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2024.03.24
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カテゴリ:カテゴリ未分類


カネノナルキ 2024 


173

木村伊兵衛 「本郷森川町 28. 4. 7 」 1953


ジョエル・スタンフェルド 「ヴァージニア州マックレーン」 1978

こうして2枚セットみたいにして並べると、これらの写真に何か共通点でもあるのかなと勘ぐる人もいるでしょうね。
特にそんなものは何もないのですが、あえて言うと、どちらもいわゆる写真の名作だという点では共通しています。
だから、両者ともそうした名作を紹介したり解説したりする本の中ではよく取り上げられます。
私の場合、「本郷森川町」は赤瀬川原平の『鵜の目鷹の目』の中で初めて見ました。
もうずいぶん昔の、たぶんネットが普及する以前の話です。
その本を先日読み返していて、当時はあまり興味がなかったものの、その後面白いと感じるようになった写真家たちの作品が何枚かこの本の中に紛れこんでいることに気づきました。
ジョエル・スタンフェルドもそんな写真家のうちのひとりです。
最初読んだ時は、この人のことをよく知らなかったので、その写真もイマイチ印象に残りませんでした。
それはニューヨーク州トロイという所にある変テコなビルを写したもので、それを赤瀬川原平は「あられもないトマソンビル」と題して面白おかしく観察しまくっています。
じゃあ、その写真をUPすればいいじゃん。
まあ、その手もあったのですが、残念ながら『鵜の目鷹の目』に掲載されている38枚の名作写真はすべてモノクロ印刷なんですよ。
もともとが白黒写真ならそれを転載してもいいのですが、スタンフェルドの写真はやっぱりカラーで見てナンボのものなので、今回は「ニューヨーク州トロイ」が収めてある同じ写真集( 『American Prospects』) の中から、一番有名な「ヴァージニア州マックレーン」をチョイスしてみた次第です。

さて、さて。
やはり名作として残るだけのことはあって、両者とも見る人にちょっと不思議な感じ(謎)を抱かせる写真ではあります。
まずは、木村伊兵衛の写真。
全部で11人の人物が写っていますが、みんな視線がバラバラな感じがして、面白いですね。
police box の前に立っている警官とねじり鉢巻の男は同じ方向の何かを見ているようですが、それでも微妙に視線の角度が違っているようにも見えます。
右隅の男の子と中央の男性はひょっとして同じものを見ている可能性もありますが、その視線の先には見るべき何があるというのでしょう。
特に変わった光景は写っていませんが…
でも、まあ、全体的に何だか変な雰囲気が漂っているのは確かですよね。
一番怪しいのは中央のイギリス紳士然とした男性の足元。
中折れ帽を被り、スーツにネクタイ、コートにステッキという出で立ちなのに、足元が足袋に草履って一体どういうファッションセンス? 笑
しかも脇に抱えているのは風呂敷包みみたいに見えるんだけど。
この点に関して、赤瀬川原平はこんなふうに謎解きをします。

「じつはこの身につけているものは全部盗品であり、慌てて草履をつっかけて逃げるところなのかもしれない。
しかし走ると怪しまれるので、通り過ぎながらお巡りさんたちの方を見て、
(へえ、何だろう、何があったんだろう、へえ…)
なんて野次馬のポーズだけ作り上げて立ち去ろうとしている。
手に抱えている風呂敷包みも怪しいと思う。全身イギリス紳士ふうなのに、足もととこの風呂敷包みだけが日本ふうだ。右手をポケットに入れて何か押さえているが、この中にも何か日本ふうの、文鎮とか硯とかが隠してあるのかもしれない。」

ね、面白いでしょう?
赤瀬川原平が語ると必ずこんな感じになるんですよ。笑
まあ、でも、もともとこの写真自体がそういう見方を許容しているわけで、そういう意味では実に懐の深い写真ではあります。
そのへんのスナップ写真のように、たまたまそこを歩いていた人を無造作に撮っただけだとはどうしても思えないのですが、みなさんはどう思われますか。

お次はスタンフェルドの写真ですが、こちらも奇妙な点では前の写真に負けていません。
背後の家が火事で燃えていて、消防車のはしごが伸びていることから、今消火活動の真最中であり、切迫した状況であることがわかります。
にもかかわらず、消防士のように見える男がのんきに小屋の前に並べてあるカボチャの品定めをしています。
「さてと、こいつを2、3個持って帰ってやれば、カミさんの機嫌も直るんじゃねえ?」
なーんて呟いてるかどうかはわかりませんが、どうやらこの男、仕事をサボってるんじゃないかと思われます。
この件に関して、小久保彰氏は「この作品は裏目読みしてアメリカの勤労意欲の低下の象徴などと解釈することも可能だが、ある日ある所のユーモラスな一瞬で十分であろう。(『アメリカの現代写真』)」と述べておられます。

