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カテゴリ:マーマレード文庫
![]() 2024年4月刊 マーマレード文庫 著者:葉嶋ナノハさん 家の廃業をきっかけに、父の勧めで幼馴染みの御曹司・響介と結婚することになった笑麻。おぼろげにしか覚えていない彼に再会すると、「夫婦間の愛情に期待するな」と突き放されてしまう…。跡継ぎ目的の結婚と割り切ろうと決める笑麻だが、夫婦生活が始まると、響介は予想外の甘さで迫ってきて!?義務だけの関係なのに、笑麻は彼の帯びる熱に翻弄されー。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用 登場人物 花菱笑麻=父の営む印刷会社の廃業を機に持ち込まれた縁談により、幼馴染の響 介と結婚した。 花菱響介=大手不動産会社の御曹司で笑麻の夫。 向坂=笑麻の先輩社員。響介の妻の座を狙っている。 家業である印刷会社で働く笑麻は、ある日父から廃業する事を告げられた。 昨今の不況の煽りを受けて経営難ではあったけど、やはり持ちこたえられなかったか。長年勤めてくれていた社員達に申し訳ないと思うばかり。 しかも実はかなりの借金があるそうで工場と土地家屋は既に担保に入っており、来月には立ち退かなくてはいけないと聞いてさすがに絶句していると父から恋人はいるのかと尋ねられた。 いないと即答すると、笑麻に縁談が来ていると言う。 実は今回の件、父は大学時代の友人・花菱氏に相談していたようで、再就職先を見つけるまでは暫く面倒を見てもらえることになっているのだそう。 その友人は父に大恩があるからと言うが、花菱さんとやらは相当の金持ちらしい。しかも、笑麻の身の振り方を心配する父に花菱氏は是非息子の嫁にと結婚を持ち掛けて来たのだとか。 徐に響介君を覚えているかと問われ、確か前の家のお隣さんの子だったはずと答えるとあんなに仲良かったのにと呆れられたものの、なんとお相手がその人だと言われてビックリ。 しかも、つい聞き流していたけれど花菱ってあの大手不動産会社の? 今の響介の写真を渡され見てみたが、随分なイケメンだ。自分などが嫁に行かずとも相手に不自由して無さそうなのに。 なんでも、仕事一筋で女っ気がない息子を心配しての縁談なのだとか。 正直言えば、幼馴染とはいえあまり記憶に無い人なので少々気が引けるけど、父の面倒を見てもらうからには恩を返さなければ。 実は彼は私の初恋の人だったの、と嘘を吐き縁談に応じたのだった。 顔合わせ当日、花菱家の面々と再会した笑麻。 しかし、実際に会ってもぼんやりとした印象しか思い出せない。 響介の両親は大企業の社長とその夫人とは思えないくらい明るく気さくな人達で、笑麻を救世主だとばかりに歓迎してくれた。 とはいえ、当の本人は始終無表情。定番の二人の時間を設けられたものの話が進まない。一応は彼の方もこの結婚自体に異議はないよう。 だが、俺に夫婦間の愛情を期待するなと釘を刺されてしまった。 響介にしてみれば契約結婚みたいなものと捉えているのかもしれない。 ずばりと言われて少し傷ついたものの、自分の方も恩返しで決めたようなものと割り切りることにした。しかし、結婚するからには親達に孫を見せてあげたいのでそういう行為は拒否しないで欲しいとだけ告げ、彼からも承諾を取ることに成功。 その後、暫く経って二人は入籍。響介との生活が始まった。 この頃から何となくだが、子供の頃の彼のことを徐々に思い出して来た。当時の彼は早生まれのせいか同級生の中でも小さかったけど優しく頭のいい子で、一つ下の笑麻ともよく遊んでくれていたっけ。 愛情を望むなとか言ってた割にはよく笑う上に料理も美味いと褒め完食。 惜しむらくは彼が出張やらであまり子作りに励めないことくらいか。 そんなある日、響介に外に働きに出たいと言ってみた。暇だからではなく、今まで家業の手伝いしかしていないので世間を知りたいのと自分でも稼ぎたいからだと告げると、ならばうちで働けばいいと花菱不動産の入社を薦められた。 常々働き方改革をしているホワイト企業だそうで、途中入社でもやって行けるのではと。そう聞いて早速入社試験を受け無事社員となった笑麻。 先輩たちも皆優しいし、雰囲気の良い職場に俄然やる気が出た。 響介も直帰で早く帰れる日は家事を率先して行ってくれるのでありがたいばかり。先輩たちには名字から彼の妻だとすぐにバレてしまったが、家での様子を聞かれるくらいで優しくてよく笑うと話すと職場でのギャップに驚いていた。 確かに、職場でたまに垣間見れる彼は無駄口は叩かないし仏頂面だった。立場上仕方ないのかもしれないけれど、少しは愛想よくすればいいのに。 それから二ヶ月ほど経って、響介からの歩み寄りもあってデートに出掛けたり誕生日も祝って貰ったりと二人の関係も変化し始めた頃、営業部に配属された彼女に対して先輩社員の向坂が嫌味を連発。終いには難癖をつけるようになり・・・。 お互いが初恋の人同士の夫婦が互いの気持ちに気付き仲を深めていくというお話です。 笑麻の方は当初記憶がおぼろげでつい父に建前で初恋の人だと話してたものの、後にそれが事実だったと気付きます。そして響介の方は子供の頃、いじめっ子に食って掛かり撃退してくれた笑麻をずっと想っていました。が年齢を重ね大人になると金目当ての女たちに痛い目に合わされすっかり女嫌いに。そんな時にこの結婚の話が出て、今まで音沙汰なかった彼女がOKしたと聞いて幻滅。それであの顔合わせでの態度になったと響介目線のモノローグで語られます。 でもいざ夫婦となると明るくポジティブシンキングな笑麻は子供の頃と何ら変わっておらず、仕事でキリキリしてた彼の心も癒し、本来の自分を思い起こさせてくれたと再び彼女に惚れて行くのでした。そして、彼女の方も当時の片りんを見せ始めた響介に惹かれ始め、彼を狙う向坂とも戦う決意をします。ポジティブなだけでなく天然な笑麻の性格に向坂も苦戦している様が可笑しく、結果やり過ぎて響介と上司に気付かれて地方に左遷という羽目に。 ホント、天然は決して馬鹿じゃなくて予想も付かない言動するから太刀打ちできないんですよね。おっとりしてるから余計に。 邪魔者も消え、笑麻からのアドバイスで職場での態度も少し改め始めた響介。彼の評判も変わって来た頃、笑麻の妊娠が発覚。父も再び印刷業ができることが決まり、万事が上手くいって大団円で幕。 恋のライバルも出てきましたが、もう結婚してる男にしつこく付き纏う行為がなぁ。しかもその妻に嫌がらせまでするとか。コンプラ違反で上司に大目玉を食らい左遷されたのは相応の罰かと。 クビにされなかったのは商社の社長令嬢だかららしいけど、こういうコネ入社の人の勘違い行動は物語ではテンプレですね。 評価:★★★★★ 天然ゆえかヒロインの考え方が面白くて前向きなのが良いです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.04.24 09:00:10
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