ヒネモスイクジ

とりあえずこれさえ終われば。
















いつの頃からかずっと

私がすがり付いてきたこの言葉。







とりあえず、高校に入れば。

とりあえず、現役で受かれば。

とりあえず、この男と別れれば。

とりあえず、あと２キロやせれば。

とりあえず、子供を産んでしまえば。

とりあえず、一番下の子が幼稚園に入れば。

とりあえず、家が新しくなれば。

とりあえず、盆休みになれば。

とりあえず、夏祭りの前までには。

とりあえず、今週末の参観日が終われば。

とりあえず、明日になれば。

とりあえず、この日記を書けば。











そんな「とりあえず」が終わったところで

何かが新しくなるかといえば

たぶんいやぜんぜんそんなことはない。

知ってるんだ。




すべての飾りを取り除いたとき

そこにあるのは

ただ諾々と続く無作為な日常と

鏡に映る間抜けな自分。








きっと死ぬ間際にも私は

「とりあえず死ねば何とかなるべ…」

と思いながら最期を迎える。

そんな悠長な死に方をさせてもらえるかどうかは

私は知らないのだけれど。













悪いか？













延々と続く「これから先」

私に課せられたことを担いながら行く「これから先」

とてもとても長く感じられて

正視できないのだよ。






人生是即とりあえず。

応急処置にていつのまにか終演。







これをみっともない生き方だと心の中で笑う人は

なんかみっともいいやり方を知っている？



「今を生きるんだよ今を」

そんな言葉を常に胸に留めておけるほど

私は若くはないんだが。






今だって考える。

とりあえず洗濯物をたたむ。

それが終われば

とりあえずお子３人を風呂に入れるんだ。

そうやって

そうやって

とりあえず

夜になれば。



今日が

終われば。




眠ってしまえば。













見渡す限りは日照りの砂地、

腰掛けて休み、冷たい水にありつけそうな

涼やかな木陰が見当たりません。


それとも癒しは突然に天から降ってくるのでしょうか？






とりあえず今日の晩ご飯は手抜きします。