有効解といえるのはただ一つ
それはつまり、天然ガスを燃やしてはならない、というたったひとつだけのこと。気候危機を招いたとされているCO2を減らそうとして、石油と石炭から天然ガスへと先進国が切り替えはじめた。以前から火力発電所では天然ガスを燃やしていたのだったが、ある頃を境に降水量が急激するようになっていた。90年代にはいった頃のことである。過去に類例のないと表現されるほどの集中豪雨がたて続きにおき、都市部で排水能力を超えてしまうほど大きな被害を残したのがはじまりだった。地下室で溺死する人がでたり排水溝の中にいた作業者が圧し流れた、というニュースが取り上げられていた時代があった。京都議定書COP3が開催されたのは、97年12月のことだった。降水量が急増した理由を説明するには、天然ガスが含んでいる水素の大量燃焼の影響を考慮しなければならない。天然ガスの主成分であるメタンは、炭素原子のみならず水素原子もまた大量に抱え込んでいる。メタンを燃やせば燃焼の酸化作用で、自然界に存在していなかった人造の水を創り出す。同時にCO2も同じ燃焼炉で合成される。天然ガスの主成分であるメタンは、炭素一つに水素が四つ。CH4であるメタンを燃やしてCO2を一つつくったとき、水蒸気H2Oはその二倍の量で生まれ出ている勘定だ。これが降水密度を人知れず高めていた理由であった。天然ガスへの切り替えを急いだ地域ほど、洪水の被害を受ける頻度は高められていた。洪水は当該地域の周辺で、たてつづけに起きるようになっている。CO2は有機物の中心的素材という意味がある。温室効果ガスが能力を発揮するためには、地表の温度が高まっているかどうかがポイントだ。海面の温度上昇はその症状の一つであったのだが、大気圏を広範に温めるためには400ppmという密度では余りにも足りない。コンマ以下の数値でしかないのだから、地球全域を温めるのはあきらかに不可能。生態系の主要な成分となっている植物にとって、炭酸同化作用は切っても切れない根本原理。地中に伸ばした根が土中に浸潤していたCO2を吸い上げ、葉が行った光合成で新鮮な酸素を吐き出す。大気中のCO2濃度の値は、400ppmと極めて低い。それは、たった0,04%という意味なのだから。これはほぼゼロパーセントと同義だといってよい。炭素原子が有機化合物から取り除かれてしまうと、有機物という名称は使えなくなるだろう。植物にとって生育することが不可能になるということだ。脱炭素という国連が進めているその運動が意味しているのは、有機体の否定が近い将来必ず顕在化するという予告。国連に気候対策として科学的アプローチを求めたことが、そもそもの間違いの元だった。温室効果ガスで大気圏に影響を与えているものは何かと問われれば、それは水蒸気以外には存在し得ない。CO2とNO2では分子量が多くなっているため、空気と比べると相対的に重くなってしまうことから、空気で満たされている低い層をこえて、上昇していくことがそもそもできない。液体の水では更に重くなってしまうため、上昇能力のない水に温室効果を与えることはもともと不可能。クラスター状態をとって堅く結びつき纏まっているのが、液体の水の特性なのである。気体であれば分子量はとても小さい。このため軽いガスとなって大気圏を温める。こうした理由で地表の熱を水蒸気が持ち去る、という表現がひろく使われるようになったのである。これは気化熱と呼ばれている。気体の水とはつまり水蒸気のことである。これが地表から熱を奪ってそこを冷やし、取り込んだ熱で上空を反対に温める。単体の水蒸気は常温で眼には見えない。暖かい春先になると、地中の水分が蒸発して霞となって立ち現れ、遠景にあるものをぼかして見せる。土の中の水分が纏まって水蒸気となり空へと昇り、やがて雲と呼ばれる群れとなる。この雲こそが温室効果ガスなのだ。空に残っている雲の層が厚くなっているとき、冬の放射冷却はおきない。寒い夜でも暖かい空気を保つ雲がそこに残されているからだ。上空のどこかでこの雲が寒気と接点をもったとき、ガスは冷やされて凝結し液化する。この時重さを得て地表へと落ちてくる雨となる。この繰り返しが水と熱の循環を大気圏内に生み出し、植物の生育を扶けると同時に、CO2から酸素を分離して新鮮な空気を地表へと届ける。生命はこのサイクルが成り立てせている。多くのイノチあるものを生命体として、元気よく健やかに育んでいる。生命にとって欠かせないのが、空気(78%の窒素N2と21%の酸素O2)からなる大量の混合気体。残り1%の範囲に、CO2やその他の分子すべてが含まれる。だが水蒸気だけは例外だ。水蒸気は国連の統計からは外されていた。湿度は不安定な変化を示すということが、変化の度合いを著しく大ききなものにした。