黒の受難&John
今日は亭主のみゴルフの日となる。その後は麻雀だそうだ。従って女房は終日‘置いてきぼり’の土曜日という訳で 普段あれほど気に入らないとぼやいているくせに そうなるとなぜか 少し‘ふくれて’みたくなる。『ふーん、折角の土曜日にすることも無い。』が実際は‘ふくれて’いる場合では無かった。実は一昨日の午後から黒は受難続きで 満身創痍のけが人なのだ。一昨日は私のミスでとんでもない騒ぎが生じた。昼下がり2階へ上がろうとしてるとブッチーとLupoが妙にそわそわ落ち着かない様子で 庭へ出たがっている。『どうしたの?出たいの?』と声を掛けた。‘うん!うん!出たい!’と言う。そこで外を確認しないでひょいっとドアーを開けて2匹を出した。がーん!外には2匹の天敵 黒がいたのだ。サラが黒をランに出しているのを知らなかった。2匹がそわそわしていたのは 黒が外にいるのを知っての事だった。気がついた時は既に遅かった。闘争心満々の2匹に気がついた黒が猛然と2匹めがけて飛び掛った。黒とLupoの対決。ほんの最初はLupoも互角だったが すぐに押えられて黒に圧し掛かられ危うい。とブッチーがすかさず飛び掛る。ブッチーと黒の対決。ブッチーは捕まらないよう上手く体を使って 黒を間隔を置いて襲う。黒も苦戦。と選手交代とばかりLupoが襲う。サラが駆けつけてなんとかLupoを引き離し家に入れて こちらもブッチーを追い払い追い払いしてどうにか黒を裏の庭へ押し込めた。Lupoは喉から数センチの所を深く 噛まれている。ブッチーはどうも無傷の様子だ。黒は片耳の横をひどく噛まれている。まるで野戦病棟の体で消毒薬やガーゼ、塗り薬を抱えて あの部屋この部屋と傷の手当てに走った。それが一昨日。ところが気の毒にも一層恐ろしい受難が黒を待ち受けていた。昨日の夕方近くの事。お散歩前に時間帯にはいつも黒とハスキー、みどり、祐ちゃんがランを楽しんでいる。散歩後の野良猫用の餌を用意していると前庭が妙に騒がしい。カーテンの隅から覗いた。ゲートが全開になっている!その上妙に犬の数が多い。ざっと7,8匹に見受けた。‘何なの?’頭は真っ白、パニック前状態に陥る!ドアーを出てみて 吃驚したのなんて、隣の家の犬3匹が 内の敷地内で走り回っている。真っ青になったのはまず黒が、ブルーノが接近している!あー!黒とロットマルテーフのデッカイ図体のブルーノの噛み付き合いの戦いは実際には数分間ほど続いたのであろう。が黒がブルーノに圧し掛かられ激しく噛み付かれたままで動けなくなっての数分はこちらの呼吸もとまるかと思うほど慄き震え上がった。‘黒は噛殺される!’と。水をぶっ掛けてもみた。箒でぶん殴った。傘でつっついた。効果など無かった。最後にありったけの叫び声で『ブルーノ!NO!』と吼えた。急に目が醒めたかの様子でブルーのが黒を離したほんの一瞬を見てサラが黒を抱え 私はブルーノを繋いだ。一体何故うちのゲートが全開したのか?分らない。Rajiのゲートは後でのRajiの言い訳に寄れば メードの閂の閉め忘れだと言う。いずれにしても呑気にランを楽しいでいた黒には慰めようも無い突然の災難となった。2日続いて。負傷は喉部分でなく心からほっとした。が片耳の下部が一部千切れかかっている。急いで帰宅してもらい診て貰った亭主曰く『いやあ ここで良かった。ここならいずれは自然にくっつく。』を聞いてどれほど安心したか知れない。なぜだかこんな時の亭主のご神託は素直に耳に入れるのか。現在はアメリカ製の傷用の専門薬(Rajiがシンガポールでしか手に入らないと言うので 拝借した。)を日に2,3度付けて様子を見ているが 中々回復は早そうだ。負傷したブルーノもこの薬で随分すでによくなったと言う。仕方なく以後うちのゲートは犬をランさせる度にいちいちタオルでしっかり両ゲートを縛りつけている。3度目のなんとかでは黒に合わす顔が無い。追記。 今朝 早朝7時にゴルフへ向う亭主の後を私も追う。野原では亭主がJohn を呼ぶが出て来ない。ゴルフの集合時間を気にして亭主は去る。餌を用意して いると薮の向うでがさがさと音がする!『John?』と叫ぶと同時に薮から Johnが姿を出した。私を見たが逃げる用はない。ただ 警戒心たっぷり 右を見て また左をみて また右をちぇっくして 始めて餌の近くまで 寄ってきて 食べ始めた。嬉しくて彼が食べ終わるまでじっとかがんだまま 見つめていた。元気そうだ。がとても警戒している。 場所を移すのも難しい。彼が安全な場所を見つけ 何かの拍子に我々に餌場を 指定して くれれる日がいずれくるのでは?と切に祈る。「<終>』----大原 素子 ??????@pd.jaring.my