豹変溺愛 記憶を失くした夫は別人のように私を愛す
2024年3月刊蜜夢文庫著者:当麻咲来さん「愛妻に欲情しない男はいないだろう?」父の秘書を務めていた椿は、父の親友の通夜でその息子・玲司と印象的な出逢いをする。やがて亡父の跡を継いだ玲司と椿の結婚が決まると、彼の社長就任が気に入らない親族や妻の座を狙う女性たちが不穏な動きを見せる。そして結婚一周年の日。玲司は転落事故で記憶を失い、その日を境に淡白だった彼は一転して椿を激しく求めるようになる。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 天ヶ瀬椿=資産家の娘。父が援助した縁で玲司と結婚した。天ヶ瀬玲司=リゾート開発会社社長で椿の夫。 野々宮聡=玲司の第一秘書。皆瀬小百合=玲司の大学時代の後輩。西園寺理人=玲司の異母弟。父の親友の葬儀で運命的な出会いをした椿と玲司。若くして社長業を引き継いだ彼は椿の父からの援助に感謝し、彼女との結婚を望んだ。自分も彼に一目惚れしていたこともあって、この縁談を受け入れた椿だったが、望まれて嫁いだ割にはかれはいつも素っ気ない。そもそも、婚約期間中も愛想は良くなかったけれど、こういう態度を取られ続けると自分だけが舞い上がっていたことを思い知らされる。思わず離婚した方がいいのかもしれないと呟く椿を心配して、住み込みの家政婦の葵から、結婚記念日に二人で豪華ディナーでもいかがでしょう、と薦められた。玲司に話すと絶対に行くと言われたので、記念日を忘れていたわけではないのだとホッとした。当日、早めに店に着いて夫を待っていると第一秘書の野々宮から、玲司が階段から転落して意識不明だと連絡が。急ぎ駆け付けると彼はもう意識を取り戻しており、怪我も大したことが無い様だった。しかし、頭を強打したらしく記憶障害を起こしており、何故か椿に関する事だけ曖昧なのだという。元々、椿を敵視していた第二秘書の結城桃香はその報告を聞いてほくそ笑んでいた。だが、そんな秘書を他所に玲司は椿を見るなり綺麗だと宣い、早く家に帰って一緒に風呂に入りたいと言い出したので一堂目が点。普段のクールな彼らしからぬ言動に驚いていた。幸い、検査結果にも異状は無く帰宅を許されたが、玲司は一緒に風呂に入ると言って聞かず、子作りにも積極的で椿もどう対応して良いやら。でも、以前の素っ気ない態度に比べればこっちの方がずっと良い。翌朝、仲睦まじい二人の様子に葵は驚いていた。それから暫く経ったある日のこと、葵は玲司の母・文乃と会った。文乃はまだ小学校に上がる前の玲司を棄て他の男の元に走ったと聞いているため印象は最悪。仲良くするつもりはない。文乃は玲司に何か便宜を図ってもらいたい様で媚びを売っていたがけんもほろろに断られ憤っていた。彼の話では離婚の慰謝料で会社の株を10%貰っているので邪険にも出来ないそうだ。それより文乃が口にしていた小百合なる人物が気になる。その数日後、玲司に頼まれ会社まで礼服を持って行った椿は、結城と彼女の同僚による椿の悪口を耳にした。あんな女より、小百合さんと結婚してればあきらめもついたのに、と。所詮実家が太いだけで政略結婚に至った等、流石に腹に据えかねてその場に姿を見せ諫めたが反省している様子も無い。勇気の上司にあたる野々宮に一応報告したが処罰を望んでいるわけではないとだけ言っておいた。そして、夫婦同伴でとあるパーティーに出掛けた二人。椿はそこで漸く小百合と遭遇。なるほど、結城がこの人なら諦めがつくと言っていたのも判るほどの美人。銀行の副頭取の一人娘とのことだけど、少し会話しただけではあるもののなにか嫌な感じがする。それに透けて見える嫉妬心。椿が手洗いに言ってる間にちゃっかり玲司に話しかけていたのには腹が立ったが、険悪な彼の態度も気になった。喉が渇いたと言う彼に野々宮から渡された水を渡すと、一口飲んだ玲司が藻掻き苦しみ、救急搬送されてしまった。医師の診断結果はアナフィラキシーショックによるものとのこと。ナッツアレルギーがあるのは知っていたし、食事も葵が万全なものを用意しているので結婚してから発作を起こしたことは無い。今夜も挨拶周りに忙しく、口にしたのはあの水だけ。あの水が検査され、中にナッツ成分が混入しているのが判明し、真っ先に椿が疑われ・・・。勿論、椿は犯人じゃありません。しかし、今日の所は実家の方に帰ってくれと言われ、懐かしい高階家へ。両親は娘の無実を信じ、慰めてくれたものの気分は晴れず。入院中の世話は葵がすると言うので、少し時間を作ってもらい、天ヶ瀬家のことのに詳しい彼女に色々聞いてみると小百合のことに関しては口が堅かった。玲司に聞いた方が良いと。野々宮からの呼び出しで葵は病院に帰ってしまい、仕方なく実家に戻ろうとしたら小百合とバッタリ。どうも玲司の見舞いに来たようだが、話があると誘われたホテルのカフェで、薬を盛られた椿は目覚めるとホテルの一室に下着姿で転がされていて驚愕。傍には文乃が再婚先で産んだ玲司の異母弟・西園寺理人が。出来の良い兄にコンプレックスがある理人に乱暴されかけた椿は、間一髪駆け付けた警察と玲司の乱入によって無事助け出されます。その後、一連の事件が叔父の昭人と文乃が野々宮に唆されて起こした事件だと判明。小百合の方は以前から玲司に付き纏うストーカーで、この一件で彼女の父が副頭取を務める銀行がメインバンクを降りていました。でもまだ彼を諦めてておらずこれまた野々宮の甘言に乗り、椿の誘拐監禁に手を貸したと言う筋書き。野々宮さん、どうしてこんなことを?と思ったら、どうも玲司に心酔し過ぎて敵対する昭人と文乃とその息子・理人、ストーカーの小百合を一網打尽に片づけるつもりだったと自供。椿を巻き込んだのは、彼がベタ惚れで仕事に支障をきたすと思っていたからという何とも自分勝手な考え。この騒動後、それぞれが相応の罪を問われ静かになった頃、玲司は自ら記憶障害が既に治っていること、椿に一目惚れして結婚したけれど、一回りも上のおじさんに無理矢理嫁がせてしまったのではとずっと罪悪感を抱いていたと白状します。両想いだったと判明し、これからは周りが羨むくらいの夫婦になろうと決めた二人。おまけの番外編は待望の妊娠が判明するも、出張で立ち合いが間に合わなかった玲司目線のお話でした。何かと椿を貶めていた第二秘書の桃香が解雇された際、もう二度と顔を見せんな、ばりに内心で毒を吐いてる椿ちゃんの腹黒い面が見れて面白かったです。聖人君子みたいな性格のヒロインって多いですから、意外なタイプというかw評価:★★★★☆