現実はどんよりおもっくるしい。
もういつから 更新しないでいるのかも記憶しない。今日メールを開いた所 わが友人から‘ちーとも更新しないけど入院でもしてるのか?との問い合わせがあった。確かに 長い間 日記を書こうという意欲もすっかり 失って暮らしている。生活に追われる様に 潤いも無く ただささくれて労働に没頭して日を過している。正直に言えば この国の暮らしに辟易している。いつかも書いたと思うがこの3年間は 数々の悲惨な現状に 義憤を抱いて奮闘した。怒りに身を震わせ 次から次と目にする不幸な犬達の救済に走った。それは今も 続いている。そうでなければ いつの間にか26匹の犬の命を抱える羽目になる訳は無い。我が家の屋内に階下に21匹、階上に1匹、仔犬のセージ。屋外に1匹 Lucy、そしてJohn,Tom,とDad. 総勢26匹の保護者に為った。新参のセージは生後4ヶ月か。マイケルの施設に預かって貰ったPeaちゃんの9匹の仔犬の1匹なんだそうだ。因みに9匹のうち 4匹は厳しい環境で他界したようだ。一週間ほど前に Leelaと施設を訪れて そのあまりの皮膚病のひどさにまたしても マイケルとアンジーに治療を申し出て 預かっている。お尻あたりはまるで 毛が抜けて ハムかソーセージを思わせる 赤むくれの肌が剥き出しの仔犬である。そこで ソーセージをつづめ セージ君となった。ハーンの医院で治療を受けている。ハーンは以前 マイケルとも関係があったこともあり 施設の仔犬と聞かされるともう腰が引けている。適当に治療して さっさと返してしまうに限ると何度も何度も 示唆する。あの施設の仔犬のすべてが ひどいパラサイトと呼ばれる皮膚病に罹っている。1匹だけの治療の無意味さを承知なのだ。 当然 こちらも本腰を入れる気は無い。それでも預かったからにはもう少し 普通の健康状態まで 戻してやりたいと思う、ハーンの呉れた薬用シャンプーを3日ほど 続けた。ところが思いも掛けぬ効果があって 赤むくれの肌から腫れがまず引き 次に肌色に近い皮膚に白い薄皮が次から次へと生えてきた! 見事な治療の成果である。『30匹も抱えていると治療費など 掛けてるゆとりなど無いものなんだ。アンジーとふたりで 始終 この仔犬にも治療薬を注射したり 薬で洗ってやっているんだ。気長に治していくほか無いものなんだ。元気に暮らしてるんだから外部者が煩く言うのは 気に入らない!』マイケルは 治療を申し出た私たちに露骨に不愉快さを返した。これは毎度のことで 見て見ぬ振りをしなければ ここでは収まらないのは私は承知だ。が素人の?Leelaは その辺りを知らない。強行に押した。帰路の車中 アンジーは爆発した。『あれこれ人の施設の欠点をほじくりに来るのなら もう自分の送った犬を引き取って 2度とやってこないで!』Leelaはびっくり仰天している。『引き取れって言われても 戻す所が無いのよ。』それでも 病気には猛烈な意欲を傾けないでは 済まさない彼女は『明日 施設に行って! あの仔犬の様子次第で 医者につれて行って!』と諦めない。こうしてセージは 短期間の我が家の階上の住人と為った。書きたいのはマイケルもアンジ-もセージに関すれば 何の治療もまるっきりしていなかったと言う事だ。たった3回 洗う事であれほど効果があったのを見れば・。セージは生まれてこの方 医学の施しには一度たりとも 授かったことは無いと哀れにも断言できそうだ。それでも ハムを振り振り ファミリーホールをとことこ走っている。少なくとも 人さまにソーセージか ハムかとおぼしき仔犬を『これは 私の責任で飼ってます。』と晴れ晴れと嬉しそうに公言できるあのふたりは 私の常識の域をぶっとんで 宇宙人とでも対峙してるような 不気味な‘カルチャーショック’を毎度のことにしろ 叩きつける。そしてとうとうLeelaとも 今度は私が爆発をして 仲違いをした。翌日 朝マイケルに連絡して やっとのことで 施設まで彼のスタッフの運転で出向くまでに機嫌を取った。前日 Leelaがセージの触れたら 熱があって高いと言う。いやいやだが アンジーは抗生物質を飲ませた。