この湿度は平均で67%とされている。国連の統計に湿度は成分として除外されていたのだ。この措置が温室効果ガスをCO2だけと決めつけた理由となった。空気には乾燥空気と湿潤空気の二種類のものがある。この違いを要素として弁えていなかった国連が、30年以上に亘ってCO2の排斥運動を世界中に強要してきた。この不完全な要素抽出の過程で判断を急いだ結果、京都議定書は第一約束期間の直後に見限られたのであり、新設したパリ協定もまた鳴かず飛ばずのまま終始した。こうして甲斐のない努力をつづけてきたその果てに行き場を失った国連が、脱炭素運動の展開を一本の藁として必死に掴んだ。一連の経過に残された拙い展開を思い起こせば、この脱炭素運動もまた失敗に終わるのは必定だった。コンマ以下でしかないCO2の削減に拘っている限り、有効解となるべきものは何一つ得られない。当初から言われてきた実効なき温暖化防止対策というものを、またもや繰り返し継承し延命させるだけのこと。富の漏出がどこかで止まるという淡い期待は敢え無く消え、国民は陥っていた貧困生活に呻吟しながら、可処分所得の低下に更に苦しむ、というのが身の定めとなっていた。権威は批判するための対象だったのであり、思考力を鍛えるという役割を担っている。無条件の信奉は狂信者集団を育み、相互にとって実に有害な関係に陥らせる。こと気候変動に関する限り、権威筋は世界を混乱させただけだった。効果のない環境投資で世界の富をどぶに捨て、貧困に喘いでいる人々を苦しめただけだった。錯誤というよりは寧ろ倒錯というべきオモイコミが、このままずっとつづようなら、国連が槍玉に挙がることになっても異論はない。やるべきことはたったの一つ。それは脱炭素運動から直ちに抜け出す、ということだ。水蒸気の元である水素から直ちに離れなければ、文明に残された未来は消え去る。火力発電所が行っている蒸気発電という電源は、天然ガスを燃やした熱で水を蒸発させ、できた水蒸気に高圧をかけることで動力として利用するというものだ。蒸気タービンを毎分、正確に三千回転させていなければならない。60Hzなら三千六百回転となる。発生した蒸気に圧力をかけ続けていると、必要のない高熱を帯びた蒸気を大量につくりだす。ガスの種類によって冷熱になったり、温熱になったりする。水蒸気とCO2は、共に後者に属しているガスなのだ。蒸気そのものが温室効果ガスであったということが、そこに圧縮熱が加わって300℃以下の高温の蒸気となっていた。これが大気圏へと四六時中吐き出されているのだから、地球が温暖化しない筈はなかったのである。炭素と水素を取り込んだ化合物の代表が、要するに天然ガスということなのだ。炭化水素が含有する水素の割合が低ければ気体であり、多ければ液体だ。CO2に拘っていた国連が、この状況を生んだのだ。メタンガスは余りにも軽すぎるため大気圏を通過してしまうため、高い温室効果能力をもっているにせよ、成層圏まで一気に到達してしまっていたのだ。メタンの温室効果は従って、大気圏に熱の影響を及ぼすことはない。大気圏内の存在比率は十億分の一を意味するppbの単位であり、CO2のppmより遥かに希薄なガスになっていた。メタンガスが漏出して止まらなくなっていても、大気圏に影響を与えることはないので心配はない。あっという間に、大気圏から飛び去ってしまうからである。天然ガスを燃やすと燃焼過程で空気中の酸素と結びつき、水H2Oのガスとなって熱を吸収した高温の水蒸気を生んでいた。この性質が水蒸気の温室効果を高めた。地下資源を燃やすとそこに取り込まれていた水素と炭素が、炉内で酸素と結びつき人工の水を合成させた。地球がもっている水の全体量を増やしていたのは、天然ガスに含まれたメタンだったのである。水はきわめて安定な物質であり、自然条件下で分解するようなことはない。この条件が地球を水の惑星と呼ばせている。こうした理由で文明が天然ガスを長期間燃やしてきたということが、自然界に存在していなかった人工の水を量産し、やがて地球を水没させるほどの大洪水を至る所で引き起こす。水を分解する方法は電気分解と熱分解のふたつしかない。どちらも大きなエネルギーを別途必要とするため、水を減らすための条件はこれ以上水素を燃やしてはならないということになる。天然ガスを燃やせば燃やすほど、降水密度は高まって水害を多発させる結果を生む。地表の耕作面積を次第に狭め、海岸線の長さ全体を短くするのだ。そうなる事態を避けるためには、地下資源を一切燃やしてはならない。誘導起電力を直接引き出す方法を利用すればよい。その方法は複数のモデルが既によく知られている。この方法を採用すると環境問題のみならず、経済問題やその他多くの諸々の課題を、同時に解決することさえできるようになるだろう。