それにしても、撮影者であるスタンフェルドはいかにしてこの絶妙なタイミングを掴んだのでしょうか。
たまたまこの付近をドライブしていて、火災が発生していることに気づき、大急ぎでこの現場に駆けつけてシャッターを切ったのでしょうか。
8×10インチの大判カメラですから、インスタントカメラで撮るようなわけにはいかないと思うのですが。
気になるのは、画面前方の空地につぶれたカボチャが大量に捨てられている景色です。
ひょっとして作者は何らかのテーマを抱いてこの場所の写真を撮っている最中だったのかもしれません。
そこに全くのアクシデントで火事が発生し、その結果、とんでもなく不思議な傑作写真をモノにすることが出来たということかもしれませんね。 笑


174 


ニコチャン大王 by 鳥山明


グリロス by ヒエロニムス・ボス

鳥山明氏が亡くなられた頃、追悼の気持ちで『ドクタースランプ 完全版2』を読み返していて、ニコチャン大王に再会しました。( 「地球SOS ! の巻」)
地球の占領を企む宇宙人です。
これを見てパッと思い浮かんだのが、グリロス(頭足人)です。
上掲の絵でわかると思いますが、頭と足が合体した怪物です。
これはギリシア・ローマ時代の玉石彫刻から発生したと言われており、その後中世になってヨーロッパ全土に広がっていき、やがてヒエロニムス・ボスがそれを芸術にまで高めたとされています。

ニコチャン大王も顔からいきなり足が出ているので、とっさに似てる!と思ったんですね。
ところが、よく見ると、こちらには手も付いているのでした。
ということは、グリロスよりはむしろ、ハンプティダンプティに似ていると言った方がいいのかもしれません。
少なくともずんぐりむっくりな点はよく似ています。
ファーストコンタクトの際に、こいつを指差してアラレちゃんが不思議そうに「カオばっかし!」と言いますが、まさに全身が顔という感じです。
そして、アラレちゃんによるツッコミはさらに続きます。
「ごはんたべたらどこへはいるの?」
これに対し、ニコチャン大王は頭を指差して、「ここだここ!/ だからわれわれが空腹のばあい…/あーアタマがすいた!というのだ」と答えます。
これを聞いて、好奇心全開のアラレちゃんは頭部についている触角のようなものが何かと尋ねます。
大王の説明によると、これは鼻で、頭頂部の割れたところがおケツということだそうです。
「だからうかつにオナラをすると…/と…とてもくさい…!」
これに対し、アラレちゃんとガッちゃんは床にひっくり返って大笑い!

どうです?この下らなさ加減。 
とは言え、この漫画の爆裂的な可笑しさはとても言葉では伝わらないのも確かです。
やはり鳥山明氏の天才的な絵をシークエンスとして見ないとわからない世界ではあります。
私は今回久しぶりに「ドクタースランプ完全版2」を読み返しましたが、やはり最初から終わりまで爆笑の連続でした。
何回読んでも笑えるところが凄いなと思います。
しかも笑うことによって免疫力がアップし、体調がすこぶるよくなるから不思議です。
貧乏人には最強の健康法です。
そのことが今回の再読ではっきりわかったので、今アマゾンに「ドクタースランプ」の3巻目を注文したところです。
文庫本で9冊あるみたいなので、まだまだこれから先、末長く楽しめそうです。
全部読み終えても、先程言ったように、その後また何回も笑えるので、それこそ死ぬまで医者いらずってとこですね。 笑

















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Last updated  2024.03.26 14:39:39
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Re:薄紫の独白 # 木村伊兵衛 / ジョエル・スタンフェルド  # ニコチャン大王 / グリロス(03/24)   周梨槃特 さん
『Dr.スランプ』は何度読んでも笑えますね。私が幼少の頃は、「この漫画を読むと(アニメを見ると)アホになる」などと言われていましたが、大人になって読み返せば読み返すほど、これほど教育にふさわしい「優良図書」はないのではないか、と思われます。いや、むしろ大人向けの「優良図書」として推奨した方がよいかもしれませんねw。
長年、「鳥山劇団」の観客として楽しませてもらってきた私には、解散の報は残念で仕方がないですが、『Dr.スランプ』を読み直しながら、その寂しさを紛らわそうと思います。

そうそう、人気作品の新展開といえば、俄然、「大谷劇団」が注目されますね。WBCからのホームラン王獲得、そして結婚からのワールドシリーズ制覇へという単純な展開で話は進むのかと思っていましたが…。大谷くん、もうひとバケしそうですね。私の観客人生、まだまだ飽きあきすることなく、進行していきそうですw。 (2024.03.25 10:35:44)

