった。 タイミング良く食堂に巡り合わなければ食わなくてもいい・・・・・・なんて思っていたけど、やはり腹が空いた。 この日は朝からまだ8kmほどしか歩いてなかったが疲れていた。きっと昨日宿泊したウェルサンピア高知の大浴場に長々と入っていたのが原因だと思う。 残暑も厳しく、消耗しきっていた。おまけにこの日は桂浜で一泊しようと思っていたので16kmしか歩かない予定であった。 目標が短いと逆にダレるのだろう。それに2週間毎日歩き続けた足腰も痛みを抑えがたくなっていた。 その痛む足を引きずりながら開店前の食堂を通り過ぎ、トンネルの手前を右に折れて小高い山を登って行く。 禅師峰寺は土佐湾間近の標高80mほどの丘の上にある。ヘロヘロだったのに山道に入り木陰に入った途端に元気になった。 あっという間に寺の駐車場に出た。その傍らに休憩用の小屋があり、5人ほどが座っている。 その中に知った顔が2人いた。前日の朝一緒に雨宿りした広島から来た40歳のおっちゃんと、同じく前日にも会っていたスーツケースを引きながら歩くホームレス風の遍路だった。 多分ダルそうな顔でこんちわ、とか挨拶したんだと思うが、顔見知りの2人は笑顔で手招きして「休んでけ」と言ってくれた。 フラフラと近づきザックも下ろさずドカリと腰かける。スーツケースのおっちゃんがはっさくを手に取り、「近くでたくさん買ったからみんなで食べよう」 持っていたサバイバルナイフで皮に切れ目を入れて渡してくれた。空腹と乾いた喉に酸っぱいはっさくの果汁がしみ込んでいく。 彼ら以外の3名は地元の人で、こうしてよく遍路と話をするらしい。そこにいる遍路全員これから桂浜に立ち寄るとのことだった。 空腹に耐えかねすぐに腰を上げる。じゃ、行ってきますと言い残して笑顔でお別れ。山門へと続く急な階段を登って行く。 この寺は竹林寺とは違って案外地味な感じ。土佐湾がすぐ近くに見える。 西の方を見ると桂浜のある下竜頭岬と右手に浦戸湾が見える。 15分ほどで納経を終え再び駐車場へ降りて行くと既に彼らは発っており小屋には誰も居ない。 と、気が付けば登ってきた時と比較にならないほど気分がすっきりし、元気になっていた。 柑橘類にはクエン酸が含まれている。クエン酸は体内のエネルギー生成反応を促進するため疲労回復に効果が高いと言われる。 でも。それだけではないだろうと私は思う。歩き遍路はその厳しい試練に挑戦しているという仲間意識が強い。 その、全国から集まった仲間達は社会的立場や年齢は全く異なる。ただ、歩き遍路に挑戦しようという意図だけを共有している。 歩き遍路は一人で行うべきだと私は思う。でも、道々で出会う彼らとは運命共同体に違いない。 そんな彼らと顔を合わせ、お互い頑張っているな、という無言の挨拶を交わすだけで確かな効果があることを私は知ったのだった。 禅師峰寺の境内にポスターを見つけた。 NHKの街道てくてく旅という番組で四元奈生美さんが四国八十八ヶ所歩き遍路をしているらしい。とその頃は漠然と思った。 およそ20日後にその取材陣を追い越してしまうとはこの時は全く予想しなかったのだ。 私よりひと月も遅れて結願したのだなぁ。と街道てくてくの公式ブログを見ていた。 さっすがゲーノージン、ちんたら歩いとんなぁ。おいおい、セーター着てるじゃねーかよ。なんつって心中笑ってたらあることに気付いた。 その結願と書かれたご立派な賞状みたいなのは、なんスかね? 88番大窪寺をwikiで調べてみると・・・・・・ 大窪寺(おおくぼじ)は、香川県さぬき市にある寺院。四国八十八箇所霊場の第八十八番札所であり、納経印は「結願所」となっている。医王山(いおうざん)遍照光院(へんしょうこういん)大窪寺と号する。本尊は薬師如来。宗派は真言宗大覚寺派。本寺では結願証明書(賞状)を有料で書いてもらうことができる。 ・・・・・・・う、ウソやん(汗) 「おん ころころ せんだりまとうぎ そわか」 チ~ン。 合掌 まぁまぁかな、と思ったら応援よろしこ。 一回ずつ、ポチポチっと↓↓↓ なーんて。 「ねはんの里」ホームページへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2010.11.15 10:19:22
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