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[いいんかい!国]

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2006年11月29日
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一週間が始まるヨ!の巻

 いいんかい!国には国教があります。
 マナミ教。遥か昔、ゴッド・マナミが全てを気まぐれに創造し、いざとなったらゴッド・マナミが助けてくれるだろうからゴッドに頼れというかなり都合の良い宗教です。
 この国の人間に色んな意味でぴったりです。

 お祈りは週に一回。
 お城では一週間の始まりである月曜日の朝八時に、聖堂で皆が集まってお祈りをし、大司教の説教を聴きます。

 「どんな原子も分子も、1モルの質量は原子量と分子量と一緒のように、全ては関係性のあるものといえます。」

 大司教の軽い感じの高めの声が聖堂に響きます。
 タモガミ大司教、現時点でこの国最大の聖堂である城の聖堂の主といえる、城付きの大司教です。説教の仕方がマニアックです。
 大きな目をぎょろりと動かして、堂内の長椅子に座る一同を見回します。

 「ゴッド・マナミも、皆さんに関係無いなんてことはありません。全ての人を平等に眺め、必ずや救いの手を差し伸べて下さいます。」
 「Zoo・・・Zoo・・・」

 おや?
 タモガミ大司教の甲高い声のほかに、何か聞こえてきましたよ?
 タモガミ大司教の頬がぴくりと痙攣します。

 「だから、皆さんも隣人に手を差し伸べましょう。いつかそれは、貴方に形になって返って来るはずです・・・」
 「Zoo・・・Zoo・・・」

 一列目、しゅん殿様が腕組みしてどかっと座って聞いており、森の賢者まゆみとやすこ姫の女房えいが座って真剣に聞いてます。
 二列目、しほクイーンとーるじいやが眠たげにでも辛うじて起きて聞いており、魔法使いゆりこがしほクイーンにどんな悪戯してやろうかと考えながら聞いてます。
 三列目、しょう王子しましぇ馬がにやにやしながら大司教の話を聞き、よしこ女医が二人を黙ってろよと睨みつけながら聞いています。

 そして、四列目。

 「Zoo・・・Zoo・・・」
 「要するに全ては自分に返って来るのです。良い行いをしたら良いことが、勿論悪いことをしたら悪いことが。・・・人の話を聞かない場合もそうです。」
 「Zoo・・・Zoo・・・」
 「ちょっとそこの二人っ」

 タモガミ大司教、腹立ちそうに声を荒げます。
 さあ、来た。

 「「目覚めなさっーい!」」

 聖堂にタモガミ大司教の激が、今週も堂内に響きます。

 「先週も先々週も言うなれば生れた時からずぅぅぅぅぅぅっと貴方たちは一年の七分の一だけ言い換えればたった一週間に一度だけなのにこの時間は寝てるじゃ無いですか!いい加減寝飽きたでしょうっ!」

 タモガミ大司教がかつかつと靴音を聖堂に響かせて四列目に向かいます。

 四列目、あかね姫やすこ姫
 頭をくっつけて仲良く寝ていたところを、タモガミ大司教の激でむにゃむにゃとろんとした目をうっすら開きました。
 国を背負う姫と小姫があろうことか自国の国教の唯一の宗教活動である、聖堂でのお祈りと説教の時間に居眠りをしているという有様。
 いつものことで、タモガミ大司教は毎回あの甲高い声を聖堂に響かせるのです。

 「むぅぅ。大司教、おはよう。」
 「おはようじゃありません。貴方、仮にもこの国の姫でしょうッ。国民の見本になるような態度を身に付けて下さい!」
 「だーーーってあかねは無宗教だもーーん」
 「やっこも無宗教だもーーん」
 「この国の国教がマナミ教である限り貴方も貴方もマナミ教ですっ!」
 「心は自由だもーーん。この国無宗教にしようかな・・・」
 「それはダメです。」
 「どうしてー?」
 「私の仕事が無くなります。」

 意外と私情を挟むタモガミ大司教。

 「大司教、朝にこんなのやるのが無謀なんだって。皆眠いよ。」
 「眠くても皆起きているんですっ努力してるんですっ」
 「ほんとだー皆偉い。」
 「貴方も頑張るんですっ。ちょっとそこの貴方、やすこ姫の侍女でしょ?!どうにかできないの?!」
 「侍女じゃなくて女房ですよ。そもそもやすこ姫の興味範囲外の説教を聞かせようとすること自体無謀だと思います。」

 あかね姫とやすこ姫が宗教に興味の無いことは周知のこと。
 二人の生来、マナミ教を説いてきたタモガミ大司教が一番それを解かっているはずなのに、彼はまだ諦めていないようです。

 「マナミ教は国教でありこの国の義務でもあります!ちゃんと聞いてくれなきゃ困ります。それに聞かないうちから興味が無いなんてなん論理はおかしいです。一回でも聞いてみないことには自分の興味があるかどうかなんて解からないでしょう。人間まず話を聞くことが大切なんですっ。」
 「むにゃ・・」
 「話を聞いてー!」
 「Zoo・・・Zoo・・・」
 「寝ちゃだめです!目覚めなさっーい!!」

 激、再び聖堂に響きます。

 「いやぁ~、やっぱり一週間の最初は大司教の激を聞かなきゃ始まんないよね。」

 森の賢者がタモガミ大司教が姫二人と言い合っているのを聞きながら伸びをします。

 「もう習慣みたいなもんだしね。」
 「ああ、タモさんの声で目が醒めた。」

 しほクイーンが目をぱちくりさせて後を眺めながら言い、とーるじいやも目を擦ります。

 「そもそも教え自体胡散臭いと思うんだけどなー。だって気まぐれで世界を創造したって。」
 「なんかうっかり作っちゃったみたいな感じだよね」
 「マナミ教を信仰していても僕は一向に救われません・・・」
 「お前はそういう運命がなんだよ」
 「えぇっそんなぁっ」
 「まあそれはそうとして」

 「本当にゴッド・マナミっているのかなあ。」

 空の上で、ゴッド・マナミ

 「一応いるんだけどな・・・」

 と、ぼやいていることは誰も知らないこと。

 時間を知らせる聖堂の鐘が鳴ります。

 「あっ、時間だよ大司教!これでもうミー行っていいよね?!」
 「ちょっと待ちなさい、話を聞いて・・・待ちなさい!」
 「終わったァ!」

 「待ちなさっーい!!」

 ぞろぞろと立ち上がって、伸びをして、聖堂を皆退散していきます。

 こうして、いいんかい!国の一週間が始まるのです。


* * *
あとがき

これ書いたときは楽しかった笑
大司教様の初登場だもの。
やっぱりあのお言葉は必須よねw

from魔女えい






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Last updated  2006年11月29日 17時33分00秒
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