Re[1]:薄紫の独白 # 木村伊兵衛 / ジョエル・スタンフェルド  # ニコチャン大王 / グリロス(03/24)   ポポイ! さん
周梨槃特さんへ

『ドクタースランプ』や『天才バカボン』のようなギャグ漫画を読むと、何故か『不思議の国のアリス』を思い出します。
それらの漫画に溢れているノンセンス感覚の源流を辿っていくと、やはり『アリス』にたどり着くのではないかという気がします。
そして、『ドクタースランプ』と同様
、『アリス』もむしろ大人が読む本ですね。
ヴィトゲンシュタインやジョン・レノンをはじめ、ちょっとひねくれた大人はみんな『アリス』に傾倒しますが、それはかの本がノンセンスの真髄みたいなものを感じさせてくれるからだと思います。
『ドクタースランプ』もまた然りですね。
ただ、漫画なので、『アリス』よりはストレートに響くだけです。 (2024.03.25 20:42:26)

Re:薄紫の独白 # 木村伊兵衛 / ジョエル・スタンフェルド  # ニコチャン大王 / グリロス(03/24)   周梨槃特 さん
『アリス』って、中学英語の教科書でしか触れたことがないので、「Humpty Dumpty sat on a wall.」の記憶しか残っていないのですが、ひねくれ者のウィトゲンシュタインが傾倒していると聞いては、読まざるをえませんねw。
前回の記事を参照して、本を探してみようと思います。私もノンセンスを本格的に楽しみたくなってきました。 (2024.03.26 18:04:38)

Re[3]:薄紫の独白 # 木村伊兵衛 / ジョエル・スタンフェルド  # ニコチャン大王 / グリロス(03/24)   ポポイ!アンフラマンス・ホウ! さん
周梨槃特さんへ

是非、『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』をセットでお読み下さい!
言語学や論理学上の問題にもぶち当たったりして楽しめると思います。笑

挿絵はやはりテニエルのものがお勧めです。
ということは角川文庫ということになります。
他では高山宏、柳瀬尚紀、高橋康也などの訳に定評があるようです。
日本語訳を読んでハマったら、対訳本や原書(ペンギンブックから合本のペーパーバックが出てます)にチャレンジするという手もあります。
私も原文を全部読んだわけでもないので偉そうなことは言えませんが、高校生レベルの英語力があればなんとか読めます。 (2024.03.27 00:17:28)

Re:薄紫の独白 # 木村伊兵衛 / ジョエル・スタンフェルド  # ニコチャン大王 / グリロス(03/24)   周梨槃特 さん
『不思議の国のアリス』を読了しました。
あ〜、ポポイさん、私はどうやら不思議の国で暮らしていたようですw。正確に申し上げると、不思議の国で目覚め、会社に出かけて、不思議の国に戻って眠る。こうした生活をここ2年ほど続けていたことに気づきました。
もともと私の寝起きしている世界は、不思議の国ではありませんでした。ところが、一昨年あたりから、私以外の二人の住人が、急速に「不思議化」しはじめたのです。通じない…。どうりで、アリス同様、イライラするわけですよw!
不思議の国ってのは、知らぬ間に私たちに忍び寄って取り込んでしまうんですね。次に、『鏡の国のアリス』を読みながら、そういう世界での生き方や振る舞い方を考えてみます。いや、クソ真面目に考えずに、笑い飛ばすだけですかねw!?
次回のドライブのときにでも、お付き合いください! (2024.04.21 17:45:34)

Re[5]:薄紫の独白 # 木村伊兵衛 / ジョエル・スタンフェルド  # ニコチャン大王 / グリロス(03/24)   ポポイ! さん
周梨槃特さんへ

家族のメンバーが急速に「不思議化」し始める…
通じない…
何となくわかるような気がします。
詳しくはまた次回お会いした折に、聞かせてもらいます。

『アリス』って、時にカフカエスクな読みを誘発するようなところもありますよね。
「子供のカフカ」と評されることもあるようですし。
そういう意味では、冒険というより受難の物語なのかもしれません。
でも、ひたすら受難に耐えているだけというわけでもないんですよね。
センスの側の住人であるアリス自身が
、けっこうオモロイことや馬鹿なことを言ったりしますし…

『不思議の国のアリス』では、たしかにイライラしたり、泣いたりすることが多かったアリスですが、『鏡の国のアリス』では、ちょっと余裕が出てくるような気がします。
また、ノンセンスの度合いも続編の方がアップしているように思われます。
たぶん前者と同等かそれ以上に楽しめるのではないでしょうか。 (2024.04.22 00:22:14)

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