番外編 クリスマススペシャル☆―もしも雪が降ったなら―
クリスマススペシャル☆―もしも雪が降ったなら― AM6:00小姫御殿 「ふわぁ~寒いなぁ」 「本当にねぇ」 小姫御殿の玄関からやすこ姫と魔女えいが出てきました。 二人が喋るたびに白い息が吐き出されます。 「久しぶりじゃん?こんなに寒いの」 「そうだねぇ」 「あ、昨日用意しておいたお菓子どうなってるかな?」 「見に行って来ようか」 二人は庭に周ります。 縁側に置いといた箱の蓋を開け、中を覗きこみました。 それを見て、二人はにっこり。 「うん、良い感じw」 「じゃ、後でこれ持ってお城に行こうか」 「えいちゃんその前に」 「ああ」 二人は顔を見合わせて笑いあいました。 「「メリークリスマス!」」 * AM7:00森の賢者宅 「ふあ~寒いなぁ~」 森の賢者まゆみは、小屋から出て白い息を吐き出しながら伸びをします。 「しかしっ寒さも雅っ!なんて自然はスバラシ~」 賢者はこきっこきっと首を鳴らして叫びました。 しかし、賢者はいつもは散歩に行く所を、踵を返して小屋の中に入りました。 どうやら今日は散歩に行かないようです。 そして部屋の真ん中に置いてあるテーブルの前にやって来ました。 テーブルの上には、小麦粉の袋、卵、イースト、砂糖、牛乳、等等の材料が乗っています。 「さて」 賢者は腕まくりをしました。 「作るか☆」 * AM8:00隣国の城 珍しく早起きのしほクイーン。 何故か厨房で巨大な鍋をコトコト言わせながらゆっくり掻き回しています。 さて、仕込みはばっちり。 ホワイトソースに取り掛かろうとした時に、大臣がやって来ました。 「しほクイーン、国のクリスマスイベントには出席なさいますか」 「あーーーー、うち今年もいないって言っといて」 「承知しました」 しほクイーンの不在にも動じない国、隣国。 大臣ももう動じません。 * AM9:00酒場酒蔵 しましぇ馬がつまらなそうに地面を蹴っています。 まだしょう王子が戻ってこないのです。 と、しょう王子が帰ってきました。 「店の主人が酒樽一個とワイン五本くれるってさ」 「でかしたな、しょうくん」 「じゃあ持ってこうか」 「よし、僕の背に酒を乗せてっ」 「・・・しましぇ、お前途中で落とすなよ」 意気込んでいるしましぇとは裏腹に、リアルに不安になるしょう王子でした。 * AM10:00よしこ医院(本日休業日) 「ななななななななんですかそれっ」 よしこの手伝いに借り出されたとーるじいやはうろたえます。 女医よしこは何が怖いんだと言わんばかりに、怯えるとーるじいやに目をぱちくり。 「何って、爆竹」 「何に使うのっそれ!!」 あまりの怯えようによしこ、むっとなります。 「何?うちのやることに文句あんの?」 「いいい、いや無いけど」 「だったら手伝うっ!!」 泣く泣く、とーるじいやは手を出します。 「大丈夫、火を点けない限り爆発なんてしないから」 「・・・はい」 超巨大クラッカーの準備が始まります。 * AM12:00隣国の森の魔法使い宅 魔法使いゆりこ、何やら魔法を考案しているようです。 机に向かって羽ペンを持ち羊皮紙に時々書き込んでいます。 すると、何かが解けたようで、ゆりこはにっこり微笑みました。 「よっし、この魔法式だったらいける☆」 試しにゆりこがぶつぶつと呟いて手を振ると、何か白いものが舞いました。 さて、魔法使いゆりこはにっこりして呪文の開発をし始めました。 * AM12:00城パーティールーム 「ジングルベール、ジングルベール、すっずがー鳴るー♪」 巨大なクリスマスツリーに、あかね姫が飾り付けをしていきます。 色とりどりの飾りやモールを付けて行きます。 てっぺんに星を乗っけて、さあ後は袋入りのお菓子を飾り付けるばかり。 お菓子は持ってきてくれる予定なのです・・・が、 あかね姫は待ちきれなくて、立ち上がって廊下に飛び出していきました。 「しゅーーーーんくーーーーーん、まぁだーーーーーーーーー???」 * PM1:00城の厨房 しゅん殿様の超貴重なショットに家臣唖然。 ・・・エプロン姿。 しゅん殿様がテキパキと動く側であかね姫がにこにこしながら出来上がりを待ちます。 「クッキーまだ?」 「あと二十分」 「キャンディーの袋は?」 「まだ」 「チキンまだやらないの?」 「チキンは出来立てが一番おいしいのっ」 「ねぇクッキーは?」 「・・・まだだから静かにしてろーーーーーーー!!!」 「きゃいん」 「あっあかね姫さま」 ひょいっと厨房からあかね姫は追い出されます。 しかしあかね姫はにこにこ顔。 「しゅんくん楽しそう♪」 男の料理は一人で。 厨房の中でしゅん殿様の格闘は続きます。 * それぞれ、午後五時を目指して準備が着々と進められます。 さあ、パーティーです。 * AM5:00 「メリークリスマス!!」 いいんかい!国主要メンバーが続々と城に集まってきました。 クリスマスの持ち寄りパーティーをするのです。 城在住のあかね姫はクリスマスツリー。 同じく在住のしゅん殿様はツリーに飾り付けてあるお菓子と絶品チキン。 「メリークリスマス!」 「やっことえいだーw」 「アイスキャンディー持ってきたよ!」 やすことえいは気候を利用してアイスキャンディーを作ってきたのです。 「メリークリスマス~~~」 「まゆみ寒さが身に染みるみたいだね笑」 「ううううう~はい、これ」 「わぁあ!ケーキだ!」 賢者まゆみは賢者特製丸太ケーキです。 「メリークリスマス!」 「あれ?しほクイーン国のイベントは?」 「うちがいなくても皆仲良くやってるって」 いつもの自主性を育てる発言。 しほクイーンは大鍋を渡します。 「はい、これ」 「うわ~シチューだ!」 「ああ~重かった!こ、腰が・・・」 しほクイーンは隣国の野菜をたっぷり使ったシチューです。 「メリークリスマス!」 「ふぅ・・・メリークリスマスです!」 「あ~しましぇとしょうくんトナカイとサンタだ~」 しましぇ馬がトナカイの角と赤い鼻をつけていて、しょう王子は赤いサンタの格好をしています。 「ほい、これ」 「ええ!このお酒何処から持ってきたの?」 「店のオヤジさんから分けてもらった」 「なんだそういうことかぁ~」 どうやらしましぇ馬、落とさず酒樽とワインを持ってこれたようです。 「メリークリスマス」 「・・・よっこらしょ。メリークリスマス」 「・・・何、かつおくんが背負ってるの」 にっとよしこが笑います。 「こーーーすんの」 よしこが先っちょから出ている紐を引っ張りました。 ばごーーーーーーーーーーーーん!!!! 「・・・・なるほどね。」 耳を押さえていたあかね姫は気の毒そうに、超巨大クラッカーを背負ってきたとーるじいやを見ました。 涙目で耳を押さえているとーるじいやは「何で僕が」を繰り返しました。 さて、続々と仲間達が集まってきて談笑し始めます。 おや?魔法使いゆりこがまだのようです。 「ゆりこまだかな」 「ね、遅いね」 「何もって来るかな」 口々にゆりこのことを皆話します。 と、窓がノックされました。 一同が見ると、魔法使いゆりこがぐるぐる杖に乗って空中で静止しています。 「ゆりこはん!」 「メリークリスマ~~ス」 一同は窓に駆け寄ります。 「じゃ、うちからの持ち寄りね」 ゆりこは皆が見ている前で空に舞い上がりました。 そして呪文を呟きます。 「空中で水分が凝結して白い使徒が降ります☆」 空に魔法の光が満ちます。 窓で見ている皆はゆりこが何を仕様としているのか窓から乗り出して見ていました。 と、白いものが降ってきます。 やすこ姫が手を伸ばすと白いものは体温で溶けました。 皆はそれを見て歓声を上げました。 「雪だあ!!」 そう、魔法使いゆりこは魔法で雪を作り出したのです。 魔法使いゆりこの作り出した雪は、いいんかい!国を包みました。 思いがけず、ホワイトクリスマス。 城で皆はパーティー。 皆楽しく過ごしましたとさ☆