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2018.12.05
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『生命とはなにか』という本の第1章で、マーギュリス博士は自らの考えを要約するかのような3つのキーワードを提示しています。
まずは「シナジー」という言葉です。
これは「ともに働く」という意味のギリシャ語「シネルゴス」が語源で、アメリカの建築家バックミンスター•フラーが部分の合計以上のふるまいをそう呼んだことに由来します。

「はるか昔、ある化学物質が水や油の中で集まった時に生命は生まれた。シナジーは、バクテリアから原生生物が生まれた時にも、またそうした細胞から動物が生まれた時にも見られた。(中略) 進化は新しい生命の形があらわれるたびにあらたに始まるわけではない。すでに突然変異によって生まれ自然選択によって維持されてきた既存のモジュール(それは主としてバクテリアであることがわかるが)が集まって結びつくのである。それらは群をなし、合併して新生物を生み出し、このまったく新しい複合体が作用し、また自然選択の作用を受ける。」

次にアーサー•ケストラーによる新語とされる「ホラーキー」なる語が紹介されます。
これは「大きな全体の中に小さなものが共存する状態」を表した言葉で、ホラーキーの構成要素間には階層(ヒエラルキー)関係はなく、一方が他方をコントロールしているというような意味を持っていないとされます。
そして、この二語を使ってマーギュリス博士は生命をまずはこんなふうに表現します。

「地球上の生命は創造された階層ではなく、組み合わせや結合や再編成による自発的シナジーから生じた発生的なホラーキーである。」

この後、さらに要となるもう一つのキーワード、「オートポイエシス」が登場します。
これは直訳すると、「自己生産」という意味で、生命の最も根本的な本質は自己を維持するための代謝にあることを表した言葉というふうに受けとめられます。
つまり、生命というのは、エントロピーの法則に抗って、常に自らを修復し、新たにする活動を行っている存在ということです。
ただ、マーギュリス博士によれば、生命とはオートポイエティックなものではあるが、それはなにも生物に限定されるものではなく、その最大のものは惑星レベル、すなわち生命圏そのものということにもなります。
地球という惑星を多様な生物が相互作用しながら共生する生きたシステムとみなしているわけです。

では、そうした生命圏における最も小さな生命の形は何かと問えば、それはもちろんバクテリアということになります。
ただし、最小でありながらも彼らこそ「生命圏の支配者」であるというのがマーギュリス博士の見解です。

「『生命とはなにか?』という問いに対する一つの正しい答えは、『バクテリアだ』というものである。どんな生物も、それ自体は生きたバクテリアでなくとも、なんらかの意味で、バクテリアの子孫であり、あるいはおそらく何種類かのバクテリアの融合したものである。バクテリアは、この惑星に最初に住み、そしてその支配力を一度も手放したことはない。」

バクテリアはこの惑星上のあらゆる主要な代謝作用を発明し、遺伝子を迅速に交換することで多様な生命体の誕生に貢献してきたばかりでなく、空気中に酸素や窒素があり、その比率が一定に保たれているのも彼らのおかげだそうです。
また、石灰岩や珊瑚礁といった自然環境もバクテリアの存在によって作り出されたものだといいます。
もちろん、その働きは何10億年も前から今日に至るまでずっと続いています。

「我々はどうしても自分たちが他よりも立派で重要だと思いたがる。いかにも人間らしいことです。しかし、我々の糞や尿を処理してくれる微生物がいなければ、我々は自分の排泄物と毒ガスの中に溺れて窒息することになります。糞や尿を作り出す生物はそれを処理する生物よりも重要でしょうか?
大事なのはこの両者からなるシステムの全体なのです。多様性があってはじめてシステムが作動する。すべての生物は独立していると同時にまた他に依存してもいる。バクテリアがいなければ、地球上の生命というシステム全体が稼働しなくなるのです。」

決して人間を特別視しないところが、なんとも言えず爽快ですね。
彼女にとっては、「人間も地球上の3000万種の生物のたった一つにすぎない」わけです。

対談記事を読むと、マーギュリス博士が嫌っている考えが少なくとも二つあることがわかります。
一つはネオ•ダーウィニズムの主張する「競争」とか「適者生存」という考え方。
もう一つはユダヤ•キリスト教的な人間中心主義。
彼女によると、「人間のテクノロジーですら、ホモ・サピエンスに属するものではなく、生物圏全体に属するもので、それは1500万年前に生まれた草というものが今まで生き延びたことと深く関わっているテクノロジー」ということになります。
さらに彼女が言うには、人間というのは「雑草的な哺乳類」で、「非常に人口成長率が高くて、しかも環境を変える傾向も大変に強い」生物だが、それはいずれ止まるのだそうです。
生物学的な長い目で見れば、いつか人類は絶滅するはずだけど、人類がいなくなっても世界はずっと続くだろうということです。
そして、仮に人間の子孫がテクノロジーの力を借りて宇宙に進出し、新しい生き物として生き残っていくとしても、彼らはもはや人間ではなく、違う生き物だといいます。

「人間というのは木や、花や、緑の草など、今このニュー•イングランドの一角でこうして私とあなたが見ている風景を心から愛でる存在です。この風景の中でこそ自分の真の力を発揮できる生き物なのですから。」

このおばさん、人間に手厳しいことばかり言うのかと思っていたら、最後にグッとくるようなセリフで締めくくってくれました。

* 引用、抜粋はすべて『生命とはなにか』『未来圏からの風』(池澤夏樹との対談)からのものです。






Last updated  2018.12.05 09:26:19
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周梨槃特@ Re:「老い」の意義(11/20) 最近、自分にとって不都合と判断できる「…
ポポイ!アンフラマンス・ホウ!@ Re:名残の花も散りぬるを(05/09) ええ、去年とはまた違ったパターンで来ま…
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