が私が 翌朝 見たところではセージはハムは見るに耐えないほど 酷いがそれでも元気そうに 走っていた。触ってみると熱は無い。良かったとほっとし ジープに乗せて帰りドクターハーンの診察を受けた。ハーンも『皮膚病と 山ほどの回虫を除けば まあまあの健康状態に見えるから 奥さん 3日間だけ面倒を見て 早く施設に戻すことを勧めますよ。』と言った。抗生物質が必要な病気もちには 私たちには見えなかった。が病気熱心なLeelaは 午後になってcallをしてきて『昨日の抗生物質が利いていて 熱が下がっているのかもしれないんだから どうして抗生物質を飲ませなかったの? それに2週間後にもう一回パラサイトの注射をしないといけない!』と電話口で叩き込むように 注意する。『ちょっと待って。今朝の様子は普通に見えたのよ。それにパラサイトと言っても あそこの仔犬全部が罹ってるし・。ハーンは何もそれ以上の治療をしろと言わなかったわよ。』と反論した。が彼女は聞かない。『抗生物質、抗生物質! 2週間後の2度目の注射。その後は予防接種と避妊!』と電話口で叫び続ける。そんな理想論 もう沢山!知ったことか!とその私の機嫌の悪さになぞる様に 急に運転している私の車のボンネットから 白い煙が立ちこめ上がる!‘うん、何?’『だから ここでしっかり治療をしないと・・。』Leelaは迫力で私を説き伏せ続ける。世の中 全部が敵のような 四面楚歌の極厳に私の心理状態に沸騰した。『そう、よほど私は薄ら馬鹿に見えるようね。今日彼女を見てるのはあなたでなくって 私なのよ。私には抗生物質は 不要な状態に見えたのよ。ハーン先生にもね。でもあなたは気が気じゃないのなら 家に来て見るのが一番じゃない、本人を。そして あなたがこれから先は 面倒を引き受けてよ。私にはもう自信が無いから。だって今日 お湯にしろあの犬を洗ってしまったくらいだから! 』と一気に車のボンネットから上がる煙を見ながら 叫んでいた。 慌てたLeelaは『いやあ、それなら 別にいいけど・・。いやいや・・。あなたがそのまま 続けて下さい!』プツンと電話は切れた。と同時に 私の車は止って もういくらアクセル踏んでも2度と動かなくなった。助手席には 昨日 避妊手術をして ドクタースグ-から 引き取ってきたばかりのLucyがちょこんと座っていた。そう、その日の朝には セージを迎えに行く前に緑ちゃんを避妊手術に 送ったばかりなのであった。正直に処 我が家の子供達の世話でも あっぷあっぷの私なのを誰が知って呉れているだろうか?費用も然ることながら 送りこんだ瞬間から頭の隅には無事な手術の終了をいつも気に掛けて 心の休まることがないのを。幸いな事に 徒歩で帰れない距離でもなかった。車に鍵を掛け Lucyを引いて とぼとぼ家路に着いた。途中で Lucyが長ーい長ーいおしっこをした。その長さで 彼女は前日の朝 我が家を出てから 一度も用をたさなかったのを知った。医院のケージの中では さぞ不安な時間を過したのであろうと不憫さが募った。がこの子も人さまの犬なのだった。もう飼い主のことについて 何も口にする気も無い。此処ではすべてがこうな風に 私はよくって‘素知らぬ’無関心、悪ければ ささくれた‘意地悪さ’に囲まれているのだから。自分の車が無いのは 致命的だ。今回の件で知ったのだが 私は毎日半日は車を走らせているらしい。修理が終わるのが一週間後と言う。その間 朝 7時過ぎから亭主の車を借り JohnとTom,Dadの餌届けを済ませる。戻ると出勤する亭主の車に便乗し 会社までお供をし 亭主を送る。取ってかえってセージの通院をする。帰宅して今度は 普段の買出しを済ませ 大急ぎで帰宅して 買出しの食品を冷蔵庫に収めるや もう一度亭主の会社へ車を返しに走る。只今はこれが日課である。この日記を更新するわが寝室では 母猫と2匹の仔猫が縦横に 走り廻っている。この子達もあの不気味な施設に送り込まなければならないとは・・。この国を去る時は どれほど幸せを感じるだろうか。『<終>』 ----大原 素子 ??????@pd.jaring.my