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前回の日記で、ピーター・リンチは「自分にとって身近な会社の中から成長株を見つけることができる可能性がある」と主張していることを確認できました。すなわち、「まずは、人間の生活に不可欠な衣・食・住のサービスを提供する会社や、自分の仕事や趣味で関わっている業界の中から成長株となりそうなものを探すことの重要性」を主張しています。
ありふれた事業を行っている企業の中に勝ち組が存在し、かつ、殆どの人が成長株であるということに気づいていない段階でそれを見つけることで最も大きな恩恵を受けられるという主張しています。 具体的な銘柄で例えると、「個人投資家はシスコシステムズやインテルやヤフーが成長株であることを見抜くよりも、コカ・コーラやセブンイレブンやファーストリテイリング(ユニクロ)が成長株であることを見抜くことに力を注ぐべきである」ということに他なりません。(注:こうした銘柄を殆どの人が注目していないときに探さなければならないのは言うまでもありません。) 成長株投資というフィールドを考えた場合、機関投資家に対する個人投資家の優位性は、自分にとって身近な銘柄であれば機関投資家がリサーチの対象とする前の段階でそうした成長株の候補となり得る企業を見つけられるかもしれないという点です。 (1)機関投資家がフォローしない時価総額が小さい段階で成長株を発見し (2)実際に成長し機関投資家がフォローする程度に時価総額が大きくなって (3)機関投資家や後から乗ってきた個人投資家に高く売ることができる(もちろん、成長の持続性如何では売却をしないという選択も有り得る) という形で株価が大化けする可能性があることが醍醐味であると言えます。自分にとって身近な企業でこのような現象が起これば、こんなに素晴らしいことはありません。 しかし、ここには落とし穴もあります。それは、「自分にとって身近な企業であるという理由だけで大した調査もせずに投資をしてしまう」という、かつて私もやったことのある誤りです。 「株で勝つ」に書かれてある「多くの投資家は、実際にお店に行ってドーナツを食べることが成長株を見つけるための第一歩であることに気づいていない」というくだりを表面的にしか理解していないことによる失敗と言えます。 分かりやすい事例として、外食チェーンを展開している企業への投資を考えます。 自分が頻繁に行っているお店はいつもお客さんがいっぱいいて、非常に繁盛しているという事実は、その企業が行っている事業がうまく行っているかも知れないと考える最初のきっかけにはなりますが、それだけの理由で投資をしてうまく行くだろうと考えるのは早とちりだということです。 調査すべきことがまだまだあるはずです。例えば、以下のようなことが挙げられます。 (1)同じ店舗でもその他の曜日・時間帯の客入りが芳しくない、あるいは、その他の店舗の客入りが芳しくなく、企業全体で見れば大したことないかもしれない ・・・月次売上の推移などをHPで確認する (2)その企業が行っている業態に新たなライバルが進出し、店舗戦略や商品戦略に特段の優位性がなく売上や利益が落ちるかもしれない ・・・同業他社の店舗戦略や商品戦略を調査・比較する (3)資金調達の方法や設備投資の方法がまずいかもしれない、また、不測の事態に対応できないくらいに財務が不健全かもしれない ・・・財務諸表を確認し裏付けをとる (4)実はその企業の潜在的成長性は既に株価に織り込まれているかもしれない ・・・株価指標などで割安度を確認する、雑誌などで大きく取り上げられていて人気株という位置付けになっていないかどうかをチェックする 身近な企業であるというのは、あくまでも成長株候補として分析を始めるためのきっかけに過ぎません。身近な企業だからというだけで投資するというのは、偶然以上の可能性で成功できるとは思えません。 ピーター・リンチ流の成長株投資志向であると自負するならば、このような勘違いをしていないか今一度確認したほうが良いと思います。 今日の言葉: 「ドーナツを食べて美味しいと思っただけでその会社に投資をするのは投資資金をドブに捨てるようなものである。ドーナツは美味しいかも知れないが、企業運営がまずい可能性があり、それをよろしく調査することが必要である。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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