カテゴリ:カテゴリ未分類
権威とされている存在が判断を誤ったとき、殆ど総ての人々が同じ失敗へと期せずして嵌り込む。疑うことなくそのまま間違った道へと、自動的に突入してゆくこととなり、結果として全体が同じ穴へと転落することを歴史は繰り返してきた。止まらない温暖化が、その最新の証拠となった。
権威主義者というものは、権威的存在を批判することがそもそもできない。このためたとえ判断が間違っていると分かっていたとしても、錯誤をそれと疑うことを自発的に避けたがる。見たくない事実は、見ないで済ます習性を無意識裡に発揮するのだ。この経過は普遍的なものであることから、不幸で不毛でしかない戦争と呼ばれる戦闘行為を、過去に幾度となく引き起こしてきたという歴史が残された。 このところ世界的に顕著になっている民主主義の急激な劣化、という制度設計上の意図に反する負の経過は、権威主義が到達した最も進化した時代を迎えた現在、システムが内包する脆弱性を明らかにし始めている。指導体制の劣化を進めていることに気づかないトラムプの共和党政権は、国民の多くをアメリカ至上主義へと取り込んで、国家の未来を捻じ曲げて独裁体制を構築する、その直前の段階にまで達していた。 民主主義を否定することになる力と、威圧的な大声による単純化されたその行動で、独裁体制の擁立を謀り我田引水型の論理展開で、行為の正当化を圧しすすめ、居丈高な姿勢で押し切ろうとした記録はあまた残された。獲得した既得権益を露骨に使って体制強化を推しすすめ、見苦しいほど独善的となった、極右化した新指導者の姿を昂然と露出して恥じることもない。アメリカの恥でしかならないそれらの行為を、公然とさらけだしていながらそれが意味することには無関心。 民主主義は教育の在り方次第で不健全な多数派を作り出す、という点で極めて有害かつ脆弱、な制度であることを人々に見せつけた。このところ続けざまに世界へ向けて、バイアスのかかった発信を繰り返す言動は、前大統領が在任期間を通じて残した、紛れもなく雄弁な数々の証拠となった。 アメリカの分断は異なった立場の勢力を、相拮抗させる経過を一貫して辿り、そのことが民主主義に対する権威主義のバイアスとなって作用した。脱炭素社会を標榜する国連の錯誤にまったく気づかない国際社会は、気候変動の原因を相も変わらずCO2が増えた所為だ、と無批判に決めつけただけでなく、検証することは固より確認することさえ怠って、科学に背く認識だとは露ほども思わない。こうして気候変動にすぎなかった温暖化現象を、気候危機へと結びつけることに一役買う、という役割を演じつづけることになったのだった。 科学全般に関する基礎的な条件が、知識階級に広く残されていたのであれば、CO2の質量をアボガドロ数で確かめる程度のことは、COPがスタートした時点で問題なくできていたことなのだ。Molの意味を学校で学んでいながら、その使い方を失念してただ安閑と過ごしている、というそのことが温室効果ガスを、CO2だけだと決めつける経過を生み、真の原因である水蒸気に対する疑いを、国連の錯誤に気づかない権威主義者たちが、善と信じて拡散させてきたのであった。これこそが、温暖化を止まらないものにした最大のその理由であった。 知育偏重に特化した教育の高度化、という半世紀に及ぶ変遷過程の関与によって、短期間で思考力を顕著に失った人材を抱え込んだ、この国の指導体制一同は、己の判断が劣化してしまっていることに気づく機会を失っていたのだ。繰り返し黄泉還ってくる原理運動と同等の原点回帰を志向したがる性向が、亡霊のようにして盲目的に帰依を求める宗教的状態とそれはよく似ている。 知識量重視の学力主義が、結果として学んだものの意味を咀嚼する時間を惜しみ、高度化する一方となった教育体制が、知識の深化ではなく横への拡大に転じたことで、思考力を涵養するための時間を教育が奪い、知識はあってもその意味を理解していない、半可通の知識人たちを、大量量産しつづけてここまでやってきた。 アメリカで今起きている政治情勢の急峻な変化には、過去に積み上げてきた失敗の歴史が、国民の総意となって指導体制の選択に、強い影響力を与えるようになってきており、民主主義を誤った方向へと導こうとする強い力が、特定方向に働くベクトルとなって作用しはじめている。ポピュリズムと右傾化という変化から、文明は学ぶことがまだできない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021/11/25 04:50:42 PM
コメント(0) | コメントを書く |