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2024年3月刊
マーマレード文庫
著者:一ノ瀬千景さん
兄の会社が経営の危機に陥った理子の前に、昔ある事情で別れた御曹司・深雪が現れる。彼の提案は、会社の提携と引き換えに自分と結婚することで…!昔と違い強引な深雪に戸惑いつつも、熱情を隠さない彼に激しく求められる理子。「君は未来永劫、俺のものだよ」-やがて深雪の子どもを授かった彼女は、加速する十年ごしの独占愛にからめとられてー。
↑楽天ブックスより、あらすじ引用
登場人物
山根理子=兄の会社を助けるために元カレとのビジネス婚に応じた。
天沢深雪=理子の元カレで巨大グループの御曹司。
山根喜一=理子の兄。ITベンチャー会社の若手社長。
兄が起ち上げたITベンチャー会社で働く理子は、この度動画配信サービスを手掛けるに当たり、いきなり提携先が手を引いて来たと聞いて頭を悩ませていた。
今さら言われてもこちらは最後の詰めに入る所でかなりの額を投じているため、止めたら巨額の赤字を抱えることになる。
急いで、あちこちに提携してもらえないかと連絡していると大手総合エンターテインメント企業・リルージュがぜひ話を聞きたいとコンタクトを取って来た。
渡りに船とはこのことと社員達は沸いているが、リルージュの親企業が天沢グループでさえなければ貴一も理子も手放しで喜んだであろう。
いや、きっとこれは偶然。彼はアメリカにいるはず。
そう思い込んで兄と共に担当者に会いに行った理子は一番顔を合わせたくない男・天沢深雪と再会したのだった。
有名映画監督と舞台女優の間に生まれた理子は、母のファンだという天沢夫人の好意により家庭教師を引き受けてくれた深雪と知り合った。
ハンサムで頭の良い彼は学校でも人気者で、理子は随分妬まれた。
それでもすぐに彼に心惹かれていた手前、理子の方から交際を申し込み1年程交際していた仲だ。中学卒業までの期間だったからかキスすらしていない清い関係で、深雪のアメリカ留学を機に別れた。
本当なら別れたくなかったし、たかだか4年程度待っているつもりだったけれど、深雪の父の女性秘書から身の程知らずだの悪し様に言われた挙句、この交際を天沢家は認めていないと告げられて、別れた方が彼の為だと思い身を引いたというのが真実だ。
別れを告げた際、深雪は随分ショックだったようだし、きっと今もいい印象を持たれていないだろう。これは提携も無しかも。
と思いきや、リルージュ側は大層乗り気で、援助は惜しまないという。
当然、貴一も上手くいくとは思わず驚いていたが、深雪はビジネスに私情は持ち込まないというスタンスを貫いていたため、杞憂だと判ってホッとした。
だが、喜びも束の間、話を詰めたいとリルージュに呼び出された理子は、深雪からビジネス婚を申し込まれた。断れば提携は無しだと。
これは復讐だと語る彼はやはりあの別れ話に納得してなかったらしく、恨まれていたらしい。当時の彼は理子に真剣に惚れていたということにもなるが、私だって好きで別れたわけじゃ。
とはいえ、リルージュの提携が無くなれば兄の会社は倒産だ、信じて付いて来てくれた社員達も職を失うことになる。それに理子は深雪に未練もあった。
何故ならあれ以来10年も経つのに、彼以外の男性に全くときめかないのだから。
ビジネス婚と言いつつ、表向きは再会して思いが再燃したと周囲には話し、深雪の希望で早々に彼の住むレジデンスで同居し始めた二人。
深雪は理子を溺愛し、多忙なくせに時間を捻出してあちこち出掛けて随分嬉しそう。まさか復讐というからにはその気にさせておいて後でこっぴどく捨てる気とか?
そう身構えてしまったものの、彼の態度は芝居には見えない。
はっきりさせたくて、深雪の本心を尋ねると彼の方こそずっと忘れられなかったと言い、あんな別れ方をしても理子が好きだと告げた。しかも帰国したらプロポーズするつもりだったと。
え、でもご両親に交際を反対されてたんでしょ?と重ねて聞けば、何のこと、と怪訝そうな顔をされ、当時女性秘書に深雪と別れろと詰め寄られたこと、それが深雪の両親の意向だと聞いて嫌な女を演じて別れを切り出したことをバラすと、深雪もその秘書に思い当たったそうだ。
縁故採用されてからというもの天沢一族の独身男性にすり寄り、父からも弁えろと秘書の方こそ叱責されていたらしい。当然深雪にもモーションを掛けて来たので理子がいるからと断ったからその腹いせだったのだろうと。後に秘書は自主退職したそうだがこんなつまらないことで離れ離れになっていたのかと思うとやりきれない。誤解も解けて再び一からやり直すことを決めたのだった。
いよいよ、天沢の両親との顔合わせの日。
数日前から体調を崩していた璃子は、深雪に心配される程顔色も悪かった。
少しだけ言葉を交わしただけで、どうにも我慢できなくなり理子は倒れて緊急搬送されてしまった。間の悪いことに、この後すぐに深雪は海外出張が入っており、貴一に世話を頼んで出かけて行った。
検査の結果、理子の妊娠が発覚。悪阻のせいと判ってからは早く彼に告げたくて帰国を指折り数えて待っていた。しかし、ネットニュースに深雪と梨園のお嬢様との結婚が報じられていて・・・。
お互い初恋同士の復縁話です。
誤解もあってこの結婚も前途多難だと思いきや、後に二人の仲を妬んだ者による策略で別れる羽目になったと判り、以降は幸せな日々を送っていました。
そんな中、いきなり現れた梨園のお嬢様がライバルとして登場。
まぁこれはお嬢様が直前に別のお相手から婚約破棄されたことで、その人以上の婚約者を仕立てようと深雪をターゲットにしたという、これまた迷惑話。
それなら協力して欲しいとか一言あってもよさそうなのに、理子に彼と別れろと脅して来たり、色々ぶっ飛んだ人でした。
歩道橋で言い合いになって転げ落ちそうになった理子を身を挺して助けようとしたのは見直したけど、そこはそれタイミングよく現れたのは深雪で理子もお腹の子も無事でした。
こちらの騒動も真相が判り、お嬢様には厳重注意で手を打ったものの、彼女はあの時居合わせた貴一に惚れてしまったようで、それからというもの付き纏われているという、あの兄にもロマンスは芽生えるのかって感じの小話も。
それから数か月後、安定期に入った頃に深雪と理子は結婚して本編は完。
おまけの後日談は第一子・千華が一歳になり沖縄へ家族旅行に行くエピソードでした。
封入SSペーパーは、10年前の深雪と理子のデート話。
ヒーローとヒロインの誤解が割と早く解けてラブラブだったおかげでモヤモヤ度はかなり少な目だったのは良いですね。
評価:★★★★☆