ペリー率いるアメリカ海軍の黒船が浦賀(神奈川県横須賀市)へ来航したのは、1853年。
そのころ、土佐藩出身の若き坂本龍馬は、江戸で剣術修行に励んでいました。そして黒船を目の当たりにしたと言われています。
黒船来襲が、幕末の英雄・坂本龍馬の運命を変えた――。そんな歴史を競走名の由来として、黒船賞は1998年に創設されました。
1月末に黒潮スプリンターズカップを快勝し、黒船賞の優先出走権を獲得したスクワドロン(牡6歳、雑賀正光厩舎)。クロフネ産駒のスクワドロンは、2008年のスプリンターズステークス優勝馬・スリープレスナイトの全弟です。
鼻を撫でられるとペロリと舌を出すスクワドロン。
お茶目な表情と、父から譲り受けた雄大な馬体のギャップがえいね。
いつも飼い葉を残さず食べる食欲旺盛な馬で、調教をたっぷりこなしても、たくましい馬体を保っています。
前走のバレンタイン特別ではニシノファイターの逃げに屈しましたが、スタート前にゲートを飛び出してしまい、枠入りをやり直したアクシデントの影響もあったのでしょう。
ゲート再審査を無事にクリアして、大一番への出走態勢を整えているところです。
いつもスクワドロンの調教を担当している永森大智騎手が、黒船賞でも鞍上を務めることになりました。
「高知に来てからしばらくは、息遣いが荒かったんです。だけど何度かレースを走っているうちに、息遣いがよくなってきました」と永森騎手。
和歌山県の紀三井寺競馬出身の雑賀調教師は、競走馬再生のスペシャリスト。全国各地の調教師が、雑賀式の再生法を学んでいます。私は“雑賀調教師の凄さ”を伝えたくて、ヨチヨチと探っている最中なのですが……雑賀調教師は「私は馬の脚を見てるんが好きやさかい」と言って、豪快に笑います。
「高知は賞金が安いさかいに、転入して来る馬の大半は、どこかしらに欠陥を抱えています。脚元が悪かったり、内臓が悪かったり。でも、腫れてる脚を治して、悪いところを治してやるのが喜びなんです。悪いところを治して、立て直して、競馬ウマとして走らせる喜び。これもひとつの喜びやと、僕は思ってる」
黒船賞を3連覇したセイクリムズン。鞍上は岩田康誠騎手
トウショウカズンでクビ差の2着に敗れた武豊騎手が、「クロフネ産駒で黒船賞を勝ちたかったね!」と、なんとも悔しそうにコメントした2012年の黒船賞を思い出します。そのときの勝ち馬は、セイクリムズンでした。黒船賞を3連覇したセイクリムズンは今、北海道新ひだか町のレックススタッドで種牡馬生活を送っています。黒船賞の常連さんだったセイクリムズン、元気にしちゅうかな?
黒船来航から163年。
3月15日の黒船賞まで、あと5日!