降圧薬にはQ55に示したように種々の薬剤がありますが、その中でも第一選択薬としてこのアンジオテンシン受容体阻害薬(Angiotensin Receptor Blocker, ARB)は位置づけられます。アンジオテンシンIIはこのブログでも何回か取り上げた蛋白ホルモンで強力な血管収縮作用を有する昇圧ホルモンです(Q20-24)。また、血圧を上昇させるばかりでなく、血管内皮や平滑筋障害をもたらし動脈硬化性病変を増長させる作用があります。さらに、心筋に対して肥大作用も有しています。高血圧においてはこのアンジオテンシンIIがより完全に抑制されるべきですが実際はそうではないため悪影響をもたらしています。ARBは副作用が少なく腎障害抑制、心不全抑制、脳卒中抑制など臓器障害抑制効果が最近十分に報告されている降圧薬で、長い期間飲むお薬として、またより若い高血圧患者さんに勧められます。糖尿病を合併した患者さんにはさらにお勧めです。
副作用には胎児・新生児奇形があり(腎臓の発達不全)、妊娠時・授乳期の患者には禁忌です。高カリウム血症の患者さんにも、これを増悪する可能性あり慎重に投与します。腎動脈狭窄症で両側の機能的有意狭窄を有する患者さんでは、腎機能が急速に悪化しますので、この際も禁忌です。
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Last updated
2005/04/28 07:17:46 